2020/07/22

猫の留守番は危険?注意すべきポイントと対策法

2020/07/22

猫の留守番は危険?注意すべきポイントと対策法

 愛猫はどのくらいの期間であれば留守番が平気なのでしょうか。旅行や仕事で数日家を空ける時、猫がきちんと留守番できるのか心配ですよね。エアコンの適切な設定温度など、自宅が大好きな猫にとって快適な留守番となるよう、食事やトイレ、子猫の場合など、夏ならではの注意点と取るべき対策をご紹介します。

猫は留守番が得意な動物?

 “猫は家につく”と言われるように、住み慣れた自分のテリトリーをとても大切にします。猫は群れをなさずに単独で生きる動物であり、マイペースに過ごすことを好みます。なわばり意識が強く、自分のテリトリーである自宅を最もくつろげる場所と考えていることから、留守番が得意な動物と言えるでしょう。

帰宅したら愛猫が満足するまで可愛がってあげましょう。

帰宅したら愛猫が満足するまで可愛がってあげましょう。

自宅での留守番!何日間なら平気なの?

 留守番をさせる猫が子猫、成猫、老猫のいずれにあたるのか、成猫であっても健康面の不安はないか、気になる病気はないか、といった点を踏まえ留守番が可能か判断する必要があります。

1日なら留守番可能
 健康面の不安がない成猫であれば、1日なら自宅で留守番が可能です。2日以上になると、用意しておいたフードが傷んでしまったり、飲み水が蒸発してしまうことが懸念されます。また、留守中に体調を崩すなどトラブルが重なると、命に関わる危険も出てきます。その他にも、子猫の頃から飼い主さんと四六時中一緒にいる猫は、分離不安症をおこす場合があります。
 分離不安症は、飼い主さんの姿が見えなくなると、不安やストレスによって、泣き続ける、トイレの失敗をする、食欲が落ちてしまうなどの問題行動を引き起こします。1日のうち数時間は、ケージを利用して距離をおいたり、別々の部屋で過ごすなど、飼い主さんと離れている時間を作り、徐々に慣れさせておきましょう。

子猫や老猫は基本的に留守番禁止
 子猫や老猫の場合、基本的に留守番は難しいでしょう。子猫の場合は生後半年経たないと健康状態が不安定のため、1日以上の不在はもちろん長時間の留守番も危険です。老猫の場合も、いつ体調に変化が起きてもおかしくないため、留守番は極力避けた方がよいでしょう。

留守番への不安、長期の留守番となる場合
 1日でも不安、2日以上の長期不在、愛猫が子猫や老猫だが外出をしなければならないといった場合には、ペットホテルやかかりつけの動物病院を頼る、またはペットシッターに依頼することを検討しましょう。ペットシッターに依頼する際は、動物取扱責任者として「動物取扱業」の登録申請を行っているかを確認してください。気に入ったシッターが見つからない場合は、猫の飼育経験があるなど、信頼できる友人や知人に相談してみてもいいかもしれません。

健康面で不安のある猫は動物病院で預かってもらうのがよいでしょう。

健康面で不安のある猫は動物病院で預かってもらうのがよいでしょう。

留守番をさせる時に用意するもの

食事
 キャットフードは必ずドライタイプのものを選んでください。ウェット状のものはドライタイプに比べ傷みやすく、衛生的によくありません。フードの置場所は室内で直射日光が当たらない、風通しのよい場所を選び、普段より分量を多く用意してあげてください。具体的には、1日に与える量を把握し、留守にする日数+1食分があれば安心です。また、タイマー付きの自動給餌器は、時間になると自動的にフードが出てくるため便利なアイテムです。

普段からドライフードに慣れさせておくことも大切です。

普段からドライフードに慣れさせておくことも大切です。

飲み水
 飲み水は誤って倒してしまうこともあるため、器は足つきや底が広く平らな安定感のあるものを選びましょう。置く場所は家の3箇所以上に分けて設置してください。その際、直射日光が当たらない場所に置き、水分が蒸発してしまうことを防ぎましょう。自動給水器があれば、常に新鮮な水が飲めるため、おすすめです。

トイレ
 基本的に猫のトイレは飼っている猫の数+1が望ましいとされています。留守中は掃除ができないため、綺麗にしてから出かけましょう。この時、猫砂はたっぷり入れてあげてください。またシステムトイレは猫砂やチップの下に尿の匂いや水分を吸収するシートを用いて使用するもので、シートの取り替えが週に一度でいいという優れものもあります。掃除ができない留守番時に使いたいアイテムです。

ペットカメラやモニター
 ペットカメラやモニターを家に取り付けることで、外出中もカメラ越しに猫がくつろぐ姿やフードを食べている様子を確認することで、飼い主さんの不安な気持ちも解消されるでしょう。

留守番で注意すべきポイント

 愛猫を安全に留守番させるため、注意すべきポイントをご紹介します。

ケージには入れず、各部屋のドアは開放する
 外出するとなると戸締りを厳重に行うことは当たり前ですが、猫に留守番をさせて外出する場合は、通気口を開けておく、換気扇を回しておくなど、風の通り道を作ってあげてください。猫は涼しく快適な場所を自分で探すのが得意なため、自宅内の各ドアは開けておき、自由に部屋を行き来できるようにしましょう。また災害時、ひとつの部屋に閉じ込められてしまう危険も防ぐことができます。

遊んだ拍子にドアが閉まらないように固定をするか、フラップドアを設置するとよいでしょう。

遊んだ拍子にドアが閉まらないように固定をするか、フラップドアを設置するとよいでしょう。

事故や怪我を未然に防ぐ対策を
 愛猫がいたずらをして、事故や怪我に合わないため、以下の対策を行いましょう。

・キッチンやダイニング周りの生ゴミや食事の残りは全て処分しましょう。
・ゴミ箱はフタをして開けられないようにしましょう。
・刃物など危険物は全て愛猫が開けられない棚の中に片付けましょう。
・お風呂場は水を全て抜き、ドアを閉めておきましょう。
・暖房機器など火事の原因となりそうな電化製品のコンセントは全て抜きましょう。
・脱走防止のため窓や玄関の戸締りに注意しましょう。

夏の留守番は特に注意!

 砂漠で生まれたとされる猫は比較的暑さに強い生き物ですが、留守番時は温度管理に気をつけましょう。エアコンは28度に設定し、リモコンもいたずらができない場所に隠しておいてください。万が一停電した際は、すぐに帰宅できると一番よいですが、暑くなったら猫が冷感を感じられるよう床に冷却マットを敷いておくなど工夫し、事前に準備しておきましょう。またペットボトルを凍らせてタオルを巻き保冷剤代わりとしてベッドの脇などに設置することもおすすめです。飲み水も蒸発しやすくなっているため、量をたっぷり入れて、器の数を増やして置いてあげましょう。

愛猫が普段からエアコンの温度設定で寒がっていないか適温を把握しておきましょう。

愛猫が普段からエアコンの温度設定で寒がっていないか適温を把握しておきましょう。

 猫は1日であれば問題なく留守番をできますが、安心して外出するためには、よく準備をしてから出かけるようにしましょう。留守番中にいかに愛猫が安全、快適に過ごせるかを考えて、食事やトイレ、飲み水の用意など十分に対策を行ってください。特に夏の留守番は温度管理の注意が必要です。外出を楽しんで帰宅した際には、愛猫を思う存分可愛がることで、留守中のストレスを解消してあげてください。

白神久輝先生
監修 /
白神 久輝 先生
 埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主さんにもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
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