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大雨の運転で注意すべきポイントと防災情報サイト一覧
秋は心地よい行楽シーズンである反面、長雨に台風に…とお天気の心配がつきもの。近年は豪雨による災害や事故も後を絶ちません。そこで今回は雨の日の運転や豪雨に備えた車のメンテナンス方法をまとめてみました。「我が家の周辺は冠水もしないしあまり関係ないんじゃ…」といった油断は禁物。統計によると平成18年から27年までの10年間になんと97%の市区町村で水害が起こっているんです(政府広報)。
雨の日の運転で一番大切なことは、事前の情報収集と「危なそうなら車にのらない」という決断力。大雨にそなえた車の点検ポイントや、防災&気象情報サイトの一覧も掲載しました。突然の大雨に慌ててしまう前に、日頃から確認しておくと安心です。
そもそも激しい雨の予報が出たら…無理は厳禁&早めの行動を
天気予報が大雨だった場合、「そもそも車で出かけない方がいいかな?」と迷ってしまいます。そんなときは気象庁の基準が一つの目安になりそうです。気象庁によると、一時間降水量20mmを超えるとワイパーを速くしていても見づらくなり、「激しい雨」と表現される30mmを超えると道路が川のようになって高速走行中にハイドロプレーニング現象(水膜でブレーキやハンドルが効かなくなる)が起こり、50mm以上の「非常に激しい雨」では車の運転は危険。
他にも、強い雨によって川の氾濫が起こったり、下水があふれたり、低い場所に水が流れ込んで冠水してしまう可能性が高まります。「このくらい大丈夫」と油断して運転していると、アッという間に身動きが取れなくなってしまうことも。冠水すると車が流される危険がある上に、ふたが開いてしまったマンホールや側溝に気付かずタイヤがはまってしまう可能性もあります。
事故や立ち往生を防ぐためには情報収集が肝心です。天気予報の他にも雨雲や降雨の状況が分かるWebサイトやアプリを活用して、余裕をもって行動することが大切です。「どうかな? 危ないかな?」と感じたら車の運転は控えましょう。
また、雨による避難が必要になりそうな場合は、注意報や警報に先んじて早めの行動を。特に車で移動したい場合は、雨が強くなる前、明るい時間の内に余裕を持って行動することで、自分と周囲の安全を確保します。
1時間雨量 (mm) |
雨の強さ (予報用語) |
人への影響 | 車に乗っていて |
---|---|---|---|
20〜30 | 強い雨 | 傘をさしていてもぬれる | ワイパーを速くしても見づらい |
30〜50 | 激しい雨 | 〃 | 高速走行時、水膜でブレーキやハンドルが効かなくなる(ハイドロプレーニング現象) |
50〜80 | 非常に激しい雨 | 傘は全く役に立たなくなる | 車の運転は危険 |
80〜 | 猛烈な雨 | 〃 | 〃 |
いきなり強い雨に見舞われたら…ゆっくり走行&一時停車
走行中にいきなり強い雨に見舞われた場合は、急がず慌てず気持ちに余裕をもって対応しましょう。
まず、普段以上に自転車や歩行者に気を配ります。歩行者は雨に慌てて走り出したり、雨や傘に視界をふさがれたりして、周囲に注意が向いていない可能性があります。ワイパーを動かしていても対応しきれないほどの雨に見舞われたら安全な場所に車をとめて、雨が弱まるまで待ちます。高速道路なら最寄りのサービスエリアやパーキングエリアに入りましょう。どうしても走らなければいけない場合や、停車場所に向かうまでの間はライトを点けてゆっくり走ります。
ぬれた路面では制動距離(ブレーキをかけてから実際に車が止まるまでの距離)が伸びてしまうため、車間距離をしっかり開けて、信号やカーブ手前でのブレーキは極力早めに踏みこみます。滑りやすいので急発進、急ブレーキ、急ハンドルは厳禁です。水が流れ込んできて冠水する恐れのあるアンダーパスや、増水や決壊の可能性がある川沿い、土砂災害の危険がある山間部は避けて走ります。また、トンネルの出口では突風でハンドルが取られることがあるので要注意。
安全運転には情報収集も欠かせません。運転中はハイウェイラジオや道路情報掲示板を確認し、停車したらスマートフォンで雨雲の動きを確認したり、ナビで川の位置などをチェック。移動するタイミングやルートを検討します。
やっぱり日頃からの備えは大切…地域の情報収集&車のメンテナンス方法
雨の日を安全に過ごすためには、なにより日頃の備えが大切です。愛車のメンテナンス方法を今一度見直したり、ハザードマップを確認して、雨が続く秋でも安心なカーライフを!
【車のメンテナンス方法】
雨の日に安全に走るためには、車のコンディションが大切!安全に直結するタイヤは、この際徹底的に点検しておきましょう。タイヤの状態が悪いとブレーキが利きにくくなったり、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなったりします。空気圧や溝のチェックはもちろん、傷やひび割れ、すり減りが偏り、サイドが不自然に膨らんでいないか、タイヤサイドに記載された製造年まで念入りに確認を。ひび割れなどが見つかったら交換のサインです。
また、タイヤの溝が十分残っていて見た目に異常がなくても、ゴムは自然に劣化します。
製造年から4~5年以上経過している場合は交換を検討しましょう。*タイヤの使用環境によって変わります。
タイヤの他にもワイパーの動きやワイパーのゴムに不具合がないかをチェック。ウィンドウの油膜を落としたり、サイドミラーをコーティングしたりすることで、雨の日の視界を確保します。もちろんエンジンオイルや バッテリーなど、基本の日常点検もお忘れ無く。
【車に積んでおくと便利なあれこれ】
急な大雨で長時間停車しなければならない時にそなえ、簡単な防災アイテムを積んでおくと安心です。大雨対策には緊急脱出用のハンマーがあると安心です。他にも防寒用のアウターや毛布、使い捨てカイロ、レインコート、携帯用のトイレ、軍手、長期保存が可能な水と食料などをセットにしてトランクへ。手軽な車載用の防災セットも販売されています。
【日頃から防災情報をマメにチェック】
天気予報の確認はもちろん、自宅周辺やよく使う道路の周辺環境・防災情報を日頃から把握しておくと、イザという時に安心です。川やアンダーパスはもちろん、災害が想定されている区域や冠水しやすい場所、避難場所等をチェック。また、自治体の防災無線をメールで受信できるように設定しておくと、出先からでも自宅エリアの様子が分かります。
便利な防災情報サイト一覧
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浸水ナビ(「地点別浸水シミュレーション検索システム」/国土交通省)
川周辺の浸水が起こった場合、最大でどこまで広がっていくのか確認できます。
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お住まいの地域やよく使う道路の事前確認にイチオシ!「道路防災情報」を重ねることで、冠水想定箇所が分かります。避難場所も合わせてチェック。
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土砂災害や浸水害、洪水の危険度分布、雨の様子、今後の雨の動きなどが分かる優秀システム。
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これからの雨雲の様子が一目瞭然。スマートフォンにアプリをインストールしておくと手軽に使えます。