2020/06/25
犬を飼ううえで欠かせないケアのひとつが耳掃除。耳垢の状態で考えられる病気や外耳炎など耳のトラブルが起きやすい犬種、自宅でできる耳掃除やケア方法などをご紹介します。
犬の耳の構造は外耳、中耳、内耳の3つに分かれています。耳から鼓膜につながる外耳道は、人間の耳とは構造が異なり、L字型で奥が見えない構造となっています。そのため、シャンプーや水遊びをした時、湿度の高い雨の日に散歩をした時など、耳の中に水が残っていると、耳の中が蒸れて菌が繁殖し、耳垢が溜まりトラブルの原因となってしまうこともあるため、定期的にケアする必要があります。
耳の形状によってトラブルの原因が異なるため、愛犬にあった適切な手入れが重要です。
以下の犬種は、耳の中が蒸れやすく、菌の繁殖がしやすくなっているのでより注意が必要です。
耳トラブルが起きやすい犬種
耳の垂れている犬種:ゴールデン・レトリーバー、バセット・ハウンド、ラブラドール・レトリーバー、トイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンドなど
耳毛の多い犬種:ミニチュア・シュナウザー、プードルなど
耳道の狭い犬種:パグ、ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグなど
耳垢の多い犬種:シー・ズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなど
耳掃除をする前に、まずは愛犬の耳の状態をチェックしましょう。耳垢から現在のコンディションがわかるかもしれません。
健康な耳の状態は、ピンク色で余分な耳垢もなく匂いもない状態を指します。耳に以下にあげられるような、耳垢が見られる場合は注意しましょう。
耳垢の状態が上記に該当する場合は、外耳炎やマラセチア皮膚炎などの耳の病気の可能性もあるため注意しましょう。外耳炎については、以下の記事で詳しく説明しているので参考にしてみてください。
「犬がかかりやすい病気「外耳炎」の原因って?正しい予防と治療方法」
犬の耳は非常に繊細なため、過度なケアは禁物です。シャンプーや水浴び後にきちんと水分を拭き取ること。週に1~2回程度を目安にイヤーローションを使って掃除してあげましょう。
イヤーローションを使った耳掃除
用意する物:イヤーローション(市販の犬・猫用の耳洗浄剤)、コットン・ガーゼ(繊維が荒すぎないもの)、鉗子(かんし)
耳掃除で注意したいこと
耳垢が固まっているときには、イヤーローションでふやかしてから取るようにします。この時に水を使うと耳の中が蒸れて菌が繁殖する原因となります。また、耳垢は水では落ちにくいため、必ずイヤーローションを使用しましょう。
こびりついた耳垢を無理に取ろうとすると、かえって汚れを耳の奥につまらせてしまうこともあるため注意が必要です。綿棒を使用すると綿棒の綿が耳の中に残ってしまったり、耳垢を押し込んでしまう恐れがあります。
また、耳の奥を傷つける場合もあるのでなるべく使わない方が良いでしょう。耳の中に毛が生えている犬で、毛が伸びすぎて、耳の中の通気性が悪くなっている場合は鉗子を使って、ゆっくりと少量をつまみ、引き抜くのがポイントです。鉗子がない場合、指で抜いても構いませんが、痛がらせないように気をつけましょう。
耳の中の通気性をよくするために、耳の毛を抜くような場合には、体毛よりも細くてコシのない、人間でいう産毛の部分を選んで抜くようにすることがポイントです。産毛以外の毛を抜いてしまうと炎症を起こす場合もあるので注意が必要です。毛が抜けたらイヤーローションをつけたコットンで軽く拭いてあげてください。
犬種によって耳掃除の仕方が違うだけでなく、注意するポイントがたくさんあります。これからの季節は、一層蒸れやすいのでこまめにケアしてあげましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。