2021/11/16
毎日お散歩に行き、元気に走り回るのが大好きな犬。そんな犬によくあるケガが「脱臼」です。
犬の脱臼はどのようにして起こるのか、また特に犬に多い「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」の症状・治療費・予防方法についてご紹介します。
愛犬が足を引きずっていたり、曲げにくそうにしていたりしたら、「脱臼」かもしれません。
脱臼とは、高いところから飛び降りたり、ジャンプしたり、激しく転んだりするなど、関節の可動域を超えた動きをしたことが原因で、骨の関節が本来の位置からずれてしまった状態を言います。
すべての犬種で脱臼が起こる可能性がありますが、中でもトイプードルやチワワ、ヨークシャテリアなどの小型犬が脱臼になりやすいと言われています。
脱臼は関節のある部位であればどこでも起こる可能性がありますが、中でも犬に多いのは「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」です。「パテラ」とも言われます。
膝蓋骨とは、一般的に「膝のお皿」と呼ばれる部分のことです。
膝蓋骨は大腿骨内にある「滑車溝」というくぼみにはまっているのですが、その溝から膝蓋骨が外れた状態が膝蓋骨脱臼で、膝蓋骨が内側に外れると「内方脱臼」、外側に外れると「外方脱臼」と言います。
膝蓋骨脱臼の症例は、外方脱臼よりも内方脱臼の方が多く見られます。またメスの方が発症しやすく、発症率はオスの約1.5倍だと言われています。
また膝蓋骨脱臼には「外傷性」と「先天性」があり、外傷性は交通事故や高いところからの飛び降り、転倒などが原因で起こります。
先天性の場合は、生まれつき膝関節のまわりの筋肉や靭帯に異常があることが原因で、子犬のときから発症していることもあれば、発育にともなって発症してくることもあります。
膝蓋骨脱臼は、症状によって4つのグレードに分けられます。
グレードⅡまでは症状が軽いため、飼い主さんが脱臼に気づかないこともありますが、小さな脱臼を繰り返していると関節に炎症が起こり、関節炎につながる場合があります。
また痛めた足をかばって歩くので、反対側の足に負担がかかり、症状がさらに深刻化してしまうこともあります。
そして症状が進行して骨が変形してしまうと、外科的手術では治らないほど深刻な症状になってしまうこともあるのです。
立っているときに膝の関節がガクガクする、足を引きずることがある、遊んでいるときに急に鳴いて痛がりだした、などの症状が見られた場合はすぐに獣医さんに相談し、治療を開始しましょう。
膝蓋骨脱臼の治療は、内科的治療と外科的治療があります。
内科的治療は、内服薬やサプリメント、半導体レーザー治療などです。合わせて運動制限や体重制限などの指導を獣医さんから受けることもあります。
外科的治療は、「骨組織の再建術」と「軟部組織の再建術」の大きく2種類に分けられ、その手法は様々です。
内科的治療を行うのか外科的治療を行うのかについては、脱臼のグレードや犬種、体重、年齢などによって判断します。
では、膝蓋骨脱臼の治療費や治療期間はどのくらいなのでしょうか。
アクサダイレクトの保険金支払い事例から一部をご紹介します。
外科手術の場合は入院が必要になり、治療費も高額になってきます。
できるだけ早めに治療を開始することが大切です。
先天性の膝蓋骨脱臼は防ぐことはできませんが、外傷性の場合は膝にできるだけ負担をかけない生活をすることで、予防ができます。
症状が軽い場合は、獣医さんの指示によって運動制限などを行います。
生活環境としては、段差や階段のない道を歩くようにする、フローリングなどの硬く滑りやすい床にはカーペットやマットを敷く、などの工夫で膝への負担を軽くすることができます。
また体重が増えすぎると膝への負担が増しますので、体重管理も重要です。
愛犬の体に負担がかからないように生活環境を見直し、もし何か症状に気付いた場合は早めに獣医さんに相談することで、愛犬の体を守ってあげましょう!
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。