2020/10/15
日本のみならず今では海外からも人気がある「柴犬」。実は4種類もわけられ、細いキツネ顔、丸いタヌキ顔など顔の形や毛色の違いは柴犬の歴史に秘密があるようです。天然記念物として指定されている柴犬、その愛くるしいルックスだけでなく、どんな性格と特徴をもった犬種なのか詳しくご紹介します。
柴犬は日本古来の犬種として貴重な国の文化財のひとつとされており、国の天然記念物として登録されています。その起源は古いもので、先住民族が原始時代に南方移住してきた際に、一緒に日本に渡ってきたのだと考えられています。しかし、戦前の明治期に続々と日本に洋犬が輸入されたことから、日本犬と洋犬との交配により混血が進み、柴犬も本来の「柴犬らしさ」が徐々に薄れていきました。
そこで「日本犬の特質を後世に残す、保存する」という目的で「日本犬保存会」が設立されています。その中で純粋な柴犬の絶滅を防ぐため、柴犬のみの交配がなされ、現在の4種類の柴犬に落ち着きました。現存する4種類の柴犬のそれぞれの特徴を見ていきましょう。
【信州柴犬】
元々は長野や群馬周辺の山間部で狩猟犬として活躍していました。そのため冷涼で標高の高い信州の気候風土に合った柴犬です。現在の柴犬の基本体型は信州柴がベースになっているほか、柴犬の語源は信州地方の柴村にあるのではという説もあるほど、柴犬のルーツとなる犬です。
【美濃柴犬】
緋赤と呼ばれる美しい赤毛をまとっているのが他の柴犬にはない魅力のひとつ。また古来より狩猟犬として飼育されていた柴犬の特性を最も強く受け継いでおり、狩猟犬としても非常に優秀です。しかし、近年個体数が減っており、絶滅の恐れがあります。
【山陰柴犬】
「太刀尾」と呼ばれる尾を巻きあげない柴犬が多いほか、耳が小さく上方についているのが特徴です。山陰地方に古くから根付いた地柴で、弥生時代・古墳時代に、朝鮮半島から入ってきた人が連れてきた弥生犬が祖先と考えられています。
【縄文柴犬】
すでに絶滅した日本犬の先祖といわれる縄文犬を、復元しようと改良された柴犬です。長い足に面長の顔、くるりと巻いた尾などに、その特徴がよく表現されています。「縄文柴犬」という呼び名は日本犬保存会によって名づけられました。
【実は犬種ではない「豆柴」】
また子犬のようなかわいいルックスで近頃人気の「豆柴」は、小さめの柴犬を選んで交配して繁殖させた犬のことで、柴犬の種類、品種の名前ではありません。
その交配の歴史はまだ浅く、品種としてまで昇華されていないため、豆柴と呼ばれる柴犬をブリーダーから購入しても、親は小さかったのに普通の柴犬サイズに育ってしまったというトラブルもよく見受けられます。仮にもしそうなったとしても、愛情を持って育ててあげる覚悟が、豆柴を飼う際には必要です。
秋田犬、土佐犬など大型の犬が多い日本犬の中で、柴犬は比較的小型な部類です。柴犬はオスの成犬でも体高38~45cm、体重8~13kgと飼いやすいサイズ。ややずんぐりとしていますが、均整のとれたコンパクトな体型で、親しみやすいルックスも魅力のひとつ。ピンと立った耳、硬くて直毛の上毛と柔らかい下毛の二層構造のしっかりと厚い被毛、そしてくるっと巻いた尻尾が特徴です。
被毛の色は赤系、黒、ゴマや白系など様々で、顔立ちはキツネ顔とタヌキ顔の2パターンあると言われています。
輪郭が細めで、顔立ちがあっさりとクールな顔立ちなのが「キツネ顔」の柴犬。体系は、ほっそりとした痩せ型。信州柴がキツネ顔の代表格と言われています。一方、「タヌキ顔」の柴犬は、頬が張っていて、丸顔、眉毛や目鼻立ちがクッキリしたかわいらしいのが特徴。体型は筋肉質で骨格もしっかりとしています。主に美濃柴がそうだと言われています。
性格は、飼い主さんに対してとても従順ということです。さらに忠実で勇敢、素朴で利口な柴犬の性格は日本人だけではなく海外の方にも好まれる性格なので、飼いやすく人気が高いのもうなずける犬種です
柴犬はとても活動的な犬種なので、毎日十分な運動をさせることが大切です。最近では室内で飼う方も多いようですが、その場合は特に運動不足になりがちなので注意が必要です。
運動不足に陥るとストレスがたまり、無駄吠えなどにもつながりやすくなります。そのため室内で飼われる場合はストレス解消のためにも散歩は長めにしたり、ドッグランなどで思い切り走らせてあげるのもよいでしょう。
また柴犬は汚い環境を嫌うため、日々のお手入れが重要になってきます。定期的なブラッシングとシャンプーは欠かさないようにしましょう。特に換毛期には毛が大量に抜けるので、入念にブラッシングしてあげてください。
ブラッシングのコツと、シャンプーのコツは過去の記事でも特集しているのでぜひチェックしてみてください。
「自宅でできる!愛犬のシャンプーとお風呂 頻度とコツ」
「ブラッシングが好きになる!愛犬と楽しむ毎日のブラッシング」
柴犬は肌がとても弱く、アトピー性皮膚炎になりやすい犬種です。デリケートな肌を守る為、毛の密度は非常に高くなっています。また、白内障や認知症なども発症しやすいといわれています。同じく高齢の犬に多くみられる、特発性前庭疾患という平衡感覚がなくなり体のバランスが保てなくなる病気も多いことで知られています。
柴犬は、落ち着いていてかわいらしいルックスを持っているにも関わらず、飼い主さんとの主従関係がしっかりと構築できていないと、言うことを聞いてくれない犬に育ってしまうような性質も持ち合わせています。しかし、主従関係がしっかりし、1度主人と決めたらその後は従順で裏切らないという芯の強いところもあります。ぜひそんな柴犬の性格を理解し、お互いに素敵な関係が築けるようにしたいですね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。