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安全運転管理者とは?
選任方法や業務内容、罰則について解説

更新日:2024年12月12日

公開日:2024年5月15日

安全運転管理者とは?選任方法や業務内容、罰則について解説

社用車は業務で使用するため、自家用車よりも運転時間や走行距離が長くなりやすく、その分事故リスクも高くなりがちです。そのため、社用車を保有している企業は、安全運転の推進や事故防止のための取り組みを行う必要があります。その取り組みの1つに「安全運転管理者制度」があります。安全運転管理者制度についてきちんと理解し、適切に対応しましょう。

安全運転管理者制度とは?

「安全運転管理者制度」とは、一定台数以上の車を使用する企業や事業所に対して、安全運転に必要な業務を負わせるために、安全運転管理者を選任させ、企業や事業所における道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図ることを目的として定められた制度です。
この制度は、1965年6月の道路交通法の一部改正により制度化されたもので、2022年4月より安全運転管理者の業務が拡充され、企業や事業主には交通安全に対して高い意識での取り組みが求められています。

安全運転管理者の選任義務の基準

次のいずれかの条件に該当する企業・事業所は、事業所(自動車使用の本拠)ごとに安全運転管理者の選任が必要となります。

  • 「乗車定員が11人以上の自家用自動車」を1台以上使用している
  • 自家用自動車を5台以上使用している

大型・普通自動二輪車の場合は、それぞれ1台を0.5台として計算

企業によっては副安全運転管理者の選任も必要

自動車の台数が20台以上の企業・事業所では、安全運転管理者に加えて、20台を増すごとに1人の副安全運転管理者を選任しなければなりません。

20台~39台 1人以上
40台~59台 2人以上
60台~79台 3人以上
80台~99台 4人以上
以降20台ごとに1人追加で選任

安全運転管理者等になれるのはどんな人?

誰でも安全運転管理者や副安全運転管理者になれるわけではありません。安全運転管理者・副安全運転管理者に必要な資格要件をみていきましょう。

安全運転管理者の資格要件

安全運転管理者は、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 20歳以上(副安全運転管理者を選任しなければならない場合は30歳以上)
  • 運転管理の実務経験2年以上
  • 公安委員会が上記の経験と同等以上の管理能力があると認めた場合

ただし、次の欠格事項に該当する場合は、安全運転管理者にはなれません。

  • 過去2年以内に都道府県公安委員会から安全運転管理者等の解任命令を受けた者
  • 過去2年以内に次の違反行為をしたことがある者
  • 救護義務違反(ひき逃げ)
  • 酒酔い・酒気帯び運転
  • 飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為
  • 麻薬等運転
  • 妨害運転
  • 無免許運転、無免許運転に関し自動車等を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為
  • 自動車の使用制限命令違反
  • 次の交通違反の下命・容認 酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、大型自動車等の無資格運転、最高速度違反、積載制限違反運転、放置駐車違反

副安全運転管理者の資格要件

副安全運転管理者は、以下の資格要件を満たす必要があります。

  • 20歳以上
  • 運転管理の実務経験1年以上、または運転経験3年以上
  • 公安委員会が上記の経験と同等以上の管理能力があると認めた場合

ただし、安全運転管理者と同様の欠格事項に該当する場合は副安全運転管理者になれません。

出典元:安全運転管理者制度(千葉県警察)

安全運転管理者等が行うべき業務

安全運転管理者は、従業員(運転者)の安全運転を確保するために、内閣府令で定められている9つの基本業務を実施しなければなりません。

①運転者の適性等の把握

自動車の運転についての運転者の適性、知識、技能や運転者が道路交通法などの規定を守っているか把握するための措置をとること。

②運行計画の作成

運転者の過労運転の防止、そのほか安全な運転を確保するために自動車の運行計画を作成すること。

③交替運転者の配置

長距離運転または夜間運転となる場合、疲労などにより安全な運転ができない恐れがあるときは交替するための運転者を配置すること。

④異常気象時等の措置

異常な気象・天災そのほかの理由により、安全な運転の確保に支障が生ずる恐れがあるときは、安全確保に必要な指示や措置を講ずること。

⑤点呼と日常点検

運転しようとする従業員(運転者)に対して点呼などを行い、日常点検整備の実施及び過労、病気などにより正常な運転ができない恐れの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。

⑥酒気帯びの有無の確認

運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視などで確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国家公安委員会が定めるものをいう)を用いて確認を行うこと。

アルコール検知器使用義務化規定については、2023年12月1日から適用されました。

⑦酒気帯びの有無の確認結果の記録と保存

酒気帯びの有無を確認した内容を記録し、その記録を1年間保存すること。

⑧運転日誌の備え付け

運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。

⑨安全運転指導

運転者に対し、「交通安全教育指針」に基づく教育のほか、自動車の運転に関する技能・知識そのほか安全な運転を確保するために必要な事項について指導を行うこと。

出典元:安全運転管理者制度(千葉県警察)

副安全運転管理者の業務は、安全運転管理者の補助ですが、実際は安全運転管理者とほとんど同じ業務を担当することが多いようです。

安全運転管理者等を選任・解任した場合は届出が必要

安全運転管理者を選任・解任した日から15日以内に「安全運転管理者に関する届出書」を自動車の使用の本拠を管轄する公安委員会に届出をしなければなりません。届出書には安全運転管理者の氏名や勤務経歴、事業所の情報などを記入する欄があります。副安全運転管理者を選任・解任した場合も、同様の日程で手続きを行わなければなりません。

安全運転管理者等を選任しなかった場合の罰則

安全運転管理者等を選任しなかった場合は、道路交通法違反とみなされ罰則の対象となります。2022年10月に道路交通法の一部が改正され、選任義務違反・届出義務違反への罰則が強化されました。

選任義務違反の罰則

選任義務の車両台数を保有しているにも関わらず、安全運転管理者等を選任しなかった場合は、50万円以下の罰金が科せられます。法改正以前の5万円以下の罰金から大幅に引き上げられました。

届出義務違反の罰則

安全運転管理者等を選任した日から15日以内に定められた事項を公安委員会に届け出なかった場合は、5万円以下の罰金が科せられます。こちらも、法改正以前の「2万円以下の罰金または科料」から厳罰化されています。
解任の届け出を怠った場合も同様の罰則の対象となります。

安全運転管理者等を選任しない=交通安全の意識が低い企業、と捉えられてしまい社会的信用を損なうリスクがあります。社会に与える影響を十分に配慮し、安全運転管理者等の選任・届出はしっかりと行いましょう。

まとめ

従業員への安全運転を意識付け、事故を起こさせないことは、企業にとって社会的責任を果たすために重要な課題の一つになります。安全運転管理者はこれを実行するための重要な役割を担っています。とはいえ、安全運転できる環境を確保しても、事故リスクが消えるわけではありません。万一の事故に備えて、自動車保険にきちんと加入しておくことも大切です。アクサダイレクトの法人向け自動車保険はお車・バイクの総契約台数が9台以下の場合にご加入いただけるダイレクト型自動車保険で、代理店手数料などの中間コストを圧縮し、合理的な保険料のご提供が可能となっています。さらに、補償内容は基本補償をベースにお客さまのニーズに合わせて追加補償を組み合わせることができるので、納得いただける保険料のご提案が可能となります。新規ご契約やお乗り換えの際には、ぜひご検討ください。

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