2015/12/10
毎日癒しを与えてくれる大切な愛猫。健康管理に気をつけて、年齢を重ねてもずっと一緒にいたいですよね。
でも、猫の健康とは、具体的にどんなことに気をつければよいのでしょうか?年齢ごとにケアすべきことはあるのでしょうか?
—子猫が家に来たばかりの時、どんなことに気をつければいいですか?
食欲があり健康的な便をしているか、というのは日々観察してもらいたいです。
子猫の食欲不振や下痢は経過を観察せず、すぐ受診されたほうがよいでしょう。
また、子猫は風邪を引いていることも多く、鼻水・くしゃみ・目やになどが気になる時も早めの受診が必要です。
生後1ヶ月までの子猫は母猫からの移行抗体で体が守られていますが、それ以降はワクチン接種が必要です。
通常、ペットショップやブリーダーで1回目~2回目のワクチン接種を済ませてから手渡されることが多いので、追加接種が必要か、その時期はいつ頃がいいかなどは病院で相談されるといいですね。
野良の子猫を拾ってきた場合などは、その親が猫白血病や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)に罹患していた場合、子猫にも感染しているおそれがあります。
—拾ってきた子猫にはそんなに恐ろしい病気が潜んでいることがあるんですね。
みんながみんな感染しているわけではありませんが、先住猫がいる場合、子猫の検査が終わってから同じ空間で生活させるほうがいいと思います。
猫白血病や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)は専用の検査キットですぐに調べられますので、早急に検査してあげましょう。
この病気以外にも、猫コロナウイルス感染症という病気があります。
軽度の腸炎を起こす病気なのですが、猫の体内でウイルスが突然変異をすると、致死率の高い「猫伝染性腹膜炎」を引き起こします。
こちらの感染症は検査キットもなく診断が困難です。
—そういった野良出身の猫と家庭やペットショップ出身の猫では寿命に差が出てきたりするのでしょうか?
野良猫として一生を終える猫の場合は、感染症の危険にさらされたり、十分な食餌をとることができない日があったり、暑さ寒さに耐えたり、メスであれば妊娠・出産で負担がかかるため、室内で飼育されている猫に比べると寿命は短くなるでしょう。
しかし、野良出身の子猫でも健康な個体であれば、その後、室内で飼育することで、ブリーダーやペットショップ出身の猫と何も変わらず長生きしてくれると思います。
—野良猫でも、家庭で愛情を注げば元気に過ごすことができるんですね。他にも年齢が若い猫にとって注意すべき病気はありますか?
感染症のリスクが回避できれば、まず一安心だと思います。
もちろん、若くても発症するような病気はありますが、若く、健康で、避妊や去勢をしていない場合は、発情期になると外に出たがるようになり、脱走してしまうおそれがありますので、病気よりも脱走や事故に注意したいですね。
また、猫は泌尿器系の病気が起こりやすいことで知られていますが、膀胱炎や尿路結石などは年齢が若くてもかかりますので、排尿時に異変がないかなどはよく注意しておきましょう。
—猫は動物病院をすごく嫌がることが多いのですが、猫をおとなしく動物病院へ連れていく方法はありますか?
病院に行くときだけキャリーバックを出して猫をそこへ入れると、「キャリーバックに入ると必ず病院に連れて行かれる」と学習し、キャリーバックを見ただけで逃げるようになってしまいます。
キャリーバックは普段から猫が自由に入れる場所に置いておき、そこに入っても何も嫌なことは起らないという経験を積ませるとよいでしょう。
また、健康診断や爪切りなど、あまり猫に負担がかからない内容で病院へ定期的に通うことで、動物病院はおそろしい場所だという認識が徐々に薄れるかと思います。
—ストレスになりそうなことは、年齢が若い時から慣らしておくことが大切なんですね。
動物にとって、通常と異なることは強いストレスになります。
特に猫は「たまに起こる変化」を嫌いますので、動物病院に行くことは「よくあること」で、しかも、そこまで嫌な場所ではないと思ってもらうことが大切です。
以前お話した、猫の爪切りと同じように、嫌がりそうなことは子猫のうちから習慣にしておくことが、ストレスのない生活を送る上で重要になります。
—猫の健康診断のため、動物病院を訪れる飼い主さまはどれくらいいらっしゃいますか?
定期的に猫の健康診断を受診されている飼い主さまは、まだまだ少ないと思います。
そもそも日頃から動物病院を利用されている猫の飼い主さま自体、かなり少ないとも言われています。
猫は不調を隠す傾向にありますので、明らかな異変が見られたときには状態が悪化していることも多く、そうなると多くの検査や治療が必要になり、猫としては、病院がますます嫌になってしまうと思います。
猫にこそ定期的な健康診断を受けてもらいたいですね。
—動物病院へ連れて行くとシャーシャーと威嚇したり、帰ってきてからグッタリしてしまう愛猫を見ると、なかなか動物病院へ連れて行く勇気が出ない、という飼い主さまの気持ちは分かりますが…
動物病院は猫以外の動物もたくさんいますから、例えば、犬がワンワン吠えている待合室にいたくない、と考える猫の飼い主さまは少なくないと思います。
でも、最近では猫専門の動物病院や犬と猫で待合室が分かれている動物病院も増えてきているので、少しでも猫のストレスにならない動物病院を探してみると良いかもしれません。
—年齢が若いうちから、ストレスの少ない動物病院通いを心がけてあげたいですね。
—[老猫編]では年齢を重ねた愛猫の健康管理についてお聞きします。
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