国内でのテレマティクス保険の
状況と具体例
テレマティクス保険とは、保険契約者がクルマに速度や位置情報、制動情報などをレコードする装置を設置し、「どれだけ、どのようにクルマを使ったか」などの情報を分析し、走行量や運転の安全性に応じて保険料を割り引く仕組みをいいます。
欧米を中心に普及が進み、「2020年には欧米諸国の契約台数の30%がテレマティクス保険へ移行する」(国土交通省 第9回 自動車関連情報の利活用に関する将来ビジョン検討会 資料P3より)と予想されるなど浸透が進んでいる制度です。
一方で日本国内においてはこれから普及段階にあるといえ、様々な保険制度の導入に取り組み始めています。本稿では日本国内のテレマティクス保険の状況をご案内していきます。
2015/12/24国内
国内では「道半ば」
2015年現在、国内では、政策として官民が連携しテレマティクス保険導入に取り組み始めている段階であり、欧米諸国のように「速度や位置情報、制動情報などを自動的にデバイスでリアルタイムに取得し、保険料を算出する」といったような先進的な仕組みは実装されていません。
一方で、ダイレクト系自動車保険会社を中心に「走行した距離を契約者が報告し、保険料の割引」という制度は広く浸透しており、特定の車種において走行距離のログを取るデバイスを設置することで、走行距離割引を適用できる専用の自動車保険を販売する取組は10年以上前から存在します。
また、「走行中の安全運転状況を機械で計測することで(ただしリアルタイムの分析はできない)、得点に応じて保険料をキャッシュバックする」取組も一部始まっており、テレマティクス保険の本格的な展開が期待されている状況です。
安全運転の取組としてのテレマティクス保険
安全運転の状況把握のためにテレマティクス技術を用いて運転適性診断サービスを提供する試みは、法人ユーザー・個人ユーザーを問わず保険会社のサービスとして広く普及しています。例えば法人ユーザーにドライブレコーダーを貸し出して安全運転取組をレクチャーする、個人ユーザーに対しアプリを通じて運転技術をアドバイスする、などの取組が普及しており、今後の保険商品設計に当たってもノウハウが蓄積されている状況といえます。
いかがでしたでしょうか。保険料の合理化・事故削減双方の観点から、欧米同様のテレマティクス保険の普及が国内においても進むものと思われます。
プロフィール
阿澤 快
1994年に保険会社で営業職に就き、その後保険代理店にて勤務。
保険営業一本で20年以上の経験を有し、一部上場企業のリスクマネジメントからコンシューマー向けの保険制度提案まで幅広いジャンルの保険提案を手掛ける。保険に関する記事の執筆や講演の実績も多数有する。
(主な保有資格)
保険代理店資格
国家FP2級