2015/10/01
愛猫の爪切り。大暴れして、引っ掻かれて、噛み付かれて大変な思いをしたことのある飼い主さまも多いのではないでしょうか?
どうにかして、穏やかに猫の爪を切りたい!と考える飼い主さまのために、今回は三宅先生に猫の爪切りについて詳しくうかがいました。
—先生のところに、猫の爪切りに関する相談が寄せられることはありますか?
ありますよ。爪切りの必要性ですとか、爪が伸びてしまうことによってなる病気はありますか?という内容が多いです。
—実際、猫の爪切りは必ずしなくてはいけないものなのですか?
そうですね、外で生活している猫は爪があることで木に登ったり狩りをしたりしやすくなりますので爪とぎさえしていれば問題ないのだと思います。
しかし、室内で生活している猫に関して言えば、爪切りはしたほうがいいでしょう。爪が伸びていることで、カーテンやラグに引っ掛けて折ってしまったり、ご家族が引っかかれて怪我をしたりするおそれがあります。
—爪とぎが爪切りの代わりになると考えていいですか?また、自分で爪とぎをしない猫もいるのですか?
爪とぎが爪切りの代わりになるというわけではないのですが、猫の爪は何層にもなっていて、爪とぎには古い層の爪を剥がして新しい尖った爪にするという役割があります。
そのため、猫の爪は一定の長さまでしか伸びません。
爪切りは猫の爪の先端の尖った部分を切り落として、生活しやすくするためのものです。
ただ、老猫になってくると、面倒臭がって自分では爪とぎをしなくなる猫もいますね。
—爪とぎと爪切りでは役割が違うんですね。猫が自分で爪とぎをしないと、どうなってしまいますか?
猫が爪とぎをしなくなると、古い爪が剥がれ落ちずに残って、爪が太く巻き爪に変形してしまいます。
そうなると肉球に突き刺さってしまい、歩き方や関節に問題が出てしまうこともあります。
—人間だって、巻き爪は痛いですよね。
老猫の爪は特に気をつけて、こまめに切るようにしてあげましょう。変形してしまった爪も切っていくうちに剥がれ落ちて元に戻ります。
—爪が伸びてしまったせいで、肉球や皮膚を傷つけてしまうのは、飼い主さまとしても防ぎたいところです。
そうですね。肉球はとても敏感な場所ですからそこに違和感があるのはストレスにつながります。また、毛細血管が豊富な場所なので、深爪で傷ついた際に以外とたくさん出血してしまうこともあります。
—爪が原因で他の症状に繋がってしまうことがあるんですね。爪を切ることで予防できることは他にもありますか?
先ほども申しましたが、爪を切らずに鋭いままにしていると、カーテンやカーペットに引っ掛けて爪を折ってしまうことがあります。折れて、また生えてくる場合は良いのですが、爪が死んでしまった場合には動物病院で抜去する処置をしなくてはなりません。
—ご自宅の猫が家具を傷つけてしまったという話はよく聞きますが、爪が死んでしまう程になると大事ですね…
また、体を掻く際など、通常は爪で傷つくことはありませんが、かゆみが強い場合は強く掻いてしまうこともあります。そのような場合、爪が伸びていると皮膚に傷をつけてしまいますし、そこから細菌感染などを起こしてしまうおそれもあります。
—やはり、猫の爪は切った方が猫自身のためにも、飼い主さまのためにも良いのですね。でも、爪を切ろうとすると猫が暴れるので上手にできる自信がありません…。
猫の爪切りは大変なだけに、気合を入れすぎてしまう飼い主さまが多いです。どうせ切るなら多めに切って、次の爪切りまでの期間を伸ばそうと深爪しすぎてしまったり。
でも、一度爪切りで猫に痛い思いをさせてしまうと、次の爪切りからはもっと難しくなってしまいます。
—猫の爪を上手に切るコツはありますか?
爪切りに時間をかけないこと、猫に爪切りを意識させないことが大切です。一度に全ての爪を切ることができなくてもいいので、軽い気持ちで1~2本切れれば大成功です。
犬のように1本の爪を面取りするように少しずつ何度も切るのではなく、爪の先端の細くなっているところを一度で切ることを心がけましょう。扱いに慣れるとギロチンタイプの爪切りが使いやすいと思います。
—ハサミタイプの爪切りで切るのは難しいですか?
ハサミタイプの爪切りは小さな子猫の爪を切るのに適しています。
猫には生まれた時から爪が生えているので、生後2ヶ月くらいから定期的に爪を切る癖をつけて慣れさせていけば、大人になっても楽に爪切りができるようになるかもしれませんね。
—猫の爪を切る時にやってはいけないことはありますか?
猫の爪切りの時に、前足をギュッと持って爪を出そうとする飼い主さまがいますが、猫は強く触られるのが嫌いです。前足はそっと持って、優しく押して爪を出しましょう。
爪切りを嫌がるそぶりを見せた時にはすぐに中断することも大事です。あまりにも嫌がりすぎて、爪切りが進まない時には動物病院で切ってもらうのもひとつの手です。
—動物病院での爪切りはどんな切り方をするんですか?
動物病院に来るとおとなしくなる猫もいるので、そういう猫の場合は先ほど言ったように、手早く、強く押さえつけずに爪を切ります。
怖がって暴れてしまう猫の場合は、体全体をバスタオルで包んだり、咬まれないようにエリザベスカラーをつけることもあります。
—家で爪切りをするときにはとにかく嫌がられないように、どうしても難しい場合は動物病院という選択肢もあるということですね。
—あまり爪切りをしていない飼い主さまもいると思いますが、お話を聞かせていただいて、爪切りの大切さがわかりました。
家の中で猫を飼う場合には、猫自身の過ごしやすさはもちろん、飼い主さまとの暮らしのためにも、定期的に爪を切る習慣を付けたほうがいいですね。まずは、1本の爪を切るところから始めてみてください。
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