2019/02/12
人間と同じように、犬もマッサージをされると気持ちよくなります。飼い主さんが愛犬にマッサージをする際のポイントやコツ、注意すべき点について獣医師の三宅先生にうかがいました。
—犬へのマッサージは、どのような目的で行うのでしょうか?
犬にマッサージをする目的は、大きく2種類に分けられます。
一つは、運動器の疾患があり、治療や術後のリハビリとして行うマッサージです。獣医師より家庭でのケアについて指示があり、その中で筋肉の硬直緩和や血行促進のためのマッサージを指導されることがあります。
もう一つは、飼い主さんとのコミュニケーションのためのマッサージです。治療中の病気やケガ、皮膚疾患などがなければ、いつ行っても問題ないでしょう。
—犬にマッサージをすると、どのような効果がありますか?
全身の血行が良くなり、筋肉の緊張がほぐれます。
また皮膚病やリンパ節の腫れ、毛艶などちょっとした変化にもすぐに気づけるので、病気を初期段階で発見することができます。
便秘気味の場合は、お腹を優しくマッサージすることで便秘改善に効果があります。
そのほか、マッサージによって普段から体中を触られ慣れていると、動物病院での治療の際に獣医師に触られるストレスが減るという効果もあります。
そして何よりマッサージの最大の効果は、飼い主さんと犬との信頼関係や愛情が深まることではないでしょうか。
—犬へのマッサージで、注意することはありますか?
最初のうちは、ごく軽い力で、毛並みに沿ってさするだけのマッサージをします。お互いに慣れてきたら、もう少し力を入れて撫でたり、揉んだりしてもいいでしょう。皮膚をつまむようにして動かすのも効果的です。より血行が促進されます。
マッサージの力加減は、さする場合は4g程度、撫でる場合は1,000g程度、揉む場合は1,000~2,000g程度の力で良いと言われています。キッチンスケール等で4gの力がどの程度かを確認してみましょう。思った以上に優しく触れることにびっくりするかもしれません。
飼い主さんであれば、犬がどこを触られると喜ぶのか、よくご存知だと思います。犬が触られて気持ちよさそうにしている部位から、マッサージを始めましょう。
—犬が嫌がる場所は、我慢させてもマッサージを続けたほうが良いでしょうか?
嫌がる場所は、無理にマッサージをする必要はありません。家庭でのマッサージは、あくまでリラックスやコミュニケーションのために行うものです。犬が少しでも嫌がる素振りを見せたら、中止しましょう。
—マッサージの代わりに、ブラッシングでも良いでしょうか?
ブラッシングも血行促進には効果がありますが、人間の手で触るほうがより皮膚が温まりますし、愛情も伝わります。
ただしブラッシングにはホコリや汚れを取る効果がありますので、ブラッシングもマッサージも両方行っていただきたいですね。
—特にマッサージしたほうが良い部位はありますか?
犬は、常に人の顔を見上げているので、首が疲れています。首のところを優しく撫でてあげると、気持ちよさそうにすることが多いですね。
ただし、喉のところを押してしまうと苦しいので、不安であれば喉は触らないほうが良いでしょう。
また、目や耳の周りなど、よく動かしているところは疲れやすいので、マッサージの効果が出やすい場所です。
血行の促進という点では足先はマッサージもしたほうが良いですが、敏感な部位のため嫌がる犬も多くいます。
どの場所であれ、犬が嫌がったり、少しでも気にする様子を見せたりしたらマッサージはやめましょう。
—アロマオイルやクリームを使用したほうが良いですか?
基本的には、何もつける必要はありません。
—マッサージをする時間は、どれくらいが適当でしょうか?
最初のうちから長時間やると飼い主さんも犬も疲れてしまうので、短時間からスタートしましょう。
犬が気持ちよさそうにしているのであれば、特に時間や回数を気にする必要はありません。
飼い主さんも犬もリラックスした状態でマッサージをすることで、体も心も癒やされます。マッサージを通じて愛犬とのコミュニケーションを楽しんでください。