2020/07/22
愛猫は室内で飼っていて、暑い日にはエアコンもつけているので熱中症にはならないと思っていませんか?実は室内飼いの猫でも夏の厳しい暑さで体調を崩すこともあります。夏の室内環境で気を付けておくべきポイントと、熱中症になってしまった時の応急処置についてご紹介します。
暑い日は、飼い主さんが在宅時はもちろん、飼い主さんが外出しているときや眠っているときも、エアコンはつけっぱなしにしておきましょう。一部の人感センサーが搭載されたエアコンでは、人間が不在になると自動的にスイッチがオフになる場合もあり、それが原因でペットが熱中症になってしまうという事故があるようです。お手持ちの製品の説明書をよく確認した上でご使用ください。
エアコンの風が苦手な猫もいますので、エアコンで室内の空気を冷やしつつも、猫が自由に移動できるよう、部屋のドアを開け放っておきましょう。ドアを開けておく際は、扉が勝手に閉まらないようにしっかりとドアストッパーをかけることを忘れずに。うっかりドアが閉まって蒸し暑い部屋に猫が閉じ込められてしまう、などの危険性があります。
そして、エアコンのリモコンは猫が届かない場所に置きましょう。机の上に置きっぱなしにしていたら猫が踏んでしまい、エアコンのスイッチが切れてしまった!というトラブルも考えられます。
また、直射日光が当たる窓のカーテンやブラインドは閉めておきましょう。
猫の熱中症対策や夏バテ対策については
「【獣医師が解説】愛犬・愛猫の熱中症対策と応急処置」
「猫の夏バテにはどんな症状があるの?獣医さんがすすめる予防と対処法」
もあわせてご覧ください。
体内の水分が減って脱水状態になると熱中症になりやすくなります。家中のあちこちに水の皿を複数用意したり、自動給水器を使用するなどして、いつでも好きなときに新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。流水を好む猫の場合は、短い時間の外出であれば水道の蛇口を少しだけ開けておいて、洗面ボウルに水を溜めておくなどしてもよいでしょう。
あまり水を飲まない猫の場合は、餌をウェットタイプにしたり、ドライフードに水を含ませたり、肉の茹で汁などを加えるなどして、食事から水分をたっぷりとれるように工夫してください。
また、猫は足の裏以外からは汗をかきません。摂取した水分を尿として排泄することで、体温が下がります。トイレが汚れていることを好まない猫の場合はマメにトイレの掃除をして、いつでも気持ちよく排泄できるようにしてあげましょう。
猫には「家の中のお気に入りの場所」があり、多少暑くてもその場所に居続ける習性があります。
お気に入りの場所が暑いときは、熱伝導率の低い大理石を使用したペットマットやアルミシート、ペット用の小型クーラーなどの“ひんやりグッズ”を設置してみましょう。凍らせたペットボトルをタオルで包んで側に置くなど、身近なものでも工夫できます。
猫は、具合が悪い様子をあまり飼い主さんに見せません。耳の中がいつもより熱かったり、嘔吐や下痢を繰り返したり、パディング(口を開けて呼吸すること)をしたりしていたら、熱中症の可能性があります。
熱中症の応急処置として重要なことは、まず体温を下げること。濡らしたタオルで首や胴体部分を包み、エアコンの効いた部屋で体を冷やしましょう。タオルはすぐにぬるくなってしまうので、こまめな交換が必要です。そのほか、氷枕や保冷剤などを使用して、全身を冷やし続けます。あわせて、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をして指示を仰ぎましょう。
脱水状態かどうかを簡易的に調べるために、背中の皮膚をつまんで確かめる方法があります。通常はつまんだ皮膚は15秒程度で元に戻りますが、なかなか戻らない場合は脱水症状が疑われます。
ただし、肥満の猫の場合は脱水症状でなくても戻りが遅いこともありますので、判断に迷ったらすぐに動物病院に行きましょう。
人間にとっても厳しい夏の暑さ。ちょっとの工夫や気配りで人間も猫も快適に過ごせるようになります。人間も猫も一緒に頑張って、夏をしっかり乗り切りましょう!
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。