2021/02/09
愛犬が自分のウンチを食べてしまう“食糞問題”に困っていませんか?特に初めて犬を飼った方は驚かれることでしょう。叱ってもなかなかやめないし、「ウンチを食べるなんて、うちの子はヘンかも?」と心配になるかと思いますが、実は犬の食糞は多くの飼い主さんを悩ませる“犬あるある”のうちの一つです。記事を参考に、犬がウンチを食べてしまう原因を見つけて対策に取り組んでみてください。
まず大前提として、犬はウンチのことをそれほど「汚い」とは思っていません。生まれたばかりの子犬は自分で上手く排泄できないため、母親が子犬のウンチを食べて処理することがあります。犬にとって「ウンチを食べる」のは、人が思うよりも自然な行動なのです。
しかし、「食糞」には、寄生虫や栄養不足などのトラブルが潜んでいる可能性があります。他の犬のウンチを食べてしまうこともあり、感染症のリスクも考えられます。それに飼い主さんからすると、心情的にも衛生面的にもやめさせたいところです。愛犬に食糞をやめてもらうために、まずは原因について考えてみましょう。
特に子犬の場合は、単純に好奇心や退屈しのぎでウンチを口にしてしまうことがあります。ウンチが散らばっていたり、残っていたりするなら、暇つぶしとしておもちゃ代わりとして遊んでいた可能性も考えられます。
子犬の食糞は成長にともない、なくなっていくものですが、習慣として残ってしまい、ウンチを食べる成犬もいます。大人になってからやめさせるのは一苦労ですが、根気強く取り組みましょう。
フードが合っていなかったり、ストレスを感じやすい性格だったりと、様々な理由からフードが十分に消化されないことがあります。消化不良の便には、フードのニオイがしっかり残ります。犬にとっては美味しそうなニオイなので、食べ物だと思い込んで口にしてしまいます。
また、ダイエットのために極端な減量をしていると、食事量が足りず、空腹を満たすためにウンチを食べることがあります。
犬は学習能力が高い生き物です。何かの弾みでウンチを食べたときに飼い主さんが怒ったり騒いだりすると、「ウンチを食べる=構ってもらえる」と学習してしまい、「構ってもらいたい、注目されたい」という欲求から行動がエスカレートしていくことがあります。
ウンチを食べたときに飼い主さんが強く怒りすぎるなど、犬が恐怖と感じる経験をすると、「ウンチをすると怖いことが起こる」と覚えてしまい、ウンチを我慢したり、隠すために食べたりしてしまうことがあります。
さまざまな対策を行っても食糞をやめない場合、消化不良になってしまう病気や行動疾患などが隠れている場合があります。例えば、犬の体内に寄生虫などが潜んでいる場合は、常に栄養が不足している可能性があるため、ウンチを食べていることが考えられます。
犬の食糞は今すぐに大きな病気に直結する、という可能性は高くないため、心配しすぎる必要はありません。しかし、食糞を放置することで起こりうるリスクもあります。
犬のウンチは酸度が高く食べ続けることにより、胃腸炎にかかるリスクが考えられます。また、犬の体内に寄生虫がいた場合は、排出した寄生虫をまた口から取り込んでしまう可能性もあります。
さらに食糞をやめさせずに放置すると、散歩中に他の犬のウンチを食べるようになることがあり、寄生虫や菌が感染して病気になるリスクが高まってしまいます。
愛犬の口がクサイ、不衛生に感じるといった精神的なデメリットのみならず、犬と人が共通で感染する病気がうつされる懸念があります。
ウンチを食べてしまう理由は個々で異なるため、根本的に解決するには愛犬の様子をよく観察することが大切です。
また、子犬の場合は成長と共に食糞をしなくなっていくケースが多いですが、成犬の場合は、食糞しなくなるまでに時間を要することがあります。飼い主さん一人で解決しようと気負わずに、獣医師やドッグトレーナーなど、専門家に相談することを検討しましょう。
犬がウンチを食べたときに大切なポイントは、黙ってすぐにウンチを片付けることです。どうしても「あー!ウンチ食べちゃった、ダメ!」と言いたくなりますが、グッとこらえて後始末をしましょう。飼い主さんが怒ったり騒いだりすると、犬は「ウンチを食べると構ってもらえる!」と学習して繰り返すようになります。
また、怒られたことで犬が恐怖を感じてしまった場合は、それ以降の排泄を我慢したり隠そうとして食糞行動が悪化してしまいます。こうしてウンチを食べた経験が積み重なることで習慣になり、やめさせにくくなるという悪循環に陥ります。
食糞がクセになっている場合は、ウンチを食べる隙を与えないことが大切です。特に食後は犬から目を離さずウンチをしたらすぐに片付けて、おやつをあげるようにしましょう。「ウンチを残せばおやつが貰える!」と学習させてあげることで、徐々に食べなくなっていきます。
子犬の場合は、きちんとフードが消化できていない可能性がありますので、フードの種類を見直してみましょう。フードを一気に食べてしまう場合は、食事の回数を増やして1回あたりのフード量を減らすのも有効です。
また、愛犬の健康管理に熱心になるあまり、ダイエット目的でフードを減らしすぎていませんか?実は食事量が足りず、お腹が空きすぎたことが理由でウンチを食べているかもしれません。
飼い主さんの自己判断で極端な食事制限を行うのは、犬の健康にもよくありません。食糞防止と合わせて、先々の健康のためにも、獣医師と相談して適切なフードの種類と量を見極めるのがオススメです。
ドッグフードの選び方については、こちら「ドッグフードの正しい選び方|愛犬の健康と成長のために」をご参照ください。
病気や寄生虫等の感染が原因で、フードからしっかり栄養を吸収できていないケースも考えられます。これまでにご紹介した方法でも、食糞をやめないようでしたら、獣医師に相談して糞便の検査を受けましょう。
犬がウンチを食べてしまう原因も対処法もさまざまですが、全てに共通する対策はウンチを、すぐに片付けることです。また、成犬の食糞はやめさせるまでに時間がかかるため、難しいと感じたら無理をせずに、獣医師等に相談してみましょう。
実はストレスや退屈、寂しさからウンチを食べている場合は、散歩や遊びの時間を増やしてあげることでピタッと収まるケースもあります。
愛犬のお口がウンチで臭いと気が滅入りますし、何より犬自身の衛生、健康面でもリスクがあります。まずは愛犬とコミュニケーションを取って、何を求めているのかを見定め、愛犬と飼い主さんの両方がより快適に暮らせるように、焦らず取り組んでみてください。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。