膀胱炎
概要
膀胱炎は、腎臓で作られた尿を一時的に貯める風船のような臓器である膀胱に炎症が起こる病気です。炎症を起こす原因にはいくつかあり、もっとも多くみられるのは細菌感染によるものです。特に雌は尿道が太く短く、尿の出口が肛門に近いため菌が侵入しやすく、細菌性膀胱炎を発症しやすいので注意が必要です。それ以外にも尿石症、膀胱腫瘍、薬剤、寄生虫、雄の前立腺疾患、膀胱の機能不全などがきっかけになり、膀胱炎を発症することがあります。膀胱炎は治療が長期間になることが多く、膀胱炎になりやすい要因がある犬では、一度治っても再発を繰り返す難治性の膀胱炎になる場合があります。膀胱炎は比較的症状が分かりやすく、飼い主さんが愛犬を観察することで気づくことができる病気です。症状が確認された場合は、早めに治療を開始しましょう。また、なかなか完治しない(3週間以上)場合は、やみくもに治療を継続するのではなく、難治性膀胱炎になる理由を精密検査で調べてみるとよいでしょう。
症状
膀胱炎の症状は、頻尿、血尿、排尿困難、尿漏れ、トイレ以外での排尿、尿臭の変化などがあります。膀胱に炎症が起こると、膀胱に尿が溜まっていなくても尿意を感じるため、頻尿や尿しぶりが起こり、いつもと違う場所で排尿をするようになります。また、膀胱の粘膜から出血することで血尿が確認される場合もあります。尿中で細菌が増殖すると尿の色が濁っている、臭いが強くなったと感じる場合があります(膿尿)。膀胱炎の原因が膀胱結石の場合、結石が尿道に流れ尿道を閉塞し、排尿困難を起こす場合もあります。結石による尿道閉塞は雄に多くみられ、いきんでも全く尿が出ない場合には、そのまま放置すると死に至ることもあるため早急に動物病院に相談しましょう。また、膀胱炎をこじらせ、腎炎などの合併症を併発すると発熱や嘔吐などの症状がでる場合もあります。
対象
雌に多い病気です。細菌性膀胱炎はあらゆる犬種でおこります。高齢な犬や糖尿病、クッシング症候群などの基礎疾患を持っている犬では膀胱炎を発症しやすいです。また、尿石症好発犬種(シーズー、ミニチュア・シュナウザー、ダルメシアン)、膀胱腫瘍好発犬種(シェットランド・シープドック、コリー、ビーグル)、異所性尿管(シベリアン・ハスキー、トイ・プードル、ラブラドール・レトリーバー)などにかかりやすい犬種などでは膀胱炎の発生率も高くなります。
予防、治療
膀胱には排尿による自浄作用があり、また尿自体にも抗菌作用があります。つまり、常に膀胱自体が膀胱炎から守るために予防をしています。この予防効果を最大限に生かすには、ストレスなく過ごし、水分を十分に与え、排泄を我慢させないことが大切です。また食事中のたんぱく質やミネラルの量を適正に保つことで尿石や肥満を防ぐ事も膀胱炎の予防になります。
治療は、細菌性膀胱炎に対して抗生剤や消炎剤を投与します。単純な膀胱炎の場合3週間以内に完治しますが、それ以上の期間症状が続く場合は難治性の膀胱炎を疑い、基礎疾患の有無、細菌に対する薬の効果の判定などの精密検査を必ず行いましょう。
監修
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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補償対象外の病気については、「契約申込のご案内(兼重要事項説明書)」をご確認ください。 -
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