尿石症とは、おしっこが作られて体外に排泄されるまでの尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)に石ができて、血尿や頻尿、排尿困難などさまざまな症状が現れる病気です。
尿石は、おしっこの中に含まれるミネラル分が何らかの原因で溶けきらずに結晶になって出てきます。目に見えないほどの結晶から膀胱とほぼ同じ握りこぶし大の結石まで、大小さまざまです。作られる部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。その中でも尿管結石や尿道結石は、緊急性のある状態になる場合があります。尿管や尿道に大きな結石が詰まり、おしっこを全く出せなくなると、毒素を体外に出せなくなり(尿毒症)、命に関わる状態になることがあります。
血尿(ピンク〜赤や茶褐色)や頻尿になり何度もトイレに行ったり、少量の尿をいろんな場所ですることが一般的な症状ですが、無症状であったり間欠的に症状の悪化や良化を繰り返す場合も結構あります。排尿痛で性器をしきりに気にして舐めたり、元気や食欲の低下が見られたりする場合もあります。いきんでいるのに全く尿が出ない場合は、尿道が結石でふさがれている可能性があります。尿道閉塞は命に関わるので、早急に獣医師に相談しましょう。
犬の尿石症の8割はストルバイトかシュウ酸カルシウムが占めています。過去はストルバイトが圧倒的に多かったのですが、食事の改善などにより、近年はほぼ同じ比率になっています。性別比は、ストルバイトではメスが約6割で、シュウ酸カルシウムでは逆にオスが8割以上を占めるというデータがあります。
好発犬種はストルバイトがシー・ズー、シュナウザー、柴犬、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、シュウ酸カルシウムがシー・ズー、シュナウザー、ヨークシャー・テリア、パピヨン、ポメラニアンで、両結石の好発犬種のシー・ズー、シュナウザーは非常に注意が必要だと言えます。そのほかの石の好発犬種は、尿酸結石でダルメシアン、ブルドッグ、シー・ズー、シスチンでブルドッグ、ダックスフンド、キサンチンでキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどが挙げられます。
尿石症の予防は、十分な水分を取ることと日常の食生活に気を使うことです。上記の尿石症好発犬種は定期的な尿検査などを行い、結石を作りやすい状態になっている犬は、結石予防の食事指導を専門家から受けましょう。
尿石症の治療には、外科治療(手術による結石摘出)と内科治療(食事療法、投薬)があります。外科治療は結石の摘出で、内科治療に反応しない場合や、緊急性を伴った症状の場合に検討されます。結石を摘出することで速やかに症状が改善することが期待できますが、尿石が作られることに対しての治療ではないので、その後の内科治療や予防が重要になります。内科治療は食事療法が中心になります。結石の種類に合った食事に変えることで、体内や尿中に含まれるミネラルバランスが整い、結石ができにくい状態を作ります。尿石症用に作られた療法食では尿のpHの調整や、水を多く摂らせるための工夫もされています。そのほか、結石を溶解させる薬や感染が疑われる膀胱炎には、抗生剤や消炎剤を投与する場合があります。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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