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社用車で事故が起きたら誰が責任を負うのか?
会社の対応方法を解説

公開日:2024年5月15日

社用車で事故が起きたら誰が責任を負うのか?会社の対応方法を解説

車を運転している限り、事故リスクは常に存在しています。どんなに注意していても、事故は完全には防げません。会社が所有する車を従業員が運転していて事故を起こした場合、会社はどのような責任が問われるのでしょうか。会社と従業員が負うべき責任について解説します。

社用車の事故、従業員と会社が負う責任とは

社用車で事故を起こした場合、車を運転していた従業員だけでなく会社にも責任が発生する可能性があります。従業員と会社それぞれに問われる責任について詳しく解説します。

運転者である従業員の責任

運転者である従業員が負う責任は、「民事上の責任」「刑事上の責任」「行政上の責任」の3つに分けられます。「民事上の責任」では民法709条の不法行為責任が問われます。社用車での事故の場合、「民事上の責任」は会社との連帯責任になります。

所有者である会社の責任

従業員が業務中に社用車で事故を起こした場合、会社が問われる責任は「使用者責任」と「運行供用者責任」の2つです。

使用者責任

使用者責任とは「不法行為責任」の一種です。従業員が他人に損害を与えてしまった場合、連帯責任として会社も損害賠償責任を負わなければなりません。

運行供用者責任

運行供用者責任とは、車を自分の管理下で運行させて利益を得ている人(運行供用者)が、その運行で他人に人的損害を与えた場合に負う責任のことです。社用車の場合、会社が運行供用者に該当するため、この責任を負わなければなりません。運行供用者責任が生じるのは、治療費や慰謝料などの人的損害のみで、車やモノなどの物的損害には生じません。

ケース別に見る会社が問われる責任の有無

従業員が車で事故を起こした場合、会社が問われる責任は業務との関係によって異なります。では、社用車でなくマイカーを使用中の事故はどうなるのでしょうか?ケース別に会社が問われる責任についてみていきましょう。

業務中の事故の場合

業務中の社用車での事故

業務中に起こした社用車の事故では、会社は使用者責任と運行供用者責任の両方が問われると考えられます。

業務中のマイカー使用中の事故

会社がマイカーの使用を容認または黙認していた場合は、原則として使用者責任と運用供用者責任の両方が問われると考えられます。ただし、マイカーの使用を禁止しているにもかかわらず、従業員が会社に無断でマイカーを運転していた場合は、事故における会社の運行供用者責任は否定されると考えられます。

業務時間外の事故の場合

業務時間外の社用車での事故

業務時間外であったとしても、社用車での事故である以上、会社が運行供用者責任を問われる可能性は高いです。使用者責任が問われるかどうかは、社用車の使用が業務の執行にあたると判断されるかどうかで変わってきます。

業務時間外のマイカー使用中の事故

原則として会社は運行供用者責任・使用者責任を負いません。しかし、会社がマイカー通勤を容認または黙認している場合は、従業員が通勤中に事故を起こすと運行供用者責任・使用者責任を問われる可能性があります。

社用車の事故で会社が負担する費用は?

単独事故なのか、相手方がいる事故なのか、事故の状況によって発生する費用は異なります。どのような費用を負担する可能性があるかを見ていきましょう。

社用車の修理費用

会社は従業員の活動によって利益を得ているため、従業員の業務中のリスクについても負担するべきという考え方があります。そのため、一般的には社用車の修理費用は会社負担とされます。ただし、従業員の重過失が認められる場合は、会社が負担した損害額の一部を従業員に求償できるケースもあります。

従業員の治療費

「社用車の修理費用」同様に社用車の事故で従業員がケガを負った場合、会社が治療費を負担するのが一般的です。業務中のケガであれば労災保険が適用されるため、会社から労災の申請をしましょう。

事故相手への損害賠償金

事故の相手方の車やモノなどに損害を与えてしまったり、ケガをさせてしまった場合は、事故状況に応じて損害賠償責任が問われます。物的損害では修理費用、人的損害では治療費のほかに休業損害や逸失利益、慰謝料などを支払わなければなりません。被害者から損害賠償を求められた場合は、従業員と会社の連帯責任となります。

従業員が社用車で事故を起こした場合、会社が被る損害は広範囲にわたります。「従業員が加入している自動車保険でなんとかならないのか?」と考えるかもしれませんが、個人契約の自動車保険についている「他車運転特約(アクサダイレクトでは、他車運転危険補償特約)」は、業務中における社用車での事故は補償対象外となります。社用車の事故リスクに備えて、きちんと法人向け自動車保険に加入しておくことが大切です。

社用車で事故を起こしたときに行うべき対応

社用車での事故発生時は、会社と従業員(運転者)のとるべき対応はそれぞれ異なります。下記で紹介する対応例を参考にマニュアルをあらかじめ定めておくと、冷静でスムーズな事故対応が可能になります。

従業員が行うべき対応

  • ケガ人の救護と安全確保
  • 警察に通報
  • 会社に報告
  • 事故現場の状況や相手方の情報などを記録

賠償金に関する約束や思い込みだけで過失を認めたりすることがないように指導しましょう。

会社が行うべき対応

  • 保険会社へ事故報告

保険会社への事故報告は事故現場から従業員が行う場合もあります。従業員が事故現場で適切な対応を取れるよう、現場で行うべき対応について日頃から研修を実施することが大切です。

社用車での事故を防ぐため会社が行うべき取り組み

会社は社用車で事故が起きた時に賠償責任を果たすだけでなく、事故を起こさないようにする社会的責任も負わなければなりません。そのため、社用車を保有する企業において、事故防止につながる対策への取り組みはとても重要です。以下に挙げるように、会社ができる対策を積極的に行い、事故を防ぎましょう。

交通安全研修を行う

車を運転する業務に従事する従業員全員に交通安全研修を実施して、安全運転の心得を身につけさせます。定期的に実施することで、運転技術の向上や、安全運転への意識向上が図れます。

ドライブレコーダーを導入する

ドライブレコーダーの導入により、従業員の運転行動を映像で記録として残せるため、安全運転の指導に活用できます。また、事故が起きた際、ドライブレコーダーの映像は客観的な証拠になるため、事故解決を円滑に進めることができます。

社用車の管理を徹底する(メンテナンス)

メンテナンス不足から車が不具合を起こし、事故を誘発する可能性があるため、整備・メンテナンスは入念に行うことが重要です。専門知識を有した業者が実施する車検や定期点検はもちろん、自分たちの手でしっかりと日常点検を行いましょう。日常点検でチェックする項目や頻度についてルールを決めておくと、より安全に社用車を管理できるでしょう。

従業員の健康状態を把握する

会社が従業員の労働時間を適切に管理して、休息・睡眠時間を確保し、従業員の心身を健康に保つことも大事です。社用車を運転する従業員の健康チェックも日々行いましょう。

事故防止機能のついた車に変える

事故防止のためにどんなに点検や研修を行ったとしても、やはり運転手の技量や注意力、そして判断力に大きく左右されてしまうのが実情です。衝突や誤発進、車線の逸脱などを予防するためのシステムなど、安全装置が備わった車であれば、従業員の安全と安心を確保しやすいといえるでしょう。

社用車の事故で生じる責任を理解し、備えを万全にしよう

社用車での事故は企業側にも責任が問われます。金銭的な損害に加え、企業の信頼も損なう可能性があるため、日頃から事故防止の取り組みが重要になってきます。また、従業員が社用車を運転する際は、常に事故リスクが存在していることを理解し、万一に備えることが大切です。
アクサダイレクトでは、法人向け自動車保険を取り扱っています。豊富な補償から業種ごとのリスクや条件に合わせて補償内容を組み合わせることができます。従業員や会社を守るためにも、法人向け自動車保険への加入をご検討ください。

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