リンパ腫
概要
リンパ腫とは、血液の癌の一種で、血液中にある白血球のひとつであるリンパ球が腫瘍(癌)化する病気です。リンパ球は通常、免疫細胞として働いており、体内に侵入した病原体や異物などの外敵と戦う仕事をしています。リンパ球は主に骨髄で作られ、血液中だけではなく全身(リンパ節、脾臓、肝臓、腸、肺、腎臓、皮膚など)のあらゆる場所をパトロールしています。どの部位で癌化したかによって消化器型、縦隔(胸腺)型、多中心型、節外型などに分類されそれぞれ症状や治療方針に違いがあります。猫の腫瘍のおよそ3割がリンパ腫で、もっとも多くみられる腫瘍です。高齢の猫に発症することが多いのですが、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)感染があるとリンパ腫の発生率が高まり、若齢でも発症します。
症状
それぞれの型により症状は異なりますが、共通して元気低下、食欲不振、体重減少といった症状がみられます。高齢の猫に多い消化器型では、嘔吐、下痢などの症状が見られ、縦隔(胸腺)型では胸水が貯まり、呼吸が早くなったり口を開けて呼吸したり、食べ物の飲み込みが悪くなりえずいたり、大きく胸を膨らませるような呼吸をするといった症状がみられます。多中心型では、全身のリンパ節が大きく腫れます。腫れたリンパ節は熱を帯びず触っても痛がらない場合が多いです。多中心型では発生した部位によって症状が変わりますが、例えば鼻腔内に発生するといびき、鼻づまり、鼻出血、腎臓に発生すると多飲多尿、嘔吐、発作、皮膚に発生すると皮膚の痒みや脱毛、赤み、神経に発生すると麻痺などがみられる場合があります。
対象
すべての猫種が引き起こす可能性がありますが、シャムが好発猫種と言われています。
猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)感染がある猫では発生率が高まります。
予防、治療
予防としては、ストレスを減らし、ウイルス感染(FeLV、FIV)の予防です。ワクチンの接種や室内での管理はウイルス感染のリスクを減らし、間接的な予防といえるでしょう。
治療は抗がん剤治療が主体になります。リンパ腫が疑われる場合、まず発生した部位、リンパ球のタイプ(T細胞、B細胞由来)、ウイルス感染の有無、年齢や現在の進行度などを確認して治療方針を立てます。ウイルス感染により発生したリンパ腫では抗がん剤への反応は鈍いといわれています。
抗がん剤治療以外にも外科的摘出や放射線治療などが行われる場合もあります。
例えば、消化器型のリンパ腫で腸閉塞を引き起こしている場合や、鼻腔内の腫瘍で呼吸困難な状況、神経に発生し麻痺を起こした状況などでは外科的に摘出し、早期に危機的状況を脱出する必要があります。外科的に摘出したのちに抗がん剤治療に移行する場合があります。神経に発生した腫瘍や鼻腔内に発生した腫瘍、縦隔に発生した腫瘍など摘出困難な場所に発生した場合放射線治療を行う場合もあります。放射線治療は放射線施設で行う必要があり、各地域の二次診療病院で行われる場合が多いです。
監修
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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補償対象外の病気については、「契約申込のご案内(兼重要事項説明書)」をご確認ください。 -
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