2019/02/26

知っていますか?犬の正しい抱っこの仕方

2019/02/26

知っていますか?犬の正しい抱っこの仕方

 犬を飼っている人にとって愛犬を抱っこしている瞬間は、とても幸せを感じますよね。飼い主さんが愛情表現として抱っこすることが多いと思いますが、中には抱っこが苦手な犬もいます。また人混みや店内などの周囲の状況によっては、犬を抱っこしなければならないこともあります。今回は、正しい犬の抱っこについてご紹介します。

犬は抱っこが好き?嫌い?

 犬は人に触られることが好きな動物です。抱っこは体に触れる面が多く、安心感を与えることができるコミュニケーションの一つですが、犬ははじめから抱っこが好きなわけではありません。抱っこにだんだんと慣れてきてから、安心、愛情を感じるようになり、抱っこが好きになります。そのため、犬がまだ抱っこに慣れていないときに、高いところから落ちて怖い思いをしたり、抱っこの仕方が悪く痛い思いをさせてしまったりすると、苦手になってしまう場合もあります。

 犬は抱っこをされている最中に身動きが取れないことや、地面から足が離れ空中に浮いた状態になることで、緊張や不安を感じてしまうようです。抱っこに慣れさせるには、体に触れる、体の下に手を入れるなど、抱っこを段階ごとに分け、その都度ご褒美を与えるなど、楽しいと感じさせてあげることが重要です。「お手」や「待て」などと同様にしつけの一貫とするのが良いでしょう。

 犬は椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼、関節炎、経痛や内臓疾患がある場合、痛みで抱っこを嫌がります。普段は抱っこが好きなのに嫌がるようであれば、動物病院で相談しましょう。膝蓋骨脱臼、椎間板ヘルニアについては以下の記事に詳しく書いてあるので、そちらもご覧ください。

「愛犬の歩き方を要チェック!小型犬に多い膝蓋骨脱臼の症状~予防対策まで」
「獣医さんに聞く!犬の椎間板ヘルニア 原因・予防法・治療法」

抱っこは徐々に慣れさせていくことが重要です。

抱っこは徐々に慣れさせていくことが重要です。

抱っこの必要性

 愛情表現としてではなく、犬に危険が起こりそうな時、周りに迷惑をかけそうな時には、それらを防ぐために抱っこをする必要があります。以下のようなシーンに出くわしたら、しっかりと抱っこをしてあげましょう。

  1. 人混みなど人との接触の可能性がある時や、狭い道路で自転車、車などと接触しケガを負ってしまう心配がある時。
  2. お店に入る際、ペットが入店可能なお店や施設であったとしても、犬が苦手な人がいるかもしれないことを考慮し、他の人に触れないように抱っこをする。
  3. 街や公園では、他の犬とすれ違った時に犬が興奮状態に陥り、他の犬に威嚇や襲いかかろうとすることがある。そういった行動を抑制するために抱っこをする。
  4. (3)と同様に、どんな場所であっても、リードを離れた他の犬が近づいてきた時は、犬同士の喧嘩を回避するために抱っこをした方が無難。

 大型犬の場合は無理に抱っこしようとせず、リードを短く持つなどすると良いでしょう。また、抱っこができるとトリミングや動物病院の診察の際もスムーズに進行することができます。抱っこを好きにさせる必要性はないですが、抵抗なく抱っこができるようにしておきましょう。

抱っこでトラブルを防ぎましょう。

抱っこでトラブルを防ぎましょう。

抱っこの仕方

<小型犬>
 かがみこみ、片手を犬の前肢の間に入れてお腹を支える。もう一方の手は、お尻を支えるように抱く。
<大型犬>
 体が大きいので横から抱きかかえるようにして体全体を持ち上げる。片方の手は犬の胸部の前側へ回し、もう一方の手は後ろ足の膝の裏あたりに回し、犬のお尻を載せる。

抱っこの基本を押さえておきましょう。

抱っこの基本を押さえておきましょう。

抱っこの時の注意点

 犬に万歳をさせて、犬の脇下に両手を入れて持ち上げる抱っこは、犬の肩関節に強い負荷がかかってしまうので良くありません。関節を痛めないように胴体と腰を一緒に持ち上げましょう。正面からの抱っこは、顔が近く、人と目が合うのを嫌がることもあります。その場合は横か後ろから抱っこしましょう。

 また抱っこをしてあげるのは基本的に良いことではありますが、犬が抱っこをせがむ度に抱っこをしてしまうと、犬は飼い主さんが自分より立場が下だと勘違いし、言うことを聞かなくなる場合もあります。必ず飼い主さんが主導権を握るようにしましょう。その他、抱っこのしすぎは、分離不安を引き起こす可能性があるため、ある程度の自立が必要です。

抱っこが大変な時の便利グッズ

 犬用の抱っこ紐はリュックタイプと斜めがけタイプの2種類あります。その他にも楽に移動ができるカートがあります。ここではそれぞれの特徴をみていきましょう。

 リュックタイプは犬の体重を両肩で支えるので、飼い主さんの肩への負担が少ない点、電車などで犬の顔を隠すためのカバーや、犬が暴れて飛び出してしまわないように防止用ストラップが付いている点がメリットと言えます。しかし形状固定されているので、小さいサイズのリュックだと、中にいる犬が体勢を変えづらい、斜めがけタイプに比べてコンパクトにしづらいという難点もあります。

リュックがあると移動するのに便利ですね。

リュックがあると移動するのに便利ですね。

 一方、斜めがけタイプは、スリングタイプとショルダーバッグタイプがあります。布製スリングタイプは、コンパクトになるので、トリミングや通院などお出かけの際に気軽に使うことができます。メーカーによっては洗濯が手軽にできるのもうれしいポイントのひとつ。しかし、片方の肩で体重を支えるので飼い主さんにはやや負担がかかってしまうかもしれません。

 高齢犬や多頭飼いをしている場合にはカートがおすすめです。犬をカートに乗せることができるので、遠出をする時に便利です。ただし段差や狭い場所での扱いが難点です。

 それぞれに良い点・悪い点があるので、好みや状況に応じて適したものを選んでいきましょう。

それぞれのシチュエーションでグッズをうまく使い分けるのがポイントです。

それぞれのシチュエーションでグッズをうまく使い分けるのがポイントです。

 愛犬の抱っこは、やり方を間違えるとケガをさせ、苦手にさせてしまうこともあります。愛犬とのコミュニケーションや必要な場面でしっかりと抱っこができるように、正しい抱っこの方法を身につけたいですね。

運営・監修 「いぬと暮らす、ねこと暮らす。」編集部

動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。

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