2017/03/16
猫を飼うときに避けて通れないのが爪とぎのしつけ。何も教えずにいると、猫は家の様々な所で爪とぎを始めてしまいます。その結果大事なおうちがボロボロになってしまう場合もあります。
「できることなら爪とぎをやめさせたい」
そう思った事がある飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。しかし、猫に爪とぎをやめさせることは、とても難しいのが実情です。
生後5週齢頃になると猫は爪とぎを始めます。爪とぎは猫にとってDNAに刻まれた本能的な行動。爪とぎには様々な理由がありますが、例えば縄張りを主張する効果があるなど、猫が生きていくうえで非常に重要な意味合いを持っています。
そのため飼い主さんは、猫に爪とぎをやめさせるのではなく、猫の爪とぎと上手に付き合っていくことが必要になってきます。爪とぎ器で爪をとがせたり、爪をといではいけない場所を把握させたりなど、飼い主さんの方でしつけや対策を行うことが重要です。
猫が爪とぎをする理由はいくつかありますが、猫の生活において爪とぎは非常に大切な習性で、どの理由も本能に由来するものです。
まず一つ目の理由として挙げられるのが、「狩りの道具としてのお手入れ」。
これは猫のハンターとしての習性で、爪に引っ掛けて狩りをする猫は、常に爪の先端を尖らせておく必要があります。
爪とぎをすることで古くなった爪をはがして、常に新しい爪で生活しているのです。
爪とぎ・爪切りをしないと様々なリスクがあるので注意が必要です。爪切りについては下記の記事で紹介されているので、ぜひご参照ください。
『獣医さん直伝!愛猫の爪切りは「ちょい切りルール」で簡単に!』
二番目の理由として挙げられるのは、「マーキング」としての爪とぎです。
猫は爪とぎをすることで爪あとを残すと同時に、実は肉球からニオイのある分泌物を出しています。そうすることで、自分の縄張りをアピールしているのです。
また、お手入れやマーキングといった目的がはっきりしているものだけでなく、気分転換やストレス発散のために行っている場合も。猫も人間と同じように様々なストレスを感じますから、適度な爪とぎはストレス発散に効果的です。
以上のように、猫は様々な理由から爪とぎを行っています。どれも重要な意味合いがあるため、飼い主さんは猫の習性を理解してあげることが重要です。
まずは猫のサイズに合った爪とぎ器を用意してください。
爪とぎする際に猫は同時にストレッチもしているため、身体を十分に伸ばせて安定感のある、猫が思い切り爪とぎしても動かないものが良いでしょう。
猫によって爪とぎ器の素材の好みが違うため、麻素材や段ボール製の物など数種類チャレンジして、好みの爪とぎ器を見つけてあげるのもポイントです。
好みの爪とぎ器が用意できたら、猫を爪とぎ器まで連れていきます。
飼い主さんが猫の手を取り、用意した爪とぎ器に優しく擦り付けるようにして爪とぎの真似事をしてあげます。こうすることで爪とぎ器にフェロモンが移り、猫は「自分の物」と認識してくれます。
「爪とぎしてはダメな所」と「してもいい所」をわかってもらうため、もしも猫が「爪とぎしてはダメな所」で爪とぎを始めたら、爪とぎ器のところまですぐに連れていきましょう。
しつけた後でも、猫は「爪とぎしてはダメな所」で爪とぎをしてしまうことがあります。
こうした場合に猫を叱ってはいけません。猫はなぜ叱られているのかがわからないため、ストレスを感じてしまうだけです。
上手にできた時だけ褒め、失敗してしまった時には叱らないようにしましょう。
どんなに上手にしつけても、猫が爪とぎ器以外の所で絶対に爪とぎをしないようになるとは限りません。そんな時のために対策を立てておきましょう。
【その1】すかさず爪とぎ器をあてがう
「爪とぎしてはダメな所」で爪とぎを始めたらすぐに爪とぎ器をあてがいます。
「爪とぎしてはダメな所」でそのまま爪とぎをさせないようにしましょう。
【その2】爪とぎ器でカバーする
猫にお気に入りの柱ができてしまった場合など、あらかじめ爪とぎしてほしくない柱等に爪とぎ器を立てかけておきます。こうすることで、猫は必然的に爪とぎ器を使わざるを得なくなります。
【その3】障害物を置く
観葉植物やマガジンラックなどの障害物を爪とぎしてほしくない物の前に置きます。こうすることで、物理的にそこでは爪とぎができなくなり猫は諦めます。
【その4】忌避剤を塗る
爪とぎをしてほしくない場所に「忌避剤」を塗ります。忌避剤からは猫が嫌いな味や匂いがするため、あまり近づかなくなります。
【その5】爪とぎ器を交換する
古くなった爪とぎ器を交換します。猫はとぎ心地の良いものを常に求めているため、爪とぎ器が古くなったらそのままにせず、新しいものを買ってあげましょう。
【その6】定期的に猫の爪切りをする
鋭利な爪の先端をあらかじめ切っておきます。こうすることでもしも猫が「爪とぎしてはダメな所」で爪とぎをしてしまっても、被害は最小限で済みます。
猫の爪とぎをやめさせることは不可能です。
そのため猫の爪とぎと上手に付き合っていくことが大事になります。
自分の猫にあった爪とぎ器や対策の方法などを模索して、飼い主さんと猫にとってなるべくストレスの少ない暮らしを見つけたいものですね!
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。