更新日:2023年12月21日
細身でしなやかな体つきは女性的。サファイアブルーの瞳と相まって、高貴な雰囲気を漂わせています。シャムの毛色は白っぽいページュとなりますが、最大の特徴はポイントカラーと呼ばれるもの。ポイントカラーとは、顔や足先、しっぽなどの色が濃くなるものですが、色味は遺伝によって決まり、茶や青などさまざまです。ただし、子猫にはポイントカラーはなく、真っ白のまま。大人になると次第に現れてきます。体格はほかの猫種と比べても小さく、体重は3kg前後です。
シャムというのは、タイのことを指します。そのため、タイの固有の猫種とされていますが、詳しいことはわかっていません。ただ、王室や寺院など、特定の場所のみで飼われてきた猫であることは確かです。タイ以外でシャムが知られるようになったのは1885年のことで、タイに駐在していたイギリスの総領事に贈られたペアが、本国に持ち帰られ広まりました。その後、高貴な佇まいなどから人気はすぐに高まり、1990年頃にはアメリカでも繁殖されるようになりました。
短毛種なので、お手入れに神経質になることはありませんが、美しい毛並みを維持するためにはマメなブラッシングは欠かせません。その際は、優しく撫でるようにかけてあげましょう。活発で運動量が多く、エサを欲しがりますが、スラリとした体つきを維持するためにも与え過ぎには注意です。
見た目のイメージ通り、マイペースでワガママな一面があります。警戒心が強い反面、飼い主さんや家族には慣れてくると甘えん坊になってきます。もともと活発な性格なので一緒に遊ぶことを好み、いたずらをすることも。思いっきり遊べるようにキャットタワーを用意してあげるのもいいでしょう。
心室の内腔の拡がりと心室の収縮機能低下がみられる疾患です。以前は、拡張型心筋症は肥大型心筋症に次いで多い猫の心筋症でしたが、今では少なくなりました。
胃の出口の幽門部(ゆうもんぶ)の異常により、胃に入った食べ物を十二指腸に送りにくくなる病気です。幽門狭窄は先天性と後天性があり、シャムは先天性の幽門狭窄が多いです。内科的な治療では十分な効果が得られないことも多く、外科手術が必要な疾患です。
サッキングとは吸い込むという意味で、ウールを吸い込むというのが語源になります。実際は布だけでなく、段ボールや輪ゴムなども口に入れるなどの症状がみられます。なぜこのような行動を取るのかは、はっきりとは分かっていませんが、東洋系の猫種に多くみられる傾向にあります。
シャムの毛色を作るために、メラニン色素を抑制する遺伝子が作用しますが、メラニン色素は皮膚だけではなく網膜にもあるため、その作用によって視覚経路に異常が起こり、通常の眼球の位置では目から入る情報が正しく伝わらなくなります。それを解消するために寄り目(斜視)になってしまいます。しかし、すべてのシャムにみられるわけではありません。
神経と筋肉の刺激伝達に障害が起こります。運動時の筋脱力(休息時に改善する)、巨大食道症(食道が拡張してしまう疾患で、物をうまく飲み込めないため食後すぐ吐き戻しがみられる)などの症状が起こります。
人の喘息と同様、突然、苦しそうな咳をしたり、呼吸困難を起こしたりします。原因ははっきりとしないことが多いですが、タバコの煙、ハウスダスト、芳香剤、花粉、病原体などの関与が考えられています。シャムでは起こりやすいと言われています。重度の呼吸困難を起こしている際は、救急管理が必要です。
胸の中に乳びと呼ばれるリンパ液が溜まって、肺を健康時のように膨らますことができなくなる病気です。原因として、外傷、心臓病、腫瘍、奇形などがありますが、その多くは原因不明の特発性です。症状は呼吸困難や咳、食欲不振などを起こします。症例ごとに治療への反応が異なることもありますが、胸に溜まった液体を抜く、投薬による内科的治療を行う、などが一般的です。しかし、これらの治療では完治は望めないため、手術が選択されることもあります。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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