間擦疹(かんさつしん)は皮膚のたるんだ「ひだ」に起こる皮膚表面の細菌感染症で、皮膚の皺壁性膿皮症(しゅうへきせいのうひしょう)ともいいます。シャーペイやブルドッグのようなひだが特徴的な犬種や肥満犬、口、眼の周りや外陰部、巻き尾などのひだによく見られます。皮膚のひだは温かいだけではなく湿度が溜まりやすいので、細菌が増殖しやすい環境です。特に口や眼の周りや外陰部周囲などのひだは唾液や涙、尿など水分の供給があり、よりいっそう湿度が増して細菌や酵母菌の感染を起こしやすい部位です。細菌や酵母菌の感染が発生して悪臭を放ち、痒みや炎症が起こります。
定期的な皮膚のケアを行ったり、構造的な問題を解決しない限り、再発や悪化、慢性化しやすい病気です。外陰部に発生する場合は、膣炎や膀胱炎にも注意が必要です。また肥満はこの病気を悪化させます。皺の多い犬種は、肥満には十分気をつけて管理しましょう。
初期はしわの間が赤くなったり、犬が痒がったりします。次第に皮膚は分厚くなり(苔癬化)、脱毛や黒ずみ(色素沈着)、白〜黄色のチーズ状の膿や腐敗臭がしわに起こります。犬は、痒みから一日中気にして掻いている仕草をとります。眼を傷つけたり、二次的に細菌性膀胱炎を起こし、頻尿や血尿が出る場合もあります。
皺の多い犬種や肥満犬、巻き尾の犬に確認されます。好発犬種として、チャイニーズ・シャー・ペイ、パグ、ブルドッグ、アメリカン・コッカー・スパニエル、ペキニーズ、バセット・ハウンドなどが挙げられます。
予防法は、食事管理に注意して肥満を避けることと、ひだの間を清潔に保ち、水分の貯留を避けることです。しわの間を消毒薬(クロルヘキシジン含有)で毎日拭いてあげましょう。週1〜2回程度の薬用シャンプーも効果的な予防法です。これは注意が必要なことですが、ペット用のウェットティッシュや湿らせた布などで拭くと一時的にはひだの汚れが取れて衛生的に見えますが、水分をひだに供給することになり、その後の細菌や酵母菌の増殖を促してしまいます。それは避けて、細菌の増殖を防ぐ消毒薬で拭くようにしましょう。
治療は、皮膚のしわを毎日消毒することと、週に1〜2回の薬浴、抗生剤の軟膏を塗布することです。感染が重度な場合は、抗生剤や消炎剤を内服します。これらの治療で反応が鈍い場合は、積極的な治療法として、手術で余分な皺を切除することを検討します。外科切除を行わない場合は、ひだのケアを生涯にわたって行い、良い皮膚の状態を維持してあげましょう。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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