2019/02/05
猫が前足の肉球で、動物や物を叩く「猫パンチ」。猫は、いつ、どのような理由で猫パンチをするのでしょうか?猫の気持ちになって考えてみましょう。
猫が「猫パンチ」をする理由は、大きく分けて3つ考えられます。
おもちゃや飼い主さんの体に、そっと優しく「ポンポン」「チョンチョン」とする猫パンチは、遊んでほしい、かまってほしい気持ちの表れです。
猫同士でじゃれ合うとき、飼い主さんと遊ぶとき、おもちゃで遊ぶとき、動くものに興味を示したときなどの猫パンチは、力が弱く、ほとんどの場合は爪が出ていません。
ただし、遊びがエスカレートして猫が興奮状態になった場合は、力が強くなったり爪を出したりして、相手の動物や飼い主さんにケガをさせてしまうこともあるので、注意が必要です。
そのような場合は「ダメ!」などと強く注意しましょう。猫は、「これくらいの力を出すと飼い主さんに怒られる」と学習することで、力加減ができるようになります。
猫が触られたくないと思っているときに無理やり抱っこしたり、長い時間体を撫でたりしたときの猫パンチは、イライラした気持ちや不快感を示しています。
この場合、力はやや強く、爪が出ていることもあります。
猫が嫌がるような触り方はやめて、距離を置いて様子を見ましょう。
また、猫の具合が悪く痛みがあるとき、その部位を触ると強めに猫パンチをしてくることもあります。
いつもは触っても平気なのに、急に嫌がって猫パンチをするようになったというときは、猫の体調に変化がないか、ケガをしていないかなどよく観察しましょう。
猫は本来争いを嫌う動物ですが、喧嘩がエスカレートすると猫パンチで相手に攻撃をすることがあります。
また、鳥やネズミなどの小動物を猫パンチで弱らせて捕らえることは、狩猟動物である猫の本能的な行動です。
この場合のパンチは、小動物なら倒れてしまうほどの威力があり、爪は出ていることがほとんどです。
飼い猫の場合は飼い主さんに本気の猫パンチをすることはめったにありませんが、もし人間に対して攻撃的な態度をとるのであれば、しつけの面を見直す必要があるかもしれません。
もし、野良猫や、ネコノミがついている家猫に猫パンチでひっかかれてしまった場合は、注意が必要です。
ひっかき傷が腫れたり、膿んだり、発疹が出たりしたら、それは「猫ひっかき病」の可能性があります。
猫ひっかき病とは、ネコノミに寄生している「バルトネラ菌」が原因で起きる炎症のことです。
バルトネラ菌は、猫にとっては常在菌なので無症状ですが、人間に感染すると、傷口が腫れて膿が出る、リンパ節の腫れ、発熱、倦怠感などの症状を引き起こします。
重症化すると、痙攣発作や意識障害による脳症を併発することもあります。
「たかが猫にひっかかれた程度」と考えずに、リンパ節や関節の痛み、発熱などの症状が出たらすぐに医師の診察を受けてください。
飼い猫からの猫パンチを避けるためには、過剰なスキンシップはやめて、猫の嫌がるところに触らないようにしましょう。
猫が触られて特に嫌がる場所は、脚やしっぽです。また、肉球をずっと触っていると怒る猫も多くいます。
触る場所や時間、力加減など、飼い猫の好む「ちょうど良い加減」を覚えて、リラックスした状態でスキンシップを楽しみましょう。
猫は「猫パンチ」をすることで、自分の気持ちを伝えています。飼い主さんはそのサインをきちんと受け取って、しっかりした信頼関係を築いてくださいね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。