2017/10/03
愛犬の被毛を健康に、そして清潔に保つためには、定期的なブラッシングは欠かせません。それだけでなくブラッシングをすることによって、皮膚病の早期発見につながったり、また飼い主さんとのスキンシップにもなります。今回は犬のブラッシングのポイントや、ブラッシングを嫌がる場合の対処法についてまとめました。
犬の被毛には、体の表面を覆う「オーバーコート(上毛)」と、その下に生えている柔らかい「アンダーコート(下毛)」の二種類があります。オーバーコートしか持たない場合を「シングルコート」、両方持つ場合を「ダブルコート」と呼びます。
●シングルコート
被毛がオーバーコートのみの一重になっている種類で、季節によって毛が生え変わる「換毛期」がありません。あまり寒くない、温暖な地域の犬種に多く見られます。
換毛期がないので毛がもつれやすくなるため、長毛種の場合は特にブラッシングが必要です。
●ダブルコート
アンダーコートとオーバーコート、二種類の被毛を持ちます。寒い季節になるとアンダーコートが生え、温かくなるとそのアンダーコートが抜ける「換毛期」があります。寒い地域の犬種に多く見られます。
換毛期には大量の抜け毛が出るため、ブラッシングは必須です。また、古い毛が残ったままでいると、皮膚が蒸れてしまい、皮膚病の原因ともなります。
ブラッシングに使用するブラシには、いくつかの種類があります。被毛のタイプや長さによって、最適な道具を選びましょう。
●スリッカーブラシ
犬のブラッシングに使用する最も基本的なブラシで、細い密集したピンがついています。ピンが針金のハードタイプと、ラバーなどのソフトタイプがあります。一度に多くの抜け毛を取ったり、毛玉をほぐすのに便利です。
●コーム
人間が使用する“櫛”と同様です。主に長毛種のブラッシングの仕上げとして、毛並みを整えるのに使用されます。
●ピンブラシ
金属製やゴム製のピンがついたブラシです。絡まった毛をほぐしたり、フケやホコリを取り除くときに使用されます。
●獣毛ブラシ
豚の毛などでできたブラシです。静電気がおきにくく、被毛のツヤを出すために使用されます。
長いか、短いか、柔らかいのか、硬いのか…など、“毛質”も犬種によって異なります。当然、それぞれの毛質に合ったブラシを選ぶ必要があります。
●ロングコート
いわゆる“長毛種”のこと。長い毛は絡んで毛玉ができやすいので、マメなブラッシングが必要です。
⇒スリッカーブラシで全体をブラッシングし、ピンブラシでもつれをほぐした後、コームで整える。
●ショートコート
短めでまっすぐな毛並みです。地肌にブラシがあたりやすいので、力を入れずに優しくブラッシングしましょう。
⇒コームで全体を整える。換毛期にはスリッカーブラシなども合わせて使用する。
●スムースコート
ショートコートよりもさらに短い毛並みです。毛の汚れを取るためには、ブラッシングよりもタオルで拭く方が効果的です。
⇒数日に1回程度、獣毛ブラシで毛並みを整える。
●ワイヤーコート・ラフヘアード
ゴワゴワと硬い、針金状の毛質です。ブラッシングだけでなく、トリミングナイフ等を使って毛を抜く「プラッキング」が必要です。
⇒スリッカーブラシやピンブラシなど、しっかりとしたピンのブラシを使用する。
●カーリーコート
くるくるとした巻き毛状で、抜け毛の量はあまり多くありません。ブラシに毛が絡みやすいので、丁寧なブラッシングが必要です。
⇒ピンブラシやコームなどで少しずつ整える。
体を触られることを嫌がったり、一度ブラッシングで痛みや不快な思いをしたためにその後のブラッシングに抵抗を示したりすることもあります。
ブラッシングを大好きになってもらうためにも、以下のような手順で、時間をかけて慣らしていきましょう。
【ポイント】
また、ブラッシングはできるだけ楽しい雰囲気で行いましょう。犬が痛がったら無理に行わず、しばらく時間を置きましょう。
毎日のブラッシングは、飼い主さんと愛犬との絶好のコミュニケーションです。また被毛や皮膚の健康状態を維持するためにも、ブラッシングは欠かせません。愛犬のタイプに合わせたブラシを選んで、楽しくブラッシングをしてくださいね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。