2020/12/10
猫をなでようと近づくと猫は離れていってしまう、歩き出すと後からついて来る。甘えてくるのに次の瞬間、知らんぷり。そんな猫に魅力を感じるという方はたくさんいらっしゃると思います。どうして猫はツンデレな反応を見せるのか、その理由やツンデレ猫と接する際のポイントについて解説していきます。
猫はマイペースで自由奔放な性格だけれど、突然甘えてきたり、そばに寄り添って満足そうにしていたりするので、「やっぱり可愛い」と思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。このような猫の行動は、まさに「ツンデレ」と呼ぶにふさわしいでしょう。猫のツンデレは懐いていないわけでも、嫌っているわけでもなく、猫本来の習性です。
ライオンを除いた猫科の動物は、群れをつくらず単独で行動をします。そのため、猫は基本的に上下関係とは無縁で、「自分のやりたいことを、やりたい時にやる」が基本的な行動パターンです。そんな猫の習性による行動が、飼い主さんにツンデレと感じさせるのです。
しかし、猫はきちんと飼い主さんと自分は特別な関係にあることを理解しています。なので、嫌われているのかもしれない、といった心配はしなくて大丈夫です。
それでは、猫が見せるツンデレな行動の例と、その時の猫の心理についてご紹介します。
飼い主さんが愛猫に呼びかけても、知らぬ素振りをされることはありませんか?それは聞こえていないのでも、無視しているのでもなく、「ひとりでくつろぎたい」「眠い」といった状態にあるのかもしれません。
ほかにも写真を撮りたくて、カメラを向けると、そっぽを向いたり目を閉じたりすることもあるでしょう。これは「気が乗らない」、「写真に撮られるのが嫌」など猫の気持ちは様々です。また、飼い主さんの気を惹くために、わざと子どもっぽくつまらなそうな態度をとることもあるようです。
猫が甘えてき、なでていると急に噛み付いたり、猫パンチをしたりすることがあります。
実は猫のこの行動には「愛撫誘発性攻撃行動」という専門的な名前が付けられており、主な原因としては、①スキンシップの時間が長い。猫が満足した後も撫でている。②スキンシップの仕方が気に入らない。強い力で乱暴にされたと感じた。なでられたくない場所をなでた。などと考えられています。
愛猫が、飼い主さんや家族の中で、誰を一番好きだと感じているのか気になりませんか?室内で飼われている猫は、密かに順番を付けているそうです。
猫にとっての一番は、「自分が求めることに応えてくれる人」です。例えば、猫が遊びたいときに遊んでくれる、静かにしていたいときにはそっとしておいてくれるなどです。猫が、その人といれば満足できると感じれば、いつもそばにいるようになります。
また、食事などの世話をしてくれる人も猫から好かれやすい傾向にあります。
猫にも、人間と同じく個性があるので一概には言えませんが、猫の一般的な性格は、性別・品種・毛柄によって異なると言われています。
主に猫の性格は行動に表れますが、行動の違いは性別に関連していると言われています。
男の子は、好奇心が旺盛で感情表現も分かりやすく、寂しがり屋で甘えん坊といわれます。また、去勢された女の子は、より甘えん坊になることが多いようです。
女の子は、妊娠後の出産から子育てまでを1匹で行います。そのため、警戒心が強くしっかりしていて、クールな性格の猫が多いようです。
猫の品種は、もともと生息していた国や地域に由来して様々な種類があります。どのような環境に置かれていたかも大事な要素と考えられており、近年では、フィンランドのヘルシンキ大学による調査でも、猫の性格や行動は品種によって異なるとの報告がありました。
例えば、アメリカンショートヘアーの性格は、とても温厚で人だけでなく、ほかの猫や犬とも仲良くできる社交性を持っています。スコティッシュフォールドは、人にもよくなつきますが、甘えん坊で寂しがりのため、長い間留守はストレスにつながることもあるので注意が必要です。一方でシャムはマイペースでワガママな一面があります。警戒心は強いですが、飼い主さんには甘えてくれます。活発な性格なのでいたずらをすることもあるようです。
猫の毛を決める遺伝子が、猫の性格を決めるうえでも深く関係しているようです。黒一色の毛柄は、目立たず敵から狙われづらかったせいか、警戒心が弱く、穏やかで人懐っこい性格であることが多いようです。茶トラの性格は、甘えん坊で活発ですが、デリケートな一面もあります。また、食欲旺盛で食いしん坊であることが多いです。
このほかにも猫の性格について「日本猫(和猫)の特徴とは?種類で違う性格や特徴をご紹介!」を合わせてご覧ください。
愛猫と飼い主さんが、お互いにストレスなく接することができるいくつかのポイントをご紹介します。
飼い主さんから一方的に猫へ寄っていくのではなく、猫が自分から寄ってきたタイミングで、やさしく撫でてあげましょう。
猫は、自分の気持ちを表現するために体を使ったり、決まった行動をしたりします。
甘えたいときには、左右の前足を交互に押して「ふみふみ」します。「甘噛み」や頭を飼い主にすり付けたり尻尾をピンと立てて身体を寄せてきたりするのも、甘えたいときです。
また、フードのおねだりや、外出から帰ってきた飼い主さんへの挨拶・マーキングなどの理由で、甘えの仕草やサインを見せることがあります。
猫のしっぽに現れる感情については「猫のしっぽはこんなにすごい!?猫を支える2つの役割」をぜひご覧ください。
猫のふみふみの行動については「どんな時にしているの?猫のふみふみの不思議」をご覧ください。
逆に、猫が放っておいて欲しいときには以下のような行動をとると考えられています。
・飼い主さんの呼びかけに応じない
・お気に入りの場所に隠れている
・不機嫌でしっぽをパタパタ激しく振っている
・姿勢を低くしている
愛猫がこういった行動をしているときには、無理にかまうことはやめましょう。
猫は本来ツンデレな動物で、自分の気分で行動をします。そんな猫の習性を理解し、適度な距離をおいて付き合えば、良好な関係性が築けるはずです。そうすることで、愛猫が飼い主さんに甘えてくる頻度も増えるでしょう。飼い主さんの都合で強引に近寄って行くのは、愛猫のストレスに繋がります。本当に嫌がっているときはその思いを察してあげましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。