拡張型心筋症
概要
猫の心臓の病気の中で最も多い病気が心筋症です。心筋症とは、心臓の筋肉に異常が起こることで心臓の働きが低下する病気です。心臓の筋肉が分厚くなるタイプ(肥大型)や、薄くなるタイプ(拡張型)、固くなるタイプ(拘束型)などがあります。
このなかの拡張型心筋症は、肥大型の次に多く、心筋症の10%弱を占めます。数十年前までは拡張型心筋症 = タウリン欠乏でしたが、現在は一般的なフードにも十分タウリンが添加されているため、タウリン欠乏による心筋症は激減し、ほとんどが原因不明の拡張型心筋症と考えられます。初期は無症状で、症状が出た段階で重症な場合が多い病気なので、定期的な健康診断などで早期発見、早期治療をするとよいでしょう。
症状
初期は無症状の場合がほとんどで、聴診でわずかに心雑音が聞こえることが多いです。症状が出た段階では重症になっていると考えましょう。
症状としては、心不全の症状(口を開けて呼吸する、よだれを出し苦しそうな呼吸をする、胸水や腹水の貯留、足のむくみ)と血栓症(下半身が冷たくなる、後ろ足を引きずって歩く、痛がって鳴く、触ると怒る)などが現れます。症状が出た段階で緊急性がありますが、特に血栓症は一刻を争う状態なので早めに獣医師に相談しましょう。
対象
好発品種として、アビシニアン、シャムが挙げられます。年齢を問わず、若い猫にも見られる病気です。
予防、治療
残念ながら予防法はなく、拡張型心筋症そのものを完治させる治療法もありません。しかし早期に発見し、症状をおさえる治療をすることで病気の進行や悪化を防ぐことはできます。
対症療法として、心臓病の治療が行われます。血管を広げ血液を全身に送りやすくする薬や、心臓の打つ力を増す薬、むくみを取る薬が使われます。血栓症を発症した場合は、血栓を溶かす薬を使用し、血栓が溶けた後も予防薬を飲ませます。呼吸困難が起きている猫は、十分な酸素化や利尿剤投与のため酸素室へ入院治療が必要になることが多いです。重症化した場合は治療への反応も悪く、治療が遅れた場合は命に関わる病気なので、早めに十分な治療をしてあげましょう。
監修
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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補償対象外の病気については、「契約申込のご案内(兼重要事項説明書)」をご確認ください。 -
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