2016/07/28

猫を感染症から守るワクチン接種。種類、費用、副作用のリスクは?

2016/07/28

Veterinarian doing injection at a cat in medical office

 ウイルスが体内に入り、病気になってしまう感染症。その予防には、定期的なワクチン接種が有効です。でも「ずっと家の中で飼っているから、高価なワクチンを打たなくても大丈夫かな?」と考える飼い主さんもいるかもしれませんね。
 実は、お家の中で飼っている猫にも感染症リスクはあるのです! 一度かかるとウイルスキャリアとなり、重症の場合は死の原因となることもある、恐ろしい感染症。猫の感染症の種類や、かかった場合の治療費、そしてワクチンの費用についてご説明します。

猫の感染症 発症率はどれくらい?

 猫の感染症は多くの場合、ウイルスを持った猫の唾液や血液、排泄物に触れることで伝染します。ずっと室内で飼育している猫はウイルスに触れる機会は少ないのですが、ゼロではありません。
 では実際のところ、感染症にかかる猫はどれくらいいるのでしょうか。「もし感染したら怖いけれど、その確率がすごく低いのならワクチンを打たなくても大丈夫かな?」と考えている飼い主さんは、こちらのデータをご覧ください。

ねこの感染症が確認された動物病院

※発生率は、各感染症を「確定診断した」「疑いのある症例を診断した」の両方を含む割合
伴侶動物ワクチン懇話会調べ
対象期間:2013年9月〜 2015年8月 調査対象:全国600院の動物病院

 「猫ウイルス性鼻気管炎」の場合は、なんと95%以上の動物病院で感染が確認されているのです。このように、猫の感染症は決して珍しい病気ではありません。

目に見えないウイルス。いつの間にか接触しているかも?

窓から入ってくる「空気」によってウイルスに接触するケースもあります

窓から入ってくる「空気」によってウイルスに接触するケースもあります

 感染症になる原因のほとんどはウイルスを持つ猫との接触ですが、室内飼育で他猫と接触しない場合でも、以下のような感染ルートが考えられます。

(1)空気感染
 ウイルスを含んだ唾液や排泄物が乾燥し、それが風に乗って室内に入り込むことがあります。特に近所に野良猫が多い環境の場合は、庭先やベランダなどにウイルスを持った猫がいることもありますので、感染リスクが高くなります。

(2)飼い主からの感染
 人間の風邪が猫にうつることはありませんが、たとえば飼い主の靴や服がウイルスを含んだ唾液や排泄物に触れる、野良猫をなでる、などによってウイルスを室内に運び入れてしまうことがあります。

(3)母子感染
 母猫がウイルス感染していた場合、母乳から感染することがあります。子猫は、生まれて初めて飲む「初乳」から様々な免疫力をもらいますが、母猫が何らかのウイルスを持っている場合は注意が必要です。

ワクチンで予防できる感染症は6種類

窓から入ってくる「空気」によってウイルスに接触するケースもあります

ワクチンを接種すれば、感染症にかかるリスクは低くなります。

 お部屋の中にいる猫のところにも、様々な形でウイルスはやってきます。「外に出さないから大丈夫」と油断せず、ワクチンを接種してしっかりと予防しましょう!
 ワクチン接種によって予防できる猫の感染症は、以下の6種類です。

(1)猫ウイルス性鼻気管炎
 猫ヘルペスウイルス1型が原因となる感染症で、「猫インフルエンザ」「猫コリーザ」と呼ばれることもあります。くしゃみ、発熱、下痢、食欲不振など、いわゆる風邪のような症状が現れます。重症の場合は、急激な衰弱や肺炎、脱水症状を起こして死亡するケースもあります。また結膜炎を併発し、ひどい場合は失明する恐れもあります。

 
※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

(2)猫カリシウイルス感染症
 猫カリシウイルス感染症には複数の型(株)があり、一つの株に感染した後、他の株に感染することもあります。症状もそれぞれ異なり、猫ウイルス性鼻気管炎と似た症状を起こすもの、口の中に潰瘍を作るもの、肺炎を起こすもの、腸で感染して特に症状が出ないものなどがあります。
 猫ウイルス性鼻気管炎よりも重篤化することは少ないと言われていますが、近年はより毒性が強く致死率が高い「強毒全身性ネコカリシウイルス」の報告があり、注意が必要です。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

(3)猫汎白血球減少症
「猫ジステンパー」「猫パルボ」とも呼ばれます。感染力が非常に強い胃腸炎で、激しい嘔吐や下痢、高熱などの症状が出ます。子猫の場合は重症化しやすく、血便が出て死に至ることも多くありますが、成猫の場合は軽症で済むこともあります。

(4)猫クラミジア感染症
 猫クラミジアという細菌の一種によって引き起こされる感染症で、結膜炎、涙目、目やに、くしゃみなどの症状が出ます。また病気が進行すると咳をするようになり、それが原因で肺炎となってしまうこともあります。この病気は「人獣共通感染症」の一つで、ごくまれに猫から人への感染が報告されています。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

(5)猫白血病ウイルス感染症
 白血病の原因となるウイルスが体内に入り、発熱、食欲不振、貧血などの症状が出るほか、腎臓病などの原因となります。生後すぐに感染した場合は死亡率がかなり高いのですが、1歳以上の場合は約90%が感染後数週間〜数ヶ月でウイルスが消えると言われています。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

※治療内容、治療費は当社保険金支払事例にもとづく参考事例です。

(6)猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
 人間のHIVに似ていますが、猫同士でしか感染せず、感染力が弱いので空気感染することはありません。発症すると免疫不全を起こし、下痢、口内炎、発熱などの症状が出ます。しかし感染していても発症しない猫も多く、感染したからといって、すぐに死亡するわけではありません。

ワクチン3種混合〜7種混合。何が違うの?

ワクチン接種は、猫の健康状態が良い時に行いましょう

ワクチン接種は、猫の健康状態が良い時に行いましょう

 猫用のワクチンは、上記の病気(猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)は除く)を予防する複数のワクチンを組み合わせた「混合ワクチン」で、3種混合〜7種混合の種類があります。

猫の混合ワクチン 種類と予防できる感染症

猫の混合ワクチン 種類と予防できる感染症

・室内飼育の場合は「3種混合」
 猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3種は感染力が強く、いずれも空気感染をする恐れがあるため、室内飼育の場合でもワクチン接種が推奨されています。

・外出する猫には「4種混合」「5種混合」「7種混合」
 そのほか、3種混合ワクチンに猫白血病ウイルス感染症を加えた「4種混合」、さらに猫クラミジア感染症を加えた「5種混合」があります。また3種混合に含まれる猫カリシウイルス感染症には複数のタイプがあり、3種混合の場合は1タイプのみですが、別の2タイプを加えた「7種混合」もあります。
 また猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)のワクチンは、混合ではなく単独で接種する必要があります。

・ワクチン接種にかかる費用は?
 ワクチン接種の費用は動物病院によって異なりますが、3種混合で3,000円〜5,000円程度、7種混合で5,000〜7,500円程度が一般的です。

 ワクチン接種は病気の治療ではなく、健康な状態で行う「予防行為」となるため、ほとんどの場合ペット保険の対象外となっています。

 また接種は1回限りではなく、生後2〜3ヶ月の段階で第1回目を、その1ヶ月後に第2回目を行い、成猫になってからは年に1回の追加接種が推奨されています。
 母猫や兄弟猫の健康状態、他猫との接触状況、生育環境などによって必要なワクチンが異なりますので、獣医さんに相談した上で接種時期や種類を決めてくださいね。

気になるワクチンの「副反応」

ワクチン接種後は、しばらく安静にして様子を見守りましょう

ワクチン接種後は、しばらく安静にして様子を見守りましょう

 ワクチン接種後の「副反応」が心配で受けるのをためらっている、という飼い主さんもいるかもしれません。ワクチンは一時的に軽い感染状態にして免疫力をつけるため、猫によっては体調が悪くなったり、場合によってはアナフィラキシーショックを起こすこともあり得ます。
 日本獣医師会の調査によると、2008年4月から2012年7月までに行われた10,620接種のうち、全体の1.25%にあたる133接種で何らかの副反応があったということです。

[ワクチン接種後の副反応 内訳]
 ・元気がない、食欲が無い ……117例
 ・発熱          ……66例
 ・アナフィラキシー    ……1例

(「猫のワクチン接種後の急性副反応に関する調査」http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06607/e1.pdfより)

 ワクチン接種後は、しばらく様子を見守りましょう。何らかの副反応が出た場合は、獣医さんに相談してください。午前中にワクチン接種を受けておけば、もし診察・治療が必要になった場合でもすぐに対応できるので、安心です。

ワクチン接種していないと、ペット保険の補償対象外?!

感染症が原因で治療が必要になったら、高額な費用がかかります

感染症が原因で治療が必要になったら、高額な費用がかかります

 ワクチンは高価なものですが、感染して治療が必要になったとしたら、その何倍も費用がかかってしまいます。もしかしたら、「ワクチン接種はしていないけど、もし感染して治療が必要になってもペット保険に入っているから安心」と思われるかもしれません。しかし、そのような場合は、保険金が支払われないことがほとんどなのです。

 多くのペット保険では、「ワクチンで予防できる病気を“予防しなかった”場合は補償の対象外」と規定されています。そのため、もし治療が必要になったら、治療費は全額自己負担です。
 もちろん、ワクチン接種をしたにも関わらず治療が必要になった場合や、その他の疾病によりワクチン接種ができないと獣医さんが認めた場合は補償の対象となります。
 ワクチン代を惜しんだためにより高額な治療費が必要になってしまった、ということのないように、予防できる病気はしっかりと対策を取ることが重要ですね。

 すべての病気がワクチンで予防できるわけではありません。また、ワクチンを接種しても感染症にかかることはあります。また、接種の費用や手間は、飼い主さんの負担となります。それでもやはり、ワクチン接種は感染症予防に大きな効力を発揮することは確かです。

 大切な猫の健康を守るために、感染症の危険性やワクチン接種の必要性について、改めて考えてみませんか。

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