2020/07/30
愛猫の顎に黒いブツブツや汚れが見られたら、それは「猫ニキビ」かも知れません。細菌などの二次感染により重篤化することもある猫ニキビについて、治療法や予防方法などについて獣医師の三宅先生におうかがいしました。
—猫のニキビは、人間のニキビと同じような症状なのでしょうか?
猫のニキビは、正式には「ざ瘡(ざそう)」という疾患名がついています。
毛穴詰まりが起きるという点では人間のニキビと通じるものがありますが、猫の場合は顎に限局して出ます。
—猫ニキビができる原因はなんですか?
顎には皮脂腺などからの分泌物が多く、グルーミングがしづらい場所なので汚れが溜まりやすいことや、体質的に脂の分泌が多い脂漏症である、毛の生え変わりのタイミング、肉体的・精神的なストレスなどが発生に関連していると考えられます。
—顎以外の場所にはニキビができないのでしょうか?
下顎にできることが多いですが、口唇にできることもあります。
—ニキビができやすい環境や生活習慣はありますか?
住環境や食生活による影響は特にありません。子猫にはあまりできませんが、それ以外の年齢や毛の長さによる違いもありません。
—多頭飼育の場合、他の猫にうつることはありますか?
猫の間でもその他の動物でも、感染することはありません。
—猫ニキビができると、痛みや痒みが出るのでしょうか?
軽症の場合は、顎にポツポツと黒や茶色い点々ができる程度です。これは特に痛くも痒くもなく、治療も必要ありません。
—重症化してしまうこともあるのでしょうか?
細菌などによる二次感染があると、炎症がひどくなり重症化します。二次感染を起こすケースは大体4~5割だと言われています。
—重症化すると、どのような治療をするのでしょうか?
患部の毛を剃って抗生剤や炎症抑制の塗り薬を使用します。炎症がひどい場合は、抗生物質を内服することもあります。
—完治するまでにどれくらいの時間がかかりますか?
抗生剤の効きにもよりますが、あまり長期化せずに治癒する場合がほとんどです。
—猫ニキビを作らないために、飼い主さんは何に注意すれば良いでしょうか?
ウェットフードを食べた後などに顎の周りが汚れている場合は、清潔な布で拭いてあげてください。
人間用の消毒剤などは猫の皮膚には刺激が強すぎるので、使用するのは控えてください。
—軽症の場合は、どのようなケアが必要ですか?
軽症の場合でも、飼い主さんが気にして擦ったりすることで、かえって重症化してしまう場合があります。軽症でも気になる場合は、動物病院で低刺激の拭き取り剤を処方してもらいましょう。
自己判断で色々なことをすると、余計に悪化してしまうので注意してください。
また、顔の周りを触られることにストレスを感じる猫もいます。軽症の場合は、飼い主さんはあまり触らずに様子を見るようにしてください。
猫ニキビは、軽症であれば猫の生活の質を下げるような疾患ではありません。汚れているときは軽く拭くなどの日常的なお手入れで十分です。気になる場合は、動物病院で獣医師の診断を受けてください。