2017/11/16
犬がグルーミングや汚れを取るために自分の前脚や後脚をペロペロ舐めるのは、よく見られる行動です。しかし長時間、もしくは頻繁に脚を舐め続ける行動が見られたら、それは何らかのサインかもしれません。
今回は、犬が脚を舐める理由についてご紹介します。
長時間、もしくは頻繁に犬が脚を舐め続けているとしたら、いくつかの理由が考えられます。
皮膚真菌症や脂漏症など、皮膚の病気が原因で痒みや痛みがある場合、患部を舐めたり引っ掻いたりすることがあります。ノミやダニが付いている場合も、舐めてそれを取り除こうとします。
また、シャンプーや餌を変えた直後に舐めるようになったのであれば、何らかのアレルギーを発症しているのかもしれません。
舐めている部分に湿疹や傷、皮膚の荒れが無いかを観察し、異常が見られる場合は動物病院を受診しましょう。
犬の皮膚炎に関しては、「犬が体をかく8つの理由。その症状、皮膚炎へつながることも!? [皮膚炎 前編]」 、「愛犬を「皮膚病」から守るために|知っておきたい予防と治療法 [皮膚炎 後編]」 もあわせてご覧ください。
骨折や打撲などが原因で骨や関節に痛みや違和感がある場合にも、患部を舐めることがあります。歩きにくそうにしていないか、飼い主さんが触ると痛がらないかなどを確認しましょう。
犬の骨や関節の病気に関しては、
「獣医さんに聞く!犬の椎間板ヘルニア 原因・予防法・治療法」 、「愛犬の歩き方を要チェック!小型犬に多い膝蓋骨脱臼の症状~予防対策まで」もあわせてご覧ください。
飼い主さんが外出するとき、また帰ってきたときに頻繁に脚を舐めている様子が見られたら、飼い主さんが不在であることが原因の「分離不安」かもしれません。分離不安の場合は、脚を舐めるだけでなく、吠える、震える、部屋を荒らす、粗相をするなどの行動が見られることもあります。
また飼い主さんに強く叱られたとき、大きな音がしたとき、来客があったとき、散歩不足による運動不足など、何らかのストレスを感じたときに脚を舐める様子が見られたら、それは気持ちを落ち着かせるための「カーミングシグナル」です。
舐める行動がずっと続いてしまうと、それが原因で皮膚炎になってしまうことがありますので、注意が必要です。
皮膚炎やケガなどが原因で脚を舐めているのであれば、早めに動物病院を受診しましょう。治療中は、患部を舐めないようにエリザベスカラーの装着などが必要です。
音や環境などによるストレスが原因の場合は、ストレスを感じる要因を排除して、気持ちを落ち着かせてあげましょう。
分離不安が強い場合は、飼い主さんと愛犬の関係性を見直すことが重要です。愛犬を甘やかしたり、関係が親密になりすぎると、少しの分離でも犬がストレスを感じてしまいます。
しつけを徹底するなど飼い主さんが強いリーダーシップを持ち、愛犬に自立心を持たせることで関係が改善していきます。
犬が普段と異なる行動を取るのには、何らかの理由があります。無理に行動を抑制するのではなく、行動の原因となる要素を取り除いたり、解消してあげましょう。心配な場合は、早めに動物病院に相談してくださいね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。