2020/07/22
猫のプニプニとした感触を持つかわいらしい肉球ですが、大事な役割を持っています。他にも、肉球の温度や色が、病気のサインを示していることもあります。猫のチャームポイントでもある肉球の名称や役割、ご自宅でできるチェックポイントをご紹介します。
飼い主さんたちを魅了してやまない肉球には、実は部位別にさまざまな呼称があるのをご存知でしょうか。まずは肉球の基本的な情報をみていきましょう。
肉球の正式な名称は「蹠球」(しょきゅう)といい、中心に位置する大きなものと外側に位置する小さなもので構成されています。それぞれの部位に名称があり、前脚と後ろ脚でも名称が変わってきます。
肉球は脂肪および弾性繊維でできています。猫の皮膚はとても薄く、0.02~0.04ミリほどであるのに対し、肉球は厚く1ミリ程あります。年齢や環境で柔らかさは変化し、生後間もない子猫の肉球はとても柔らかく年齢を重ねていくことで硬くなります。
また外猫と家猫では柔らかさが異なり、外猫は硬い場所や熱い場所、冷たい場所などを歩くため家猫よりも肉球が硬くなるのです。また肉球は摩耗しにくく多少擦り減っても再生しますが、全てを失ってしまった場合は再生できなくなります。色は毛の色と関連があり、毛色が薄い個体は肉球の色も同じように薄くなり、濃い個体は肉球の色も濃くなるようです。
肉球は猫が生活するうえで、なくてはならない役割を果たしています。どんな役割があるのかみていきましょう。
足音を消す
狩りをする際には、獲物に気づかれないように接近する必要があります。肉球には足音を消す働きがあり、猫が餌を確保するうえで欠かせない機能となっています。
クッション効果
猫は普段から様々なところに登る傾向があります。そのため高所から飛び降りることも多くなりますが、肉球が着地の際の衝撃を吸収するため、身体へのダメージを軽減してくれます。
滑り止め
猫は高所のほか、足場が非常に悪いところを移動することも少なくありません。そういった場所を移動する際に、肉球に汗をかいて湿ることで滑り止めの効果を生み出します。
顔のお手入れの道具
猫は自分の眼や耳周辺の顔まわりは舐めることができないので、肉球を舐めて湿らせ、ブラシ代わりにしています。
物をつかむ
肉球を使って物を掴んだり、しがみついたりすることができます。猫以外にも、ライオンやトラなどのネコ科動物にみられる大きな特徴です。
肉球をよく観察すると、病気のサインがわかることも。熱くなっている場合は発熱、色が薄くなっている場合は貧血の疑いがあります。クリームを使用したマッサージで乾燥を防ぐなど、普段から肉球に触れていると病気の早期発見に役立つ場合もあります。
そのほか、長毛種の猫を飼っている方は、肉球まわりの毛にも注意が必要です。肉球まわりの毛が伸びていると、歩くときに滑りやすくなってしまいます。移動時に滑っているのが見受けられたら、肉球まわりの毛をカットしてあげると良いでしょう。
猫の肉球には、独特の感触や見た目の可愛さだけでなく猫の生活に必要な役割がたくさんあるようです。この機会に一度、愛猫の肉球をじっくり観察してみるのもよいかもしれませんね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。