第4回:美術系学生が「未来の安全」をハック!

2日間で実際に動くプロトタイプを制作するハッカソン
「Hack for Safety」を開催

今回は「10年後の生活に起きうる身近なリスクからどう身を守るのか。」そのソリューションを考えプロトタイプを制作するハッカソン「Hack for Safety」を、9月29日~30日にLIFULL HUB(千代田区麹町)で開催しました。
「予測のつかないリスクに備える」大切さに気づいてもらおうと行われたイベントです。

アイデア出しから制作まで、フレームワークを使って進めていく

参加したのは、多摩美術大学、東洋美術学校、京都精華大学、デジタルハリウッド東京本校の学生20名。学校別に4つのグループを組み、2日間かけて制作に取り組みました。
テーマは、「10年後の未来における『生活に身近なリスク』または『交通環境で起きうるリスク』の回避策を提案すること」。アウトプットはアイデアだけではなく、実際に触れて反応を得られるワーカブルなモデルの制作物となります。

1日目はアイデア出しからアイデアの絞り込み、UX(ユーザーエクスペリエンス)設計、プロトタイピング。2日目は、初日とあわせて約5時間の制作時間を経て、プレゼンテーションへ。審査を経て、最優秀賞、AXA DIRECT賞が発表されました。

Hack for Safetyの様子 1
1日目

まず最初に行われたのは、アイデア出しの前のインプット。過去10年間で生まれたサービスを振り返り、未来がいかに予測不可能かを共有します。
その上で、グループ毎にアイデア出しへ。“自分にとって大切なものを失う”ことを“身の回りのリスク”として考え、「10年後でも大事なもの」をグループ内でシェア。

「身近なリスク」を絞り込み、それを回避するサービスのアイデア出し、アイデアスケッチ(設計図)を作成。グループで案がまとまったところで、各グループが「想定したリスクと、それを回避するサービス」を発表しました。

Hack for Safetyの様子 2

実際にアイデアを手で触れられる制作物にするためのワークが始まります。そのサービスを利用したとき、ユーザーはどこに愉しさを感じるのか。「体験スケッチボード」というフレームワークを使い、ユーザーの思考や行動を想定。どんな機能があれば、ユーザーが積極的にそのサービスを使いたいと思うのかを考え、一番面白い部分を実際に動かせるように制作していきます。

メンターとして、ハッカソンにおいて開発実績の豊富な若狭正生さん、やまざきはるきさんも参加し、学生たちは二人に具体的なアドバイスをもらいながら、制作を進めていきました。

Hack for Safetyの様子 3
2日目
たった5時間でできた制作物のクオリティに驚きの声

2日目の午前中も含め約5時間の制作時間を経て、午後はいよいよ最終プレゼンテーションです。審査基準となるのは、クリエイティビティ(斬新さ)、デザイン(芸術性)、マッドネス(Wow!を呼ぶ奇抜さ)、愉しさ、インパクト(社会への影響力)の5ポイント。審査員として、当社取締役 CFO・齋藤貴之、上級執行役員 CMO・二見直樹のほか、株式会社スマートドライブ代表取締役・北川烈氏、クリエイティブディレクター・植村啓一氏、株式会社HackCamp取締役・矢吹博和氏が登壇しました。

Hack for Safetyの様子 4

多摩美術大学グループが提案したのは「ゲノムベイビー」。結婚観が多様化による少子化をリストとして挙げ、「結婚しなくても子どもがほしい」というニーズに応えるDNAマッチングアプリを制作。DNAで能力を数値化する発想に、審査員から「面白い」「倫理的な問題はどうなるの?」など意見が飛び交いました。

Hack for Safetyの様子 5

東洋美術学校は、自動運転が当たり前になる世の中を予測し「運転する楽しさが失われる」ことをリスクと設定。車搭載型コンシェルジュサービス「KURUMATCH(くるまっち)」を提案し、自律走行に加えドライバーとのコミュニケーションを計れるツールを制作しました。「コンセプトは、ドラえもんのような第三の家族」という発想に、審査員から称賛の声があがりました。

Hack for Safetyの様子 6

京都精華大学が提案したのは、バーチャルコミュニティ「AXA TOWN(アクサタウン)」の実現です。少子高齢化による全国規模の過疎化をリスクととらえ、「車が地域の人と人を引き合わせる基盤となる」と発想。街全体が、地域の公共交通機関として車を提供するアクサダイレクトの保険に加入する仕組みを考案し、車に乗りたい人と乗せたい人とをつなぐアプリを制作しました。高齢者などの乗りたい人はお礼に「お金ではなく自分で作った野菜や総菜をおすそ分けする」という発想や、アプリを利用した人にはポイントが付与され、保険料減額につながるという具体的なアイデアも提案されました。

Hack for Safetyの様子 7

デジタルハリウッドは、AIやテクノロジーの浸透によって、人の感性が失われていくことをリスクと設定。VRで、自分以外のものになって自分が得たい感情を体感できる「EMO LAB(エモラボ)」を提案しました。自分が感じたい感情と、体感するアバターを選択。VRでその感情を味わい、実生活での感受性豊かな毎日に繋げます。審査員からは「目だけではなく五感に訴えることが本当にできたらすごい」「発想がマッドネス!」と声があがりました。

Hack for Safetyの様子 8

審査委員に出来上がった制作物を並べて実際に触って試してもらいました。聞いてるだけでなく、実際の動きや機能を自分たちで確認することにより、新たな発見がありました。

Hack for Safetyの様子 9
「授業では体験できないスピード感が楽しかった」充実の2日間

結果、最優秀賞に選ばれたのは、京都精華大学「AXA TOWN」。アクサダイレクト賞には東洋美術学校「KURUMATCH」が決定しました。
京都精華大学は、世界観を伝えるプレゼンテーションのクオリティ、コンセプトの明確さ、アプリの使いやすさなど総合力での勝利。東洋美術学校は、本イベント参加の前にメンバー全員で自動運転自動車に試乗してきたという行動力にも評価が寄せられました。全チームに共通して審査員が感嘆していたのは、制作期間5時間でサービスのコンセプトから、デザイン、ロゴまで落とし込み、制作物を仕上げる力。そして、感情やつながりを大事にしたいという多くのアイデアに、「実務でも参考になるアイデアや刺激をたくさんもらった」という総評が寄せられました。

最優秀賞の京都精華大学
最優秀賞の京都精華大学
AXA DIRECT賞の東洋美術学校
AXA DIRECT賞の東洋美術学校

参加した学生側からは、「2日間でアウトプットを出す機会は授業でもほとんどない。スピード感が楽しかった」「アイデア出しから絞り込みなど考えるプロセスを的確にリードしていただき勉強になった」「自分一人では枯渇していくアイデアも、チームで議論することで思いがけない方向に発展していく。グループワークのダイナミズムを感じた」などの声が。時間と戦いながら制作物を完成させる緊張感を含め、充実した2日間となったようです。

[最優秀賞] 京都精華大学「AXA TOWN」
[最優秀賞] 京都精華大学「AXA TOWN」
[最優秀賞] 京都精華大学「AXA TOWN」
[AXA DIRECT賞] 東洋美術学校「KURUMATCH」
[AXA DIRECT賞] 東洋美術学校「KURUMATCH」
[AXA DIRECT賞] 東洋美術学校「KURUMATCH」
デジタルハリウッド東京本校「EMO LAB」
デジタルハリウッド東京本校「EMO LAB」
多摩美術大学「ゲノムベイビー」
多摩美術大学「ゲノムベイビー」
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