2018/03/29
ご近所さんとは良好なお付き合いをしたいものですが、ペットを飼っていると様々なトラブルが起きやすくなります。特に多くの人が生活を共にする集合住宅では、より注意が必要になってきます。管理組合等のペットに関する規約は必ず守るほか、トラブルを未然に防ぐ工夫も押さえておきたいところです。トラブル対策や、いざトラブルが起きてしまったときの対処法を見ていきましょう。
ペットと暮らしていることで起きるトラブルを、大きく4つに分けてみました。どのようなことがトラブルになっているのか見てみましょう。
犬が早朝や深夜に長時間吠えることでトラブルの原因になります。いわゆる「犬の無駄吠え」による騒音は非常にトラブルになりやすいので注意が必要です。
ペット自身が悪臭を発してしまうことや、部屋や住宅から異臭が発生することでトラブルに発展してしまうケースです。次項の糞尿トラブルとも関連しますが、放し飼いの猫が、近所の庭などで排泄をしてしまい悪臭を放ってしまうなど、ペット自身や部屋から発せられる臭いだけでなく、糞尿が原因となる場合もあるため注意が必要です。
犬がお散歩中に排泄やマーキングをして、それを処理せずに放置してしまうことで起こるトラブルです。しつけを怠ることで、集合住宅の共用部分に排泄してしまうこともあるので要注意。また、ペットの糞尿をゴミに出すまでベランダに置いておくことで悪臭を発生させてしまい、悪臭トラブルに発展するケースも少なくありません。
ベランダや庭などでブラッシングなどをするとペットの毛が近隣に飛んでいき、不快な思いをさせてしまうことがあります。それが原因でアレルギーを引き起こすなど、近隣住民の方の健康にも影響がある場合があります。
では、どのような対策をすればトラブルを未然に防げるのでしょうか。それぞれのトラブルの対策法を見ていきましょう。
騒音トラブル対策
まず、犬が吠える原因を知り、根本的な解決をしてあげることが大切です。犬が吠える原因は主に、「遊んでほしい」「お腹が空いた」などの要求のほか、恐怖や不安からくることが多いものです。これらを解決するには、原因を取り除いてあげることが何より重要です。ストレスが溜まらないよう飼い主さんがこまめに遊んであげることや、フォーマットトレーニング(アイコンタクト、オスワリ、マテの基本トレーニング)の徹底、恐怖や不安要因の排除など、原因に応じた対策が必要となります。どうしても原因が分からない場合は、専門家の意見も聞いてみるのも良いでしょう。
その他には、防音グッズを使って発生する音を小さくする方法もあります。吸音パネル、防音シート、防音ゲージ、マットなどあるので、状況にあわせて使ってみるのも対策のひとつとなります。
犬の鳴き声におけるしつけに関しては、他の記事でも紹介していますので参考にしてみてください。
「ドッグトレーナー監修|タイプ別でみる愛犬の「吠え」のしつけ方」
悪臭対策
ペット自身の悪臭の原因は、菌の繁殖からくるものが多いので、ペットを清潔にしてあげることが大切です。ブラッシングや体を拭いてあげ、犬の場合は、定期的にシャンプーをすることで臭いを少なくできます。ブラッシングやシャンプーに関しては、過去の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
「ブラッシングが好きになる!愛犬と楽しむ毎日のブラッシング」
「自宅でできる!愛犬のシャンプーとお風呂 頻度とコツ」
また部屋の悪臭を消すには、重曹や酢などで作れるお手製の消臭スプレーや、市販のスプレーを使うと良いでしょう。その他にも、布団類やカバーをこまめに取り替えることや、ペットが触れる所をこまめに拭き掃除することも効果的な対策となります。
糞や尿のトラブル対策
犬のお散歩中に排泄やマーキングをした場合はそのままにせず、きちんと処理をしてください。猫を連れて外出する場合は、外へ出る前に排泄を済ませておくと良いでしょう。また処理した排泄物は、ベランダなど部屋の外に置かないようにし、悪臭を近所に漏らさないようにします。排泄も排泄物の処理も家の中ですることができれば、糞、尿のトラブルは起きにくくなります。
被毛トラブル対策
ブラッシングをまめにしてあげることで抜け毛は減りますが、ベランダや屋外で行うと毛が飛んでしまいます。ブラッシングは基本的に室内で行うようにしましょう。お風呂場ならブラッシングした毛や飛んだ毛をシャワーで流して集めれば、後処理も簡単です。
日頃から信頼関係の構築を
ご近所さんと「おはようございます」や「こんにちは」の挨拶をすることで、信頼関係を構築していくことも重要です。お互い小さなことを許し合え、何かあった時には不満をため込まずに早めに言ってもらえるような人間関係を作っていきましょう。
さらに普段から「何かご迷惑をおかけしていませんか?」などの声をかけるだけでも、トラブルになる可能性はぐんと減ります。例えば、飼い始めならペットと一緒に挨拶に行くなどして、近隣の方にも愛着を持ってもらえると良いでしょう。ただし、動物が苦手な人もいるため、相手の趣向を把握した上で、押し付けがましくならないよう配慮は必要です。どんな形であれ、日頃からのコミュニケーションがトラブル未然に防ぐ重要なポイントとなります。
基本は話し合いで解決したいものです。自分の主張だけをするのではなく、相手の話をしっかりと聞き、相手の気持ちを汲む姿勢が解決の糸口となります。事実と原因をしっかりと把握し、トラブルの原因を改善していく誠意ある姿勢を見せて行動すれば、過度にこじれることはあまりないようです。
万が一、話し合いがうまくいかなかった場合は、複数人で話をするようにしましょう。当事者同士だけでなく、客観的な第三者が入ることで冷静な判断ができたり、お互いが歩み寄る契機になったりします。それでも解決しなければ、市町村の相談窓口を利用してみたり、弁護士事務所に相談することも検討しましょう。しかし、やはりそれは最終手段。今後も近所で暮らしていくお相手ですから、お互いを理解し合い、平和的な解決をしたいものです。
ペットがいることで起きるトラブルと対策を見てきましたが、ペットがご近所付き合いの潤滑油になることもあります。例えば、小さいお子さんは動物が好きな場合も多く、親子連れのご近所さんとペットを介して会話が生まれ、良好なご近所付き合いに発展するきっかけとなります。またペットを飼っている人同士では共通の話題も多いため話も弾むほか、飼い主さんならではの悩みなども共有できるでしょう。
お相手が動物に興味がありそうな場合は、ぜひ前向きにコミュニケーションをとってみましょう。ペットがいることでトラブルが起きることもありますが、しっかりとマナーを守ることや適切なコミュニケーションをとることで、お互いがより気持ちよく暮らしていく契機にもなりえます。ペットは本来、人の暮らしを豊かにしてくれるもの。動物が苦手な人への無理強いはいけませんが、ペットがいることで、ご近所さんも含め皆で快適な暮らしができたらいいですね。
動物病院勤務の経験がある獣医師、アクサダイレクトのペット保険業務に携わる犬好き・猫好きの在籍する編集部です。ペットとの暮らしに役立つ情報から、犬や猫に関する健康・しつけなどの大切な知識、しぐさからわかるおもしろ豆知識など、専門的な視点から幅広く情報をお届けします。