2017/03/30
ふと気づくと、なんだか愛犬の体が震えている……もしかしたらこれは、何か病気の症状なのでしょうか。
今回は、犬が震える理由について、獣医師の三宅先生にうかがいました。
—犬が震えているときは、どのような原因が考えられるのでしょうか?
犬が震える原因は様々です。寒さや痛み、恐怖心や警戒心、ストレスなどもありますし、高齢による筋力の低下や、何らかの神経症状で震えることもあります。
そのほかにも、仮病というわけではありませんが、震えていると飼い主さんが優しくしてくれた、などの経験があると、犬が学習して、何もなくても震えることがありますね。
—震えている原因が病気の神経症状なのかどうか、見分ける方法はありますか?
いえ、震えている見た目だけでは、何が原因なのかまでは判断できません。
室温が低くないか、聞きなれない音がする・見慣れない人がいるなど犬がおびえるような環境ではないか、触って痛がる箇所はないか、などを確認してみましょう。
また、震えていても、散歩や食事のタイミング、おすわりなどの指示をきっかけに止まるかどうかを見てみると良いでしょう。
—では、愛犬が震えていたらどのように対処すれば良いでしょうか?
日常生活が普段通りに送れているなかでたまに震えることがある、という程度であれば、さほど心配いらないことがほとんどです。
—インターネットで「犬の震え」を検索すると、重大な疾患が紹介されていて恐ろしくなります。
インターネットの情報で過度に不安を感じる必要はないと思いますが、「震え」は重大な病気のサインになっていることも事実です。強い痛みが生じているために震えることもあれば、神経症状として震えることもあります。
しかし、さきほどお話したように、すべての震えが病気につながっているわけではありません。
—寒さに弱くて震えているときは、洋服などの防寒着を着せても良いのでしょうか?
極端に寒さに弱い犬種もいますので、寒い時期の外出時に防寒として服を着せることもあると思います。
しかし、ずっと着せたままにしておくと、犬がストレスを感じたり、皮膚炎の原因になったり、服とこすれて毛玉ができたりすることもあるため、着せっぱなしにすることはおすすめできません。
—洋服を着ることは、犬にとって不快ではないのでしょうか?
ファッション目的の着衣に関しては、多くの犬が迷惑に感じているかもしれません。しかし、寒さ対策の他にも、傷の保護、アレルギー物質付着の防御などを目的として服を着せることもありますので、必要な着衣もあるんです。
—病気が原因で震えていることもあるのですよね?
そうですね。病気による痛みで震えることもあれば、神経症状として震えが起こっていることもあります。たとえば、血糖値の極端な低下やてんかん発作などは神経症状を起こします。
—てんかん発作では、痙攣ではなく震えが起こるのでしょうか?
てんかん発作の症状は様々で、痙攣を起こすこともありますが、発作の予兆として震えたりあくびをしたり、といった小さな症状がみられることもあります。
—震えのほかに、どのような症状が見られたら受診したほうが良いでしょうか?
症状が震えだけだとしても、その震えが継続していたり、いつも同じタイミングで起こったりする場合は受診を検討されたほうがいいでしょう。
たとえば、食後に必ず震えなどの神経症状がみられるケースでは「門脈シャント」という病気が原因になっていることもあります。
あとはもちろん、食欲低下、元気消失などが合わせて確認できるようであれば、受診は必要だと思います。
愛犬が震えていると、飼い主さんは当然不安になります。しかし、すべての震えが病気のせいではありません。その場の状況や、食事や散歩などの普段通りの行動が取れるかなどを総合的に判断した上で、受診が必要な場合は獣医さんに相談してくださいね。