犬も、人と同様、予防接種時の体調はとても重要ですし、問診表の記入もあります。健康状態によっては、予防接種を受けられないこともあります。
日本獣医師会が発表している「狂犬病集合予防注射実施のためのガイドライン」によると、重篤な疾病に患っていることの明らかな犬、重篤な心不全状態にある犬、以前に狂犬病ワクチンや他のワクチン注射によりアナフィラキシーを起こしたことのある犬、妊娠初期もしくは末期の犬 などは、予防接種が行えないとなっています。
症状が落ち着いていても、心臓病、腎臓病、肝臓病など持病がある、予防接種当日に発熱がある、過去に痙攣を起こしたことがある、過去に予防接種によるアレルギー反応を起こしたことがある、妊娠中期、というケースでは、予防接種をするかどうか、担当の獣医師が犬の健康状態を観察し、注意深く判断することになります。
また、当日の体調に問題がなくても、ひどい興奮状態のときには予防接種を見合わせることもあります。犬が落ち着いて予防接種を受けられるように、日頃から様々な場所や人に慣らせておきましょう。他の犬がいるとどうしても興奮してしまったり、場合によっては攻撃的になってしまうような場合は、かかりつけ病院に事前に連絡をして、なるべく他の犬に合わずに済むような配慮(直前まで駐車場の車の中で待つ、待合室で待たずに診察室で待たせてもらうなど)が可能かどうか確認しておくといいでしょう。
予防接種の当日は、初めてのフード・おやつ・サプリメントなどは与えないようにしましょう。接種後に嘔吐や下痢、元気消失などが見られた場合、それが狂犬病ワクチンによるアレルギー反応なのか、フードやおやつによる影響なのかが分からなくなるためです。
獣医師が犬の健康状態を把握するには、飼い主さんからの情報も非常に大切となりますので、日頃から犬のことをよく把握している家族が連れて行くことをおすすめします。今までの既往歴、ワクチン歴、ワクチン後の発熱や体調不良の有無、ここ数日の健康状態、当日の食欲や排便排尿の様子などを答えられることが理想です。