2022/4/28
近年の猫ブームで、猫を飼い始める方が増えました。フードやトイレの用意だけではなく、猫の飼育には様々なグッズや病気、怪我の治療のために医療費も必要となります。「思い切って飼い始めてみたけれど、予想外にお金がかかってしまい、これ以上飼えない……」となる前に、東京都福祉保健局のデータを元に、猫の生涯飼育にかかる費用について考えてみましょう。
猫を飼育する初期費用については「【猫を飼う前に必読!】準備のポイントと気になる初期費用」もあわせてご覧ください。
まずは、毎日の餌代。猫の好みや月齢、体調に合わせて飼い主さんがそれぞれ選んでいます。最近は厳選された食材を使った「プレミアムフード」なども市販されています。
一番多いのは、3〜6万円未満で31.3%、次いで1〜3万円未満の28%、6〜10万円未満の11.4%と続きます。
中には、50万円以上の方が0.5%!アレルギーなどの体質や療法食によって高価になっている可能性なども考えられます。
猫の餌については「猫の餌って何がいいの?適切な食事の回数、選び方から与え方まで」もあわせてご覧ください。
次に気になるのが、猫の医療費。持病やケガ、皮膚疾患など、人間同様に猫も様々な病気にかかります。最も多い1〜3万円未満が32.7%。次いで3〜6万円未満が17.5%です。
治療内容によっては高額になることもあるので、ペット保険に加入するなどの備えが必要ですね。
特に病気もなく健康に過ごしていても、年に1回のワクチン接種が推奨されています。ワクチンの種類にもよりますが、一般的に3,000〜7,500円程度かかりますので、準備しておきましょう。
ワクチン接種の種類や費用については「猫を感染症から守るワクチン接種。種類、費用、副作用のリスクは?」もあわせてご覧ください。
またワクチン接種と合わせて、定期的な健康診断を受けておくと安心です。5歳未満の猫は年1回、5歳を過ぎたら半年に1回の健診を受けるのが一般的で、費用は1回10,000円前後で値段設定している動物病院が多いようです。
食費と医療費以外にも、トイレ用のシートや砂などの消耗品、おもちゃなどの嗜好品、トリミングやブラシなどのケア用品が年間で1〜3万円ほどかかると言われています。
では、猫の平均寿命である12〜18歳まで飼育した場合、総費用はいくらになるのでしょうか?今回は例として、15歳まで飼育したとして計算してみましょう。
上記データの最も割合が高い金額帯で、(年間の費用)×(猫の平均寿命)を計算してみると、
【食費】
年間の費用(3万円〜6万円)×平均寿命(15歳)=45万円〜90万円
【医療費】
年間の費用(1万円〜3万円)×平均寿命(15歳)=15万円〜45万円
【食費と医療費以外】
年間の費用(1万円〜3万円)×平均寿命(15歳)=15万円〜45万円
これらを合計すると、生涯にかかる費用は75万円〜180万円となります。
この金額はあくまでも平均で、急なケガや病気で高額な医療費がかかることもありますし、高齢になると定期的な投薬や通院が必要になったり、食事を療法食に変更しなければならない可能性もあります。
「お金はなんとかなるだろう」と安易に考えず、猫の飼育にかかる費用を十分に理解した上で、新しい“家族”を迎え入れてくださいね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。