本来、犬にとっては吠えることは当たり前の行為であり、彼らは意味もなく吠えているわけではないのですが、人にとってそれが好ましくない時、「無駄吠え」や「夜鳴き」と認識されます。吠える理由としては、警戒、要求、不安、痛み、興奮などがありますが、中には、吠える行為そのものがストレス発散になるので吠える!ということもあります。夜鳴きが急に始まった場合、これらの理由の何かが当てはまっていると考えられます。そして、その理由によって対応方法も変わってきます。
まずは、身体に不調がないか、気になる音や気配(工事の音、人の話し声、動物の鳴き声など)がしないか、ストレスが溜まっていないか、夜に構っている家族がいないか、などを確認します。思い当たることが改善できそうなことであればさっそく対応します。
○身体の不調
食欲不振などのほか、歩き方におかしなところはないか、触って嫌がるところはないかなども確認し、なにか気になることがある場合は受診をするようにしてください。また、視力が落ちてくると目が見えにくい不安から吠えることもありますので、散歩中にものにつまずいたり夜の散歩を嫌がるようになったりする場合は目に異常がないか検査してもらうといいでしょう。
○気になる音や気配
外から聞こえてくるものに関しては、なかなか室内で対応するのが難しいものもありますが、ケージごとすっぽり布で覆ってあげるなどすることで、気になる音や気配が少し遮断されることもあります。また、普段から警戒心が強い犬ほど、敏感になります。もし、日中も窓の外に人が見えると吠えるなどの習慣があるのであれば、「オスワリ」や「マテ」など別のコマンドを出し、それに従うことを褒め、意識をそらしたり、いろんな人や犬と触れあう機会を作り、順化させることも大切です。
○ストレスが溜まる
家族の生活パターンがかわり遊ぶ時間が減ったり、散歩に行けない日が続いたりすると、吠えることでストレスを発散させることがあります。雨が続いている、飼い主さんが怪我をしているなどで散歩が難しいようなケースでは、室内でボールを持ってくる遊びや、頭を使った遊び(フードを見つける宝探しゲームなど)を行ってあげるのもいいでしょう。
○家族の誰かが構っている
家族の誰かが、夜に犬と遊んだり、おやつをあげたり、ということをしている場合、犬は「呼んだらまた来てくれるかも」と思い、吠えるようになります。夜遅くに帰宅するご家族がいるような場合は、帰宅時に犬を構うようなことがないかどうか確認してみてください。もし、構っているようであれば、すぐにやめてもらいます。また、この場合、「いくら呼んでも夜はもう来ない」と分かってくれれば吠えなくなるので、吠えている最中に根負けして犬を構いにいかないように注意しましょう。