2020/07/22
犬が、他の犬や飼い主さん、クッションなどに対して腰を振る「マウンティング」。行動の理由とやめさせる方法をご紹介します。動物としては自然な行為でも人間社会で一緒に暮らすのであれば、時としてマナー違反になる場合も。ただ叱るのではなく、愛犬がストレスなくマウンティングが悪い行動だと認識する事が大切です。また、去勢手術はマウンティング防止に有効的なのかもご紹介します。
犬のマウンティングには、大きく分けると3つのケースがあります。それぞれの場合ごとに、その理由と対処法を考えていきましょう。
オスがメスに対してマウンティングする場合は、交尾行動と考えられます。オスは発情期のメスが放つフェロモンに誘発されてマウンティングに及びます。
ドッグランなどで愛犬が特定のメスを追うようになったら、すぐに引き上げるようにしましょう。
発情期のメスの状態については、「犬の生理の症状や期間って?対処方法と出血する病気との見分け方」もあわせてご覧ください。
また、犬同士のマウンティングには、性的な行動のほか、上下関係を誇示する意味合いもあります。自分が相手よりも優位であることを示すための行動で、この意味ではメスがマウンティングすることもあります。
愛犬にマウンティング行動が現れている場合は、散歩中に他の犬とすれ違う時にも配慮が必要です。あらかじめ離れたところを歩くようにするか、道の端に寄って「マテ」「オスワリ」などの指示を出しましょう。
犬が飼い主さんの足につかまって腰を振ったり、座っている飼い主さんにマウンティングしたりして戸惑わせることがあります。
その理由として、マウンティングすれば飼い主さんが騒ぎ立て、かまってくれると誤解している可能性が考えられます。また、飼い主さんとじゃれ合って遊んでいるうちに興奮して、楽しさのあまりマウンティング行動が出る場合もあります。
愛犬がマウンティングしてきたら、心を鬼にして、すぐにその場を離れるようにしましょう。「マウンティングすると、飼い主さんがいなくなってしまう。遊びが終わってしまう」ということを態度で示せば、問題行動をやめるための動機づけとなるのです。
また、犬が飼い主さんにマウンティングする場合、自分の方が優位であると考えている可能性もあります。飼い主さんとの主従関係を明確にするためにも、毅然とした態度をとることが大切です。
犬は、クッションやぬいぐるみに対してマウンティングすることもあります。これは単なる退屈しのぎや、エネルギーを発散するための行動と考えられます。
遊びだからと放っておくと、マウンティング行動が習慣になったり、本能的な支配欲が助長される場合もあるので、やはりやめさせる必要があります。
マウンティングの対象物をいきなり取り上げると、犬が怒って攻撃的になる場合もあるので、まずは投げるおもちゃなどで気を逸らせてから回収するようにしましょう。
マウンティング行動が現れるたびに飼い主さんがこまめに対処することで、問題行動として定着することを回避できます。
犬のマウンティングは、多くは生後6ヵ月頃から始まるといわれています。早い犬では生後2~3ヵ月で現れる場合もあり、まだまだ子犬だと思っていた飼い主さんがショックを受けることもあるかもしれません。
主に性的な動機によるマウンティングが見られる場合、去勢手術を行うと行動が抑制される可能性があるといわれています。男性ホルモンが減るため性格が落ち着く場合もあるようですが、結果には個体差があります。
犬の去勢手術のタイミングは、生殖能力が成熟する前がよいとされ、ちょうどマウンティング行動が現れる時期と重なります。
去勢手術には、性ホルモンに関係する病気を予防するメリットがあるとされる一方、当然、繁殖はできなくなり、太りやすくなるなどのデメリットもあります。手術を検討する場合は獣医さんによく相談して、家族の一員である愛犬の健康や暮らし方を総合的に考えて判断してください。
愛犬のマウンティング行動に対して、叱りつけることなく適切にしつけを行って周囲とトラブルを起こさないようにすることが、結果的に愛犬を守ることになります。
なぜマウンティング行動を取るのか?を十分に理解し、愛犬にあったしつけを行っていきましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。