2020/01/14
愛猫がうずくまってブルブル震えていたり、体を突っ張らせてピクピクと痙攣していたりしたら、それは病気のサインかもしれません。
猫が震える原因と、飼い主さんがとるべき対応について考えてみましょう。
猫が震える原因として、生理的なものと、病気によるものが考えられます。それぞれの原因について、詳しくご紹介します。
生理的な震えの理由としてまず挙げられるのが、寒さによるものです。
寒さによる震えは、脳の視床下部からの指令によって全身の筋肉を細かく収縮させて熱を作り、体温を維持しようとする調節機能です。「シバリング(shivering)」とも呼ばれます。
猫の寒さ対策については「冬を元気に乗り切る!猫にとってベストな寒さ対策とは?」もあわせてご覧ください。
また、恐怖やストレスを感じた場合にも震えることがあります。例えば、動物病院で予防接種を受ける前に、恐がってブルブル震えるなどです。
このような生理的な震えは、人間と同じように、体が温まったり、ストレスの元が取り除かれたりすれば自然に治まるので問題ないでしょう。
猫は性質上、あまり「がまん」をしない動物です。不快なときは別の場所に行くなど自分で考えて行動するので、寒さなどを理由に震えることは犬ほど多くありません。頻繁に震えるようであれば深刻な原因があるかもしれないので、注意が必要です。
このほか、運動をしすぎると筋肉が疲労して痙攣を起こすこともありますが、これも特に心配はありません。
猫の震えの原因として考えられる病気はさまざまです。
まず、外傷や歯周病などの明らかな痛みが疑われます。
また、低カルシウム血症、低血糖症などの内分泌・代謝異常、腎不全や肝不全などの内臓疾患によって震えや痙攣を発症します。
猫の腎臓病については、「獣医さんに聞く!猫の腎臓病 原因・症状・治療について」もあわせてご覧ください。
さらに、てんかんや脳腫瘍などの神経疾患では、痙攣や引きつけを起こす可能性が考えられます。てんかん発作の場合は、予兆としてあくびや歯ぎしりをするなどの行動が見られることもあります。
ほかにも、加齢による筋肉量の低下や、変形性関節症などになることで弱々しく震えるような歩き方をしたり、原因がはっきりしない「老齢性振戦」と呼ばれる震えの症状もあります。
シニア猫の病気については「愛猫が高齢期を迎えたら気にしておきたい病気と生活環境」で詳しく紹介しているので、あわせてご覧ください。
猫の震えを引き起こす病気は多岐にわたるので、飼い主さんが原因を判断することはできません。重篤な病気のサインである可能性もあるので、「何かおかしい」と感じたら、すぐに動物病院を受診する必要があります。
受診の準備として、震えや痙攣が起こる頻度や持続時間、症状が出た状況などを記録しておくと良いでしょう。また震えている時の様子を動画に撮っておくと、獣医さんの診断の参考になるかもしれません。
もし急に大きな震えや痙攣が起きた際も慌てず、落ち着いて行動してください。症状が出た状況や猫の様子を観察し、動物病院に連絡して指示を仰ぎましょう。
動物病院では、血液検査と尿検査によってスクリーニングを行い、震えの原因となる病気を特定するのが一般的です。場合によってはMRI検査や、大学病院の専門医を紹介されることもあります。
猫の震えは、何かの病気のサインとなることもあります。日頃から、愛猫の小さな異変を見逃さないようにしましょう。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。