2021/12/23
犬は、舐める行動で様々な気持ちを表現しています。飼い主さんへの愛情表現はもちろん、ごはんや遊びの催促、ストレスを感じたときにも、「舐め行動」をとることがあります。
愛犬がいろいろなものを舐める理由と、その行動によって犬が表現したい思いについて確認してみましょう。
犬が飼い主さんを舐める場合、舐める部位によって意味が異なると言われています。
顔や口を舐めてくるときの基本的な意味は「愛情表現」や「信頼感」です。
ただし、犬はストレスや不安を感じているときにも、飼い主さんの顔を舐めて落ち着こうとする場合があります。
何らかの異変を感じたら、ストレスになっている原因を考えてみましょう。
また、犬が飼い主さんの口を舐める別の理由として、ごはんを催促している場合もあると言われています。
犬の祖先であるオオカミは、親が噛んだ肉を離乳食として子に与え、子オオカミはお腹が空くと親の口を舐めてごはんをねだります。その名残で、犬にも同様の行動が見られるようです。
ごはんの時間が近づいてきたときに犬が飼い主さんの口元を舐めたのであれば、「早くごはんちょうだい!」と言っているのかもしれません。
犬は飼い主さんの手を、「オモチャを投げてくれたり、引っ張りっこをしてくれたり、優しくなでてくれたりするもの」と認識しているようです。
飼い主さんの手や腕を舐めたり、鼻先や前足でつついてきたりするときは、「一緒に遊ぼう!」と誘っている場合があります。
犬はグルーミング(毛づくろい)のために自分自身の体を舐めることもよくあります。食事の後に口の周りを舐めたりする行動も、その一つです。
ただし、長時間もしくは頻繁に同じところを舐め続ける行動が見られたら、それは皮膚病やストレスのサインかもしれません。
愛犬の様子をよく見て、ストレスの原因を取り除き、心配な場合は動物病院に相談するようにしましょう。「皮膚病?ストレス?愛犬が脚を舐め続ける理由とは?」もあわせてご覧ください。
散歩中に他の犬と出会ったとき、あるいは多頭飼いしている場合、犬同士で舐め合う行動が見られます。
成犬同士がお互いの顔を舐め合う場合は、お互いに敵意がないことを確かめ合う行動と考えられます。同居犬・知り合いの犬同士であれば、愛情や仲間意識を伝えるコミュニケーションにもなります。
また、散歩中に他の犬と出会ったとき、相手のお尻のにおいを嗅ぎながら、ペロリと舐めることがあるかもしれません。他の犬のお尻を嗅ぐのは、肛門腺が発する強いにおいから相手の情報を得ようとする行動です。その延長で、しつこく舐めるなど行動がエスカレートしそうな場合は、すぐに引き離し、トラブルにならないよう配慮しましょう。
一方、母犬が子犬を舐める行為には、子犬をきれいにしたり、排泄を促したりする「ケア」の意味があります。また、子犬は母犬に舐められるとストレスが軽減され、心が安定するとも言われています。
犬は、家の床や家具のにおいを嗅いだり、舐めたりすることがあります。
その理由として考えられるのは、家族が食べこぼしたものの味やにおいが残っているケースです。衛生面からも、食べこぼしはきちんと拭き取ることが大切です。
また、家具などを舐めている場合は、そこに犬が気にするにおいがついている可能性があるので、しっかりと掃除をしましょう。消臭剤などを使う場合は、犬の健康に配慮した商品を選ぶようにしてください。
そのほか、犬が床や家具をしつこく舐めている理由として、退屈している、あるいはストレスの表れとも考えられます。
そのような様子が見られたら、犬と触れ合う時間を意識的に増やしたり、住環境にストレスの原因がないかを考えてみましょう。
言葉を話せない犬にとって、飼い主さんを舐める行為はコミュニケーション手段の一つと言えるかもしれません。
しかし犬の唾液には様々な菌が含まれているため、免疫力が低下している人、小さな子どもや高齢者の場合には、犬に舐められることで感染症にかかるリスクもあると言われています。
また、人懐っこい犬の場合は、家にやってきたお客さんまでペロペロ舐めようとすることもあります。これは親愛の情を示しているとも言えますし、舐めることで相手についての情報を得ようとしているとも考えられます。
しかし来客の気持ちや衛生面を考えると、日頃から人の口元を舐めて挨拶しないようにしつけることも必要になってきます。
犬の「舐め行動」から愛情をキャッチしたり、過剰な場合や不適切な場合は止めさせたりしながら、気持ちよくコミュニケーションをとっていきましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。