短頭種気道症候群
概要
猫の短頭種気道症候群は、短頭種の猫(ヒマラヤン、ペルシャ、エキゾチックショートヘアーなど)の気道(鼻やのど、気管など)が異常に狭い状態になることで発症する、呼吸器の症状を特徴とした病気です。短頭種の猫は品種改良によって、そのほかの品種よりも鼻の孔やとおり道が狭く、のどの構造もギュッと凝縮されているため、呼吸をするときに気道に圧力がかかりやすくなります。短頭種気道症候群の猫は、鼻の孔やとおり道の狭さ(鼻腔狭窄)によって、鼻の奥の筋肉が過剰にたるんでしまう(軟口蓋過長)、のどから気管にかけて狭くなってしまう(喉頭室外反、喉頭虚脱、気管虚脱)などの症状が複合的に発症します。
若齢から発症し、気道の負荷によって次第に重症化することがあり、呼吸困難を起こすと、最悪の場合、命を落としてしまう可能性もあります。しかし、若くして発症している場合、飼い主は短頭種の猫はこのような呼吸だと思い込んでいる場合も多いです。早めに異常に気がつき、専門家に相談をして、重症化する前に治療に入ると良い結果につながるでしょう。
症状
安静時にもグーグー、ブーブーといった呼吸音が聞こえます。喉や気管を通るときのヒューヒューといった喘息のような音が聞こえる場合もあります。重症化すると口を開けた速い呼吸(パンティング)をする場合や、体温調整が上手くいかず高体温になって呼吸困難や失神が起こる場合があり、最悪、死亡することがあります。
対象
好発品種として、ヒマラヤン、ペルシャ、エキゾチックショートヘアーなどの短頭種の猫によく見られます。
予防、治療
先天的な構造の異常のため、決定的な予防法はありませんが、安静をとりつつ涼しい環境で管理することで重症化を防ぎます。
治療は内科療法と外科療法があります。内科療法は症状を緩和する目的で行われ、酸素を吸入し、体温調整をし、ステロイド剤によって気道の炎症を抑え、去痰剤で気道内の分泌物を取り除き、鎮静剤で咳や興奮を抑えます。外科療法では、主に鼻孔の一部を切除して鼻のとおり道を広げる手術や、喉の奥の伸びた筋肉を切除する手術などが行われます。さまざまな問題が複合的に気道で起こる前に手術を行うと、術後経過も良いので、早期に診断し早期に治療に入ることが理想的だと言えます。
監修
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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補償対象外の病気については、「契約申込のご案内(兼重要事項説明書)」をご確認ください。 -
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