白内障は目の中にある水晶体が白く濁ってきて、視力が損なわれる病気です。水晶体は外の光を集めてピントを合わせるカメラのレンズのような働きをしており、透明な水晶体が白く濁ってしまうことで光を眼底に届けることができなくなります。老齢で発症しゆっくりと進行する老年性白内障が多いですが、ほかに、生まれつき水晶体が濁っている先天性白内障や、遺伝的要因により8歳くらいまでに発症する若年性白内障もあります。また外傷や眼内の炎症に由来するもの、糖尿病、中毒や栄養欠乏によるものや、ホルモンの病気などの原因も考えられます。
緑内障は、眼圧(眼球内部の圧力)が高くなることによって網膜や視神経が障害を受ける病気です。重症化すると視力低下や失明したり、痛みを伴ったりする病気です。眼の炎症や構造に異常、腫瘍など後天的な要因から起こる続発性緑内障と、ほかの病気をともなわずに先天的・遺伝的な要因から生じる原発性緑内障があります。
白内障は水晶体が白く濁るため、正面から見ると、瞳孔の奥が白く見えます。徐々に進む老年性白内障は少しずつ視力の低下がおこり、物にぶつかったり、つまずいたりするようになります。進行すると視力を完全に失うこともあります。目の炎症を伴う場合は目をまぶしそうにしたり、気にしてこすったりすることもあります。若年性白内障は目の奥にある網膜の変化から始まることが多く、目が白くなる白内障の前の段階で視力を失っており、目は白くなっていないのにものにぶつかったりする場合も多いです。
緑内障は、眼の強い痛みによりじっとして動かない、涙を流す、頭を触られることを嫌がる、などの症状が現れます。眼圧がかなり高くなると結膜が充血し、角膜も白く濁って見えます。目そのものも膨らむためにいつもより大きく飛び出したように見えることがあります。頭痛で嘔吐や食欲の低下が出てくる場合もあります。眼圧が高いまま放置すると視神経が弱り失明します。
白内障はアメリカン・コッカー・スパニエル、プードル、ミニチュア・シュナウザー、ビーグル、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバー、シベリアン・ハスキー、ボストン・テリアなど、緑内障はシー・ズー、マルチーズ、アメリカン・コッカー・スパニエル、ビーグル、柴犬などの犬種に多く見られます。
白内障、緑内障は予防が難しいですが、前述の白内障、緑内障にかかりやすい犬種は、動物病院で定期的な検査を受ける早めに治療をすることが最大の予防でしょう。
白内障の治療には、内科的治療と外科的治療があります。視力がまだ失われていない場合やブドウ膜炎のような目の炎症が起きている場合は眼薬や飲み薬で進行をおさえる内科的治療が可能です。症状が進行して日常生活が困難な場合は外科的治療を行いますが若年性白内障などで網膜の機能が低下している場合は視力の回復は望めないことがあります。
緑内障についても、薬を使って眼圧を下げる内科的治療のほか、眼圧が高くなる原因である眼房水の循環をよくしたり、眼房水の産生をおさえる外科的治療を行うこともあります。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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