2019/12/11

目指すは1日1回!猫の正しい歯磨きの方法とは?

2019/12/11

目指すは1日1回!猫の正しい歯磨きの方法とは?

 猫に必要なお手入れとして、爪切りや耳掃除などのほかに「歯磨き」があります。飼い猫は歯周病などの口内トラブルが起こりやすいため、デンタルケアが欠かせません。猫の歯磨きのコツやポイントを確認しましょう。

どうして猫に歯磨きが必要なの?

 そもそも、どうして猫に歯磨きが必要なのでしょうか。それは、飼い猫特有の事情が関係しています。
 野生の猫は、肉食動物のため、捕らえた獲物の硬い皮や筋肉などを噛みちぎることで、歯の汚れや歯垢(しこう)が自然にこそげ取られます。
 しかし飼い猫の場合は、軟らかいペットフードを中心とする食事で歯が汚れやすく、また野生の猫よりも長寿のために口腔内の病気のリスクも高まることから、日頃の歯磨きが重要になります。

ペットフードを食べている飼い猫は、歯が汚れやすくなります。

ペットフードを食べている飼い猫は、歯が汚れやすくなります。

 歯に付着した食べカスや汚れを放置すると、無数の細菌を含んだネバネバの歯垢が形成されます。これらの細菌が作り出す酸が、歯に悪影響を及ぼすのはもちろんのこと、歯垢はやがて硬い歯石になり、歯磨きでは落とせなくなります。
 歯石が付着した歯の表面はデコボコしているため、ますます歯垢が溜まりやすくなって細菌の温床となり、歯肉や口の中の粘膜に炎症を引き起こし、やがては歯周病になってしまいます。
 歯周病になると歯茎が赤く腫れ、ひどくなると口臭が強まり、よだれが増えることもあります。痛みで食欲が落ちて元気がなくなり、さらに進行すると、歯がグラグラになって抜けてしまう事態にもなります。
 また、歯周病を放置すると他の臓器にまで影響を及ぼす可能性があることも指摘されています。いったん歯周病になると治りにくい場合もあるため、未然に防ぐことが非常に大切です。
 猫と一緒に暮らすなら、飼い主さんは人間と同じように愛猫の口内環境を清潔に保ち、歯周病を予防してあげる必要があるのです。
 猫の歯周病については「猫の歯周病は治療費が高額!?実は危険な歯周病の原因やを治療費例をご紹介」もあわせてご覧ください。

猫に歯磨きを習慣づける方法

 動物は基本的に口元を触られるのを嫌がるので、子猫のうちからトレーニングを行うと良いでしょう。永久歯が生え揃う、生後6ヵ月頃までに歯磨きの習慣づけができれば理想的です。
 最初から歯ブラシを使うのはハードルが高いので、次のような手順を参考に、愛猫の様子を見ながらステップアップしていきましょう。

【ステップ1】口元や歯にタッチする
 まずは、頭をなでたり顔周りをくすぐったりして猫とコミュニケーションを取りながら、徐々に口元にも触れていきます。
 頬をマッサージする延長で、口角のあたりをやさしくもむなどして、少しずつ慣れさせていきましょう。

まずは口元を触られることに慣れさせましょう。

まずは口元を触られることに慣れさせましょう。

 このような触れ合いを継続的に行い、猫が慣れてきた様子が見えたら、今度は歯に触れていきます。最初は前歯から始めて、慣れてきたら奥歯にもタッチしましょう。

【ステップ2】ガーゼで歯を磨く
 猫が奥歯まで触らせてくれるようになったら、湿らせたガーゼを指に巻き、歯の表面を磨いてみましょう。
 最初のうちはガーゼにウェットフードの水分を含ませたりして味を付けるなど、ガーゼが口に入るのを喜ぶような工夫をしましょう。
 市販の猫用歯磨きペーストを使う場合は、チキンやシーフードなど、猫が好むフレーバーのものを選ぶと、受け入れられやすいかもしれません。
 なお、ガーゼのほかに、あらかじめ歯磨き剤の含まれた市販の歯磨きシートもあるので、飼い主さんが使いやすく、愛猫に嫌がられないものを選ぶことがポイントです。

【ステップ3】歯ブラシで歯を磨く
 ガーゼを使った歯磨きにも慣れてきたら、いよいよ歯ブラシに挑戦です。
素材の安全性や形状などの点から、歯ブラシと歯磨きペーストは必ず猫用のものを使用してください。
 歯磨きは、歯の根元から歯垢をかき出すイメージで行います。歯ブラシを鉛筆のように持って、歯に対して45度の角度に保ち、軽い力で小刻みに動かしましょう。
 すべての歯をきれいに磨くのが理想ですが、猫が長時間の歯磨きを嫌がる場合は、歯垢が溜まりやすい上の奥歯(臼歯)を重点的に磨くことを意識してください。

上の奥歯を重点的に磨くことを心がけましょう。

上の奥歯を重点的に磨くことを心がけましょう。

 猫の歯磨きは1日1回の頻度で行うことが望ましいとされています。難しい場合でも3日に1回は歯磨きをして歯垢を落とし、歯石ができるのを防ぎましょう。
 また、定期的に獣医さんから歯のチェックを受けて、歯磨きの方法が正しいか、磨けていない箇所がないか、確認するようにすることも予防方法のひとつです。

猫が嫌がって歯磨きできない場合

 猫にも個性があり、徐々に歯磨きに慣れさせようとしても、どうしても難しい場合があります。また、歯磨き習慣のない成猫をもらい受けた場合などは、トレーニングがかなり難しくなります。
 その状態で、飼い主さんが猫への愛情ゆえに必死でトレーニングに取り組むと、猫はますます歯磨きをイヤなものだと認識してしまいます。
 困ったときは、獣医さんに相談してプロのアドバイスを得ながら、愛猫の状況に合ったデンタルケアの方法を探しましょう。

歯や歯肉にトラブルがあったら、早めに獣医さんに相談しましょう。

歯や歯肉にトラブルがあったら、早めに獣医さんに相談しましょう。

 なお、歯磨きができなくても、歯垢を落とす目的で作られた歯磨きガムや歯磨きトイなど、猫も喜ぶデンタルケア製品があります。また、スプレータイプや、飲み水に混ぜて使うタイプの猫用マウスクリーナーもあります。
 これらの代用品で、歯磨きと同様の効果が得られるわけではありませんが、現実的な対応策として生活に取り入れてみると良いかもしれません。
 飼い主さんにとっても猫にとっても、無理のないデンタルケアを習慣づけ、健康な歯と清潔な口内環境を保ちましょう。

運営・監修 「いぬと暮らす、ねこと暮らす。」編集部

動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。

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