2022/07/14

【獣医師監修】初めて猫を迎え入れる!室内飼いのポイントとは?

2022/07/14

【獣医師監修】初めて猫を迎え入れる!室内飼いのポイントとは?

 猫の飼い方を考えた時、室内での飼育を検討される方も多いでしょう。「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査結果の概要」(平成26年度)によると、猫を「屋内」で飼っている人は全体の94.9%、「屋外」が5.1%と、ほとんどのご家庭では屋内飼育をしているという結果になっています。

参照
家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査結果の概要※(国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10968068_po_a2.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
※日本獣医師会ホームページから参照

 愛猫を室内で飼うメリットとデメリット、快適な部屋作りのコツをご紹介します。

室内飼いの猫と外飼いの猫では、寿命に違いも?

 一般的に猫の平均寿命は12~18年程度といわれています。その中でも、外に出る猫よりも、外に出ない猫のほうが寿命が長いとされています。交通事故や感染症など、外に出ることで起こる命に関わる危機に遭遇することがほとんどないためだと考えられています。

外の環境は猫にとって、様々な危険が潜んでいます。

外の環境は猫にとって、様々な危険が潜んでいます。

猫を室内で飼うことのメリット&デメリット

 猫を室内で飼うことは、メリットだけでなくデメリットもありますが、比較するとメリットが大きく、デメリットの多くは未然に対策が可能です。

メリット

室内飼いは、猫と飼い主さんにとっても、メリットがたくさんあります。

室内飼いは、猫と飼い主さんにとっても、メリットがたくさんあります。

  1. 交通事故に遭いづらい

     猫を屋外に出さないことで、交通事故に遭うリスクを減らすことが出来ます。猫が脱走しやすいのは、外出時や帰宅時に出入り口となる玄関のドアが多いです。その為、玄関や廊下には高い柵を設置しましょう。猫のジャンプ力は最大2mにもなるので、柵を設置してもドアを開閉するときは注意が必要です。

  2. 感染症や病気にかかりづらい

     他猫と接触する機会がない室内飼いの猫は、猫エイズや猫白血病ウイルス感染、ノミや回虫など寄生虫感染などをおこす率が大幅に減るでしょう。
     さらに猫の細かい健康状態の把握がしやすいので、異常の早期発見につながります。

  3. 迷い猫やご近所トラブルに遭いづらい

     猫同士のけんかによる怪我や逃げまわるうちに迷子になったり、ご近所の庭に入り込んで粗相をしたり、いたずらをして迷惑をかけるといったトラブルも、室内飼いであれば回避できます。

デメリット

一緒に遊んであげることで、ストレス解消。

一緒に遊んであげることで、ストレス解消。

  1. 誤飲や誤食

     電気コードや観葉植物、ひも状のものなど、猫の誤飲や誤食は室内で起こりやすいです。猫にとって危険なものは置かない、触れない場所にしまうなど、様々な工夫を行いましょう。

  2. 落下事故や脱走

     猫は立体的に行動し、上下運動する習性があります。調理台やバスタブ、シンクなどの周りでは思わぬ事故につながりますので、登らない工夫をしましょう。また窓からの脱走、ベランダからの落下にも注意が必要です。

  3. 運動不足による肥満

     室内ではどうしても行動範囲が狭いので、運動不足による肥満が起こりやすくなります。キャットタワーの設置や、猫が遊びに誘う行動をとった場合は飼い主さんがしっかり応えて、猫じゃらしで遊んであげたり、猫が自然に運動できる機会を増やしてあげましょう。

  4. 日光浴不足

     室内では日光浴をする機会が不足しがちです。太陽光をしっかり浴びる日光浴が出来る場所を作ってあげましょう。猫は日光浴をすることで、体内時計の調整ができたり、体が温まることで、血行が良くなり病気の予防にも繋がります。

猫にとって快適な室内空間にするために

オス猫はメス猫に比べて、テリトリーが広い。

オス猫はメス猫に比べて、テリトリーが広い。

 行動範囲が広いと思われがちな猫ですが、実際の生活圏は、自宅とその周辺のかなり狭い範囲です。未去勢のオス猫がパトロールするなどの目的以外で、自分のテリトリーから出ることは少ないです。

 猫は、自分にとって快適な環境さえ整っていれば、室内でも満足できる動物です。猫の習性や行動形態に合わせた部屋作りを行うため、以下の6つのポイントを取り入れてみてください。

  1. 避妊去勢手術をする。

     縄張り意識やマーキング、発情のストレスから解放され室内飼育のストレスが軽減されます。
     猫の避妊や去勢手術について、詳しくは「猫の避妊・去勢手術はしたほうがいい?獣医さんに聞いてみました」をご覧ください。

  2. トイレをこまめに清掃してあげる

     猫はとてもきれい好きなため、トイレは常に清潔な状態を維持しましょう。猫の頭数+1個程度のトイレを用意してあげると良いです。
     猫のトイレについて、詳しくは「猫のトイレ、しつけは楽って本当?粗相の原因、置く場所や数を見直そう!」をご覧ください。

  3. 外が見えて日当たりのいい場所の確保

     外の景色を眺めながら日光浴ができるように、日当たりが良く、安全に外の景色が楽しめる場所にベッドやキャットタワーを置いてあげましょう。

  4. 猫が高い場所に行き来できるような工夫をする

     猫は高いところが大好きです。キャットタワーやキャットウォークを設置し、ストレス軽減や肥満予防に役立てましょう。

  5. 部屋の行き来を自由にできるようにする

     複数の部屋に出入りすることで、猫は自分のテリトリーを見回っています。猫が部屋を自由に行き来できるように、ペットドアなどを取り付けてあげましょう。

  6. 隠れられる場所、爪とぎ場所を作ってあげる

     猫は単独行動を好む動物なので、自分だけのスペースを作ってあげると安心します。隠れて周りをゆっくり確認できる場所を作ることで、猫が心身ともにリラックスできます。家具や壁などで爪とぎをする場合は、ぐらつきのないしっかりとした爪とぎ用の板を用意してあげると良いでしょう。

猫が窓の外を見るのはなぜ?

猫が外を眺めている時は、実はパトロール中かも。

猫が外を眺めているのは、パトロール中なのかもしれません。

 窓の外を見ている愛猫を見て「外に出たいのかな?」と心配になる飼い主さんは多いですが、猫が窓の外を見る理由は必ずしも外に出たいからとは限りません。

 諸説ありますが、猫が窓の外を見るのは、自分のテリトリーをパトロールしているからと言われています。窓は自分のテリトリーの境界線です。
 安全な窓の内側にたたずんで外を眺め、人や車などをチェックしているのかもしれません。そのほか、猫は動くものが大好きなので、太陽の光の強弱や葉っぱが揺れる動き、人の動きや飛んだり鳴いている鳥の姿を見て、好奇心を満たしているのではないか?という説もあります。

 特に若いオス猫は好奇心が強く、窓の外を見る傾向が高いといえるでしょう。

猫が暮らしやすい工夫をして、快適な室内環境を作ろう

愛猫が生涯過ごす室内だからこそ、環境を整えてあげましょう。

愛猫が生涯過ごす室内だからこそ、環境を整えてあげましょう。

 猫にとって室内で暮らすことは、安全で快適なテリトリーができるということです。外に出られなくて可哀想と思うかもしれませんが、猫の幸せを考えるのであれば、快適な室内環境をしっかりと作った室内飼いが良い選択ではないでしょうか。

白神久輝先生
監修 /
白神 久輝 先生
 埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主さんにもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
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