2019/05/21
いつでもどこでも飼い主さんの後を付いて歩き、愛情表現をしてくれる犬は、とても愛らしい存在です。しかし可愛がりすぎると、愛犬は飼い主さんの不在に耐えられず、少しでも姿が見えなくなると大騒ぎをしたり、外出すると大きな声で吠えたり、留守番中に部屋を荒らしたり粗相をしたりする「分離不安」になってしまうかもしれません。分離不安とはどのような状態なのか、くわしく見ていきましょう。
飼い主さんと離れて過ごす不安から、精神的・肉体的に不調になり、そのストレスが原因で様々な問題行動を起こしてしまう状態を「分離不安症」や「分離不安障害」と言います。
愛犬に以下のような行動が見られたら、分離不安症かもしれません。
【飼い主さんの不在時】
【飼い主さんの帰宅時・在宅時】
では、なぜ犬は分離不安症になってしまうのでしょうか。
分離不安症は、「飼い主さんが出かけてしまったら、もう帰ってこないのではないか」「留守番中に、何か危険なことが起こるのではないか」という不安な気持ちが原因となっています。
犬がそのような不安を抱くようになった原因として、以下のようなことが考えられます。
分離不安症は、犬の精神的疾患である「不安障害」の一つです。症状がひどいようなら、一度動物病院に相談しましょう。
治療には、精神安定剤などによる薬物療法と、問題行動を改善する行動療法を併用することが一般的です。
また、症状が軽い場合は、自宅での対処で改善する場合もあります。
まずは飼い主さんと離れることに慣れさせるため、数十秒~1分程度、ドアを閉めて犬をひとりにさせます。徐々に時間を伸ばし、ひとりで過ごすことに慣れさせましょう。
このときのポイントは、留守番ができたことを褒めないこと。飼い主さんが出かけるのは「当たり前」だと認識させることが大切です。
留守番のときに寂しくならないように、お気に入りのオモチャを用意したり、テレビやラジオをつけておいたりします。
飼い主さんの匂いがついた毛布などを与えるのも良いでしょう。
また、室内を適温に保つことも忘れずに。
飼い主さんが在宅中に、常に犬を構っている状態が続けば、犬は飼い主さんに依存するようになります。
在宅中でも、意識的に犬と関わらない時間を作り、犬がひとりで過ごすことに慣れさせます。
もし大声で吠えても叱らず、無視して静かになるまで待ちましょう。
また帰宅時に犬が大げさに喜んでいても、無視して普段どおりに接しましょう。
犬にわかるように外出のしたくをしたり、「これから出かけるよ」と声をかけることは、犬の不安を煽ります。
出かける30分~1時間くらい前からあえて犬と接しないようにし、「気づいたら飼い主さんがいなかった」という状況を作るようにしましょう。
留守番中に、物を壊したり粗相をしても、叱るのはやめましょう。
失敗を強く叱られると、犬は飼い主さんの関心を引くためにわざとイタズラをするようになることもあります。
犬は愛情深い動物ですが、飼い主さんと依存関係になってしまうと、自立した行動がとれなくなります。
適度に距離をとりながら、お互いの生活を尊重する関係性を築きましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。