更新日:2023年12月21日
ヨークシャー・テリアは、19世紀の中ごろ、イギリス・ヨークシャー地方の工業地帯の工員たちの家庭を荒らすネズミを退治するための犬として誕生しました。1862年に「ブロークン・ヘアード・スコッチ・オア・ヨークシャー・テリア」と命名されましたが、あまりにも犬種名が長いため、1870年ごろからは短く「ヨークシャー・テリア」と呼ばれるようになりました。
当時は今よりもずっと大きく体重も5kg前後で毛質も硬かったのですが、その後、小型化が進み、毛質も絹糸のように滑らかになって、庶民だけではなく上流階級でも飼育されるようになりました。被毛の美しさから「動く宝石」とも呼ばれ、日本では「ヨーキー」の愛称で知られています。
標準的な大きさは15〜23cmほど。体重は2〜3kg程度ととても小柄。チワワに次ぐ小型犬とされています。日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、特に体高の規定はありません。
ブラック&タン(赤褐色)、ブルー(青みがかった黒色)&タン、ブラック&ゴールド、ブルー&ゴールドなどがあります。
子犬の頃はブラック&タンであることが多く、成長するにつれ、ブラックにツヤが出てきてシルバーがかった毛色に、タンはゴールドに変化していきます。2歳でヨークシャー・テリア本来の色になるとされていますが、その後も毛色は変化するため、生涯に7回変化するともいわれています。
ヨークシャー・テリアは、シングルコートなので抜け毛はあまりありません。ただし、絹糸のように細く長い被毛は放っておくと毛玉ができてからまってしまうので、毎日ブラッシングしてあげましょう。
トリミングは月に1回程度必要です。ショータイプの「フルコート」は、被毛を地面ギリギリまで伸ばしてカットするので、こだわらないのであれば、短くカットすると日々のお手入れも楽になります。
体が小さいため気温の影響を受けやすく、夏は熱中症にかかりやすいので温度管理にも気をつけてあげてください。冬も寒がりなので洋服を着せてあげるといいでしょう。
ヨークシャー・テリアの平均寿命は14〜16歳前後。大型犬に比べると小型犬は長寿の子が多いとされていますが、中でもヨークシャー・テリアは長生きする傾向があります。
ヨークシャー・テリアの性格は、テリア種だけあってとても賢くて勇敢。プライドが高く負けん気が強いので、大型犬に向かっていくこともあります。しっかりと信頼関係を築けていないと、飼い主さんの指示を無視してしまうことがあります。
ヨークシャー・テリアのしつけはやや難しいといわれていますが、吠え癖やかみ癖をつけないためにも幼犬のころからしっかりしつけを行いましょう。一度覚えると忘れない聡明さがあるので、きちんと訓練できた場合にはとても飼いやすく、甘えん坊の面を見せてくれます。
無駄吠えやいたずらが目立つときは、ストレスがたまっているサインかもしれません。
超小型犬のヨークシャー・テリアは「室内の運動だけでお散歩は必要ない」という人もいますが、気分転換のためにも1回10分程度のお散歩を、朝夕の1日2回行ってあげたいものです。
また、遊び好きなのでボールやおもちゃで遊んであげるといいでしょう。飼い主を独占してスキンシップができる時間は、甘えん坊で「ご主人大好き!」のヨークシャー・テリアにとって、最高のストレス解消になるでしょう。
消化管から吸収された栄養などは門脈という管を通って肝臓へ運ばれ代謝されますが、シャント(本来のルートとは別にできた分かれ道)により、肝臓を通らずに直接全身へ循環する血管に流入してしまう病気です。肝臓で代謝されるはずの毒素により、食後に元気がない、歩くとふらつく、痙攣などの症状が見られます。
リンパ液が腸管内に漏れて、タンパク質が漏れ出してしまう病気です。慢性的な下痢が続いて、体重が減る、腹水が溜まるといった症状になります。下痢を全く起こさないケースもあるので要注意です。
ヨークシャー・テリアのような小型犬に多く見られるのが、ひざのお皿の骨が外れてしまう膝蓋骨脱臼です。肢を不自然に挙上していたり、寝起きに立ち上がろうとしてキャンと鳴いたりするような際は、要注意です。
大腿骨が成長する時期に大腿骨頭への血液供給が悪くなることで大腿骨頭が壊死してしまう疾患で、1歳未満で発症することが多く、手術が必要なこともあります。歩行時に痛みが生じるため、歩き方が不自然だったり、肢を使わないように挙上したりする様子が見られます。
脳脊髄液の流れが滞ったり、産生量が増えてしまうことで、脳を圧迫し、姿勢の異常、失明、歩行異常、グルグル同じところを歩きまわるなどの神経症状があらわれることがあります。
頚椎の一番目と二番目のつながりが弱く、脱臼しかかることによって起こる病気です。歩き方がおかしい、首の動きが変と思ったときはこの病気を疑ってください。頭部を動かすと激しい痛みを感じるので、頭を触られることを嫌がる場合は、動物病院での検査をお勧めします。
水晶体が白濁してしまうことで、視力が失われていきます。ものにつまずくようになったり、散歩を嫌がるようになったりすることがあります。加齢とともに生じやすくなります。
尿石症は膀胱炎を引き起こすことが多いので注意が必要です。血尿、頻尿、排尿困難といった症状が現れます。雄の尿石症ではストラバイトとシュウ酸カルシウムが半々くらいですが、ヨークシャー・テリアの雄ではシュウ酸カルシウムと尿酸塩が多くみられます。尿酸塩は、内科的に溶かすことが可能なケースがありますが、シュウ酸カルシウム尿石は、石を溶かす友好的な方法がないため、治療法は摘出になります。
胎仔期の精巣は腎臓のすぐ近くに存在しますが、徐々に下降しはじめ、通常生後数ヵ月で正常に陰嚢の位置にきます。しかし、精巣が下降せずに腹腔内や鼠径部(=内股あたり)に存在することがあり、このような状態を停留精巣(陰睾)といいます。両方とも下降していないこともあれば、片方だけのこともあります。遺伝による発育障害が原因だと考えられています。
肺へ空気を送る気管がつぶれてしまう病気で、初期は軽い咳からはじまり、ガァーガァーとガチョウが鳴くような音を出すこともあります。つぶれ方がひどければ、十分な量の空気が通れず呼吸困難を起こしてしまいます。
消化酵素が膵臓内で活性化されてしまうことで、膵臓に炎症が起こる疾患で、嘔吐、下痢、食欲不振、激しい腹痛などの症状がでます。重症になると多臓器不全になり死亡することもある病気です。ほとんどが原因不明ですが、高脂肪食や、内分泌疾患、肥満などがリスクとなります。高脂肪な食事を避け、肥満にならないように健康管理に気をつけましょう。
原因不明の脳炎で、意識障害や旋回運動、昏睡などを起こすようになります。パグ以外の犬にも見られますが、とくにパグで多く認められるため、「パグ脳炎」とも呼ばれています。
ヨークシャー・テリア、チワワ、パピヨンに特有の病気です。体重2kg以下の発生率が高いとされています。発作、姿勢異常、運動失調などの症状が現れます。
遺伝性疾患により、淡色部分の毛が正常に育たない疾患です。
涙の産生量が少なく、常に目が乾いた状態になるため、目に傷がつきやすかったり結膜炎を起こします。また、ドロドロした油っぽい眼やにがでることもあります。遺伝的影響が考えられています。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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