2018/06/07
猫の毛の色や柄は、ほとんどが遺伝によって決められています。
ペットとして飼育されている「イエネコ」の祖先は、中近東・アフリカに生息するリビアヤマネコだと言われています。
野生のリビアヤマネコの毛色は、自然の中でも目立たないシマ模様でした。しかし人間に飼いならされ、国同士の貿易が盛んになるにつれて世界中のあらゆる地域に生息地域が拡大。それぞれの地域の気候や環境に適応するように、毛の色や長さが変化していきました。
猫の品種は、同じ土地・環境で生きる猫同士が交配して純血種として固定化したタイプ、純血種の中から突然変異的に発生したタイプ、そしてこれらの純血種同士を人為的に交配させて新しい毛色・毛柄を作り出したタイプの3種類があります。
遺伝子の組み合わせによって、猫の毛色・毛柄には様々な種類があります。代表的な猫の毛色と柄のパターンについてご紹介します。
■タビー(トラ柄)
背骨に沿って左右に細いシマ模様が入っている毛柄です。猫の祖先であるリビアヤマネコと同じ模様で、日本にいる猫の中でも多く見かけます。
■ソリッド(単色)
模様がなく、毛色も1色のみです。
色の種類は、代表的なブラックやホワイトのほか、チョコレート・シナモン・レッド・ブルー(グレー)・ライラック・フォーン・クリームの9色があります。
■パーティーカラー
2~3の毛色の組み合わせによってできる毛柄です。
■ポインテッド
耳や脚、尾などの体の末端部分に濃い色がついています。ポインテッドの猫の多くは、誕生時は全身が真っ白で、成長と共に末端部分の毛が濃くなっていくのが特徴です。
一説によると、体が冷えやすい末端部分の色を濃くすることで、冷えを防止する効果があるのでは、と言われています。
「オスの三毛猫は幸運をもたらす」と言われますが、これは三毛猫のオスは突然変異でしか生まれず、とても珍しいから。オスが生まれにくいのは三毛猫だけでなく、サビ柄猫も同様です。
では、なぜオスの三毛猫やサビ柄が生まれないのでしょうか?
猫の性染色体は、人間同様にXとYが一つずつあります。XYであればオス、XXであればメスです。
そして、白以外の毛色を決める遺伝子はXにしかありません。つまり、白以外の2色の毛色を持つためにはXが2つ必要になるため、Xを一つしか持たないオスは3色になることができません。そのため、三毛猫やサビ柄はほとんどがメスなのです。
ごくまれに3つの性染色体(XXY)を持つオス猫が生まれることがあり、それらの猫は三毛やサビ柄になる可能性もありますが、約3万匹に1匹程度の確率だと言われています。
猫の毛色や柄は、遺伝子によって決められます。寒い地域、暑い地域、敵が多い地域、のんびりした地域…それぞれで育った猫の遺伝子が受け継がれていくので、毛色や柄によって、性格や行動の傾向に違いが生まれてくるようです。
猫の性格は、性別や経験、生活環境によっても異なります。以下に挙げるものは、あくまで一般的な例としてご覧ください。
■野生に近い「キジトラ」は警戒心が強い
ヤマネコと同じ柄で、性質も野生に近いため、警戒心が強く、見知らぬ人には慎重に接します。その反面、飼い主さんなど心を許した人に対しては、甘えんぼうになりやすい傾向です。
■色が目立たない「黒猫」は怖いもの知らず
毛色が目立たないために敵から襲われにくい黒猫は警戒心が弱く、フレンドリーで穏やかな性格です。
あまり怖がらない性格のために、高いところや危険なところに行ってしまうなど怖いもの知らずの一面もあるようです。
■どこにいても目立つ「白猫」はデリケート
黒猫と違い、どこにいても良く目立つ白猫は慎重派。神経質で頭がよく、他の猫を寄せ付けない雰囲気です。
純白の神聖なイメージから、古くから「神のつかい」「お金を呼ぶ」などと言われて大切にされてきました。
■ほとんどがメスの「三毛猫」は気まぐれ
気分屋で警戒心が強くマイペースといった、いわゆる「猫らしい」ツンデレな性格です。また母性本能が強く、我が子を大切に守る一面もあります。
猫の毛色・毛柄は十猫十色。じっくり観察して、その猫だけが持つ個性を楽しんでくださいね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。