いよいよ日本にも本格上陸?
テレマティクス保険の魅力
欧米を中心に広がりを見せるテレマティクス保険が、日本にも広がりつつあります。日本国内ではテレマティクス保険の認知度はまだまだ高くありませんが、行政と民間で連携し、推進していこうという動きもあり、アクサ損害保険を含む損保各社が商品・サービスの導入に取り組んでいます。テレマティクス保険を推進する官民一体となった動きはどのようになっているのか、詳しくご説明します。
2015/12/24国内
行政が連携してテレマティクス保険を推進する目的とは
日本国内でもテレマティクス保険のシェアを拡大するために、政策として官民が連携し推進しています。テレマティクス保険を取り扱うのは損害保険会社なのに、なぜ行政が民間と連携して推進しているのでしょうか。それは、テレマティクス保険の国内シェアが拡大することによる2つの大きなメリットがあるからです。
1つ目は、安全運転に連動して保険料が安くなるという、テレマティクス保険の特徴を活用することで、社会全体の交通事故数を削減できると考えられていることです。2つ目は、テレマティクス保険のシェアが拡大することで保険料を安くすることができ、結果として自動車の保有コストが軽減できると考えられていることです。これらのメリットが安全対策と経済政策として重要視されていることから、行政が民間と連携してテレマティクス保険のシェア拡大を推進しているのです。
本格導入に向けての課題
官民一体となりテレマティクス保険の本格導入を推進していますが、導入にあたっての大きな課題が2つあります。1つ目は、日本国内は欧米に比べて既存の自動車保険でも保険料が安価であることです。テレマティクス保険の導入には設備費や車載器の取り付け費用なども必要となるため、契約者にとって導入コストに見合った経済効果(インセンティブ)が期待できるのかを検証しなければならない、という課題があります。2つ目は、比較的危険な運転を行う運転者は既存の自動車保険に加入することが考えられるため、既存の自動車保険にそのような運転者が集まることで、その自動車保険の保険料が全体的に高くなってしまい、保険の未加入者(無保険車)が増えてしまう可能性が課題となっています。これらの課題は具体的な効果検証などを行うことで、解決を図ることになるでしょう。
まだまだ課題の多いテレマティクス保険ですが、契約者にとっては魅力たっぷりの保険と言えるでしょう。いち早くテレマティクス保険の動向をキャッチして、賢く自動車保険を選びましょう。
プロフィール
武藤京士
2010年にファイナンシャルプランナーとして独立開業し、現在も多くの人の資産設計や保険相談に対応。
「家計簿の書き方」や「保険を安くする方法」などのテーマで講師としても活動する傍ら、保険に関する記事の執筆や大手サイトのQAアンサーなどの執筆実績が豊富。初心者の立場に立った読みやすい文章の執筆が得意。
(主な保有資格)
AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(生保顧客資産相談業務)
損害保険募集人
損害保険専門試験(自動車)