法人向け自動車保険
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事業用自動車とは?
自家用との違いやナンバーの種類などを解説
更新日:2024年12月12日
公開日:2024年7月31日
自動車には自家用車と事業用車があり、使用する目的によって登録方法やナンバーなどが異なります。事業用車と自家用車の違いや、どちらで登録するべきか、事業用ナンバーを取得するメリット・デメリット、事業用ナンバーを取得する方法などについて解説します。
事業用自動車とは
事業用自動車とは、道路運送法で規定された自動車運送事業に使用される自動車のことです。自動車運送事業とは、物や人を運ぶ対価として運賃収入を得る事業のことで、輸送業や引越し業者のトラック、タクシー、路線バスなどが該当します。事業用自動車として登録された自動車は、緑または黒のナンバープレートが付けられます。
ただし、法人や個人事業主などが事業のために取得した自動車であっても、使用目的が上記に当てはまらなければ事業用自動車の登録は必要ありません。
自家用車と事業用車の違いは?
自家用車と事業用車では、使用する目的や課せられる税金のほか、自動車保険料や車検・定期検査の頻度についても違いがあります。
使用する目的
自家用車は、主に個人が所有し、通勤や買い物・レジャー、日常生活の移動など、自らの用途のために使用されることが一般的です。法人や個人事業主などの事業者が所有し、自社用品の集配や営業の外回り、役員の送迎などの目的で使用する場合も自家用車に含まれます。
事業用車は、法人や個人事業主が所有し、ビジネス活動や業務上の目的で使用される車のうち、事業として第三者の荷物を運んだり人を目的地まで運び、利益を得ることを目的とする自動車が該当します。
法人や個人事業主が所有する場合でも、使用目的によって事業用として登録される自動車と自家用として登録される自動車に分けられます。
自動車税・重量税
自動車税(種別割・環境性能割)や重量税にも違いがあり、事業用車のほうが自家用車より税額が低く設定されています。軽自動車についても、「軽自動車税(種別割)」と「軽自動車税(環境性能割)」があり、それぞれ事業用車のほうが税率は低くなっています。
自動車税環境性能割は、自動車を取得した際に燃費性能などに応じて課税される税金ですが、こちらも車種によっては事業用車のほうが税額は低く設定されています。
自動車保険の保険料
自動車保険には個人が契約する保険と、法人が契約する保険があります。
一般的に、自動車保険料は事業に用いる自動車のほうが高くなる傾向にあります。通常、事業に用いる自動車は自家用車と比べて使用頻度や走行距離が多く、不特定多数の人が運転するといった特徴もあるため、事故のリスクが高くなり、その分保険料も高くなる傾向です。
車検・定期点検の頻度
車検や定期点検の頻度も異なります。自家用の乗用車の車検は、新車購入後に1回目の車検を受け、その3年後に2回目、それ以降は2年ごととなっています。事業用車の車検は、ナンバープレートによって異なり、新車購入後に1回目の車検を受け、その2年後に2回目、それ以降は毎年必要となる車種や、初回から毎年必要となる車種もあります。
さらに、事業用車では自家用車より定期点検の頻度や項目数が多いことも特徴です。定期点検の頻度と点検項目は国土交通省によって車種や使用用途ごとに定められており、事業用車はそれに従って点検を行うことが義務付けられています。
ナンバープレート
自家用車と事業用車では、ナンバープレートの色に違いがあります。自家用車のナンバープレートは、白ベースで緑色の文字が記される「白ナンバー」です。また、軽自動車においては、黄色ベースに黒色で文字が記された「黄色ナンバー」となります。
事業用車のナンバープレートは、緑色ベースで白色の文字が記された「緑ナンバー」、軽自動車は黒ベースに黄色の文字が記された「黒ナンバー」です。
事業用車に取り付けるナンバープレートの種類
事業用車に取りつけるナンバープレートについて、記載される文字の意味や種類を詳しく解説します。
ナンバープレートの意味
自動車を取得する際に車体に取り付けられるナンバープレートは、正式名称を「自動車登録番号標」(軽自動車の場合は「車両番号標」)といいます。ナンバープレートには、個々の自動車を識別する役割があり、すべての車両に異なる番号が割り振られます。
ナンバープレートに記載される文字や番号の意味は次のとおりです。
- 自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局または自動車検査登録事務所を表示する文字(品川、大阪など)
- 自動車の種別および用途による分類番号(普通、小型、特殊用途自動車など)
- 事業用かどうかの別等を表示するかな文字(事業用は「あ・い・う・え・か・き・く・け・こ・を」が使用される)
- 一連指定番号(原則払い出し順)※事前申し込みにより任意の番号を選ぶことも可能
事業用のナンバープレートとは
事業用車として登録された車には緑または黒をベースとした事業用ナンバーが取り付けられます。ただし、事業に使用する自動車すべてに事業用ナンバーが必要というわけではありません。たとえば、自社商品の集配用や営業車として使用する場合は自家用車に分類されるため、事業用車として登録する必要はなく、事業用ナンバーも不要です。一方で、運賃などのお金を受け取って荷物や人を運ぶ場合は事業用車に分類されるため、事業用ナンバーの取得が必要になります。
ナンバープレートの種類
事業用車に付けるナンバープレートには大きく分けて「緑ナンバー」「黒ナンバー」があります。
緑ナンバー
緑ナンバーはトラックやタクシー、路線バスなどの事業用車に取り付けられるナンバープレートです。運賃や報酬を受け取って荷物や人を運ぶ目的で自動車を取得する場合は、事業用車として緑ナンバーをつける必要があります。ただし、緑ナンバーの取得にはさまざまな条件があり、取得には費用がかかります。
黒ナンバー
黒ナンバーは、軽貨物運送業の車両に取り付けられるナンバープレートです。軽自動車で運賃などのお金を受け取って荷物を運ぶ場合は、黒ナンバーの取得が必要になります。黒ナンバーを取得するためには、軽貨物車を1台以上所有し、営業所や休憩・睡眠施設の設置、車庫の確保などの条件を満たす必要があります。
事業用ナンバーを取得するメリット・デメリット
物や人を運ぶ対価として運賃収入を得る自動車運送事業に自動車を使用する場合には、事業用ナンバー(緑ナンバー・黒ナンバー)を取得する必要があります。事業用ナンバーを取得するメリットとデメリットについて解説します。
緑ナンバーのメリット・デメリット
緑ナンバーを取得するにはさまざまな条件があります。たとえば、トラックなどを使用して運送業を行う場合、国(国土交通大臣)からの「一般貨物自動車運送事業許可」が必要です。また、バスやタクシーなど人を運ぶ事業を行う場合は「旅客自動車運送事業許可」が必要となります。
取得条件が厳しい分、緑ナンバーを取得することで社会的信用度は高まります。社会的信用度が上がれば、営業先の拡大や融資の審査に有利に働きやすいといった点がメリットと言えます。しかし、緑ナンバーは、白ナンバーと比べて車検や定期点検の頻度が高く、自動車保険料も高くなるなど、維持にコストがかかる点がデメリットとなります。
黒ナンバーのメリット・デメリット
黒ナンバーを取得すると、宅配や引越し、ルート配送などの荷物を運ぶ業務が可能になります。軽トラックや軽バンなど貨物用の軽自動車が1台あれば黒ナンバーを取得できるため、初期費用を抑えやすく、個人事業主でも取得が可能です。
黒ナンバーの車は、使用目的からも自家用車よりも走行距離が多くなりやすく、事故のリスクが高くなるため、自動車保険料は高く設定されていることが多いです。さらに、黒ナンバー向けの自動車保険を取り扱っている保険会社が少ないため、補償内容や保険料を比較して保険を選ぶことが難しいといったデメリットがあります。
緑ナンバーを取得するには?
緑ナンバーの取得条件や取得方法は以下のとおりです。
主な取得条件
緑ナンバーを取得するには、一般貨物自動車運送事業の許可を受ける必要があります。また、路線バス・貸切バス、タクシーなどは旅客自動車運送事業の許可が必要です。
一般貨物自動車運送事業の許可を取得するための主な条件は以下のとおりです。
1.車両台数
各営業所には、貨物自動車運送事業法で定められている種別ごとに5台以上の事業用車を配置する必要があります。1つの営業所につき5台以上が必要なので、複数の営業所を設置する場合はそれぞれ5台以上の車両を保有しなければなりません。
2.営業所の立地・規模
営業所は都市計画法、農地法、建築基準法、消防法などの関係法令に抵触しないことが条件となっています。また、事業を営む上で適切な規模(広さ)があることや、営業所に必要な備品などが備え付けられていることなどの条件も満たす必要があります。
3.事業資金
事業を開始・運営するために必要な事業資金の調達に十分な裏付けがあることが求められます。事業資金の内訳としては以下の費用が挙げられ、その金額が合理的に見積もられていることも必要です。
- 車両費
- 土地・建物費
- 保険料
- 各種税金
- 運転資金(人件費・燃料費・油脂費・修繕費・備品費など)
4.運転者・運行管理者
事業の適正な運営を確保するために、車両数や事業計画に応じて、適切な運転者の数を常に確保することも必要です。また、営業所ごとに選任を義務付けられている数の運行管理者・整備管理者(常勤)も確保しなければなりません。
詳しくは、安全運転管理者とは?選任方法や業務内容、罰則について解説をご覧ください。
緑ナンバー取得までの流れ
新規で緑ナンバーを取得するまでの大まかな流れは次のとおりです。
- 事業計画を作成する
- 運輸支局へ申請書を提出する
- 法令試験を受けて合格する
- 各種手続きをする(登録免許税の納付、運行管理者と整備管理者の選任届提出、運輸開始前の確認報告書の提出など)
- 緑ナンバーの車両登録をする
1~3は、一般貨物運送事業の許可を受けるための準備や手続きです。事業計画は、申請書を記入するために作成しておく必要があります。事業計画を含めた必要事項を申請書に記入の上、運輸支局に提出しましょう。
3の法令試験は2ヵ月に1回実施されており、基本的に運輸支局へ申請書を提出した翌月以降の受験となります。この試験に合格すると一般貨物自動車運送事業の許可が下りますが、申請書の受付けから許可が下りるまでは半年程度かかります。
事業の許可が下りたら、各種手続きを経て、緑ナンバーの車両登録を行います。
緑ナンバーを取得するための必要書類
緑ナンバーを取得するには、まず以下の書類を運輸支局の輸送課窓口へ提出する必要があります。
- 事業用自動車等連絡書(確認印が押され返却される)
- 車検証(写しでも可)
- 手数料納付書
事業用自動車等連絡書は、法人や個人で所有する白ナンバーの自動車を緑ナンバーへ変更する際に必要な書類です。国土交通省のウェブサイトからひな形をダウンロードできます。なお、運輸支局によっては、事業の許可が下りた際に事業用自動車等連絡書が発行される場合もあります。
次に、運輸支局に登録する車両を持ち込み、登録窓口で以下の書類を提出します。
- 事業用自動車等連絡書(陸運支局の確認印が押されたもの)
- 車検証の原本
- 譲渡証明書
- 委任状(委任する場合)
- 手数料納付書
など
新車登録や名義変更など、手続きの内容によって必要書類が異なるので、実際に手続きする際は運輸支局のウェブサイトなどで必要書類を確認してください。
軽貨物自動車の黒ナンバー取得方法は?
軽貨物自動車の登録(黒ナンバーの取得)は届出制となっており、法令試験もないため、緑ナンバーよりも比較的容易に取得できます。黒ナンバーを取得するには、まず運輸支局で届出の手続きが必要です。
新たに事業を始める場合の必要書類は以下のとおりです。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書(正・控)
- 運賃料金設定(変更)届出書(正・控)
- 事業用自動車連絡書(2枚)
- 車検証または完成検査証(コピー可)
運輸支局での手続きが完了して連絡書が発行されたら、次に軽自動車検査協会で黒ナンバーを取得(黄色ナンバーから変更)する手続きを行います。必要書類は以下のとおりです。
- 事業用自動車連絡書(運輸支局の押印済み)
- 車検証(原本)
そのほか、ナンバープレートの交付手数料や、車両に付いていた黄色ナンバープレートも必要です。緑ナンバーの取得と異なり、車両を持ち込む必要はありません。
事業用と自家用の違いを確認して、事業に合った車のスムーズな導入を!
事業で自動車を使用する場合、使用目的によっては事業用ナンバー(緑ナンバー、黒ナンバー)の取得が必要になります。税金や自動車保険料、車検・定期点検の頻度などが異なるため、それぞれの違いを理解した上で登録するかどうかを検討する必要があります。事業用ナンバーの取得には、さまざまな条件があり、手続きに時間もかかるので、早めに準備することが大切です。
アクサダイレクトの法人向け自動車保険では、お車のナンバープレートの色が緑地または黒地の場合(事業用登録のお車)はお引き受けできません。
事業用車に関するよくあるご質問
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白ナンバー・黄色ナンバーは事業用車ではない?
道路運送法で規定された「事業用車」ではありません。自社の荷物を運んだり、営業用に使用したりする目的で取得する場合は、自家用車と同じ白ナンバーや黄色ナンバーとなりますが、料金を受け取って他社の商品を運んだり、送迎に利用したりする目的では使用できません。緑ナンバーや黒ナンバーを取得しないまま、利益を得るために自動車を使用した場合は違法行為となるので注意しましょう。
監修者 佐藤 寿美礼
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)
監修者 佐藤 寿美礼
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)
2016年からフリーランスとして活動。金融や投資、税金、保険、住宅ローン、不動産、社会保障制度など、「お金」関係の記事を中心に編集や執筆をしています。子どもの大学進学やマイホーム購入などをきっかけに、お金の管理に興味を持ち、投資や保険、法律などを勉強中です。
執筆者 鈴木 靖子
AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
執筆者 鈴木 靖子
AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、2級DCプランナー(企業年金総合プランナー)
銀行の財務企画や金融機関向けコンサルティングサービスに10年以上従事。
企業のお金に関する業務に携わる中、その経験を人々の生活に生かすためFP資格を取得。
現在は金融商品を売らない独立系FPとして執筆・監修や相談業務を中心に活動中。
本ページに掲載の情報は、一般的な情報提供を目的とするものです。必ずしも正確性、妥当性を保証するものではありません。また、当社では、お車のナンバープレートの色が緑地または黒地の場合(事業用登録のお車)はお引き受けできません。
記載の情報は2024年12月時点の内容です。