血液中の中性脂肪(トリグリセリド)や総コレステロール、またはその両方が異常に高い値を示している状態を言います。12時間以上絶食したときに血液検査を行い、数値の上昇があれば高脂血症と診断されます。食後は総コレステロールの数値には大きな変化はないものの中性脂肪値は上がるため、高脂血症とは診断されませんが、近年この食後の中性脂肪値の過度な上昇は体への負担が大きく、問題視されつつあります。(食後高脂血症)
原因は主に4つあります。1つ目は、遺伝や先天的な異常で起こる原発性の高脂血症で、根本的な治療は困難です。2つ目は、クッシング症候群、ネフローゼ症候群、閉塞性肝障害、糖尿病、甲状腺機能低下症、自己免疫疾患などの病気に続発しておこる続発性の高脂血症で、元の病気の治療が重要です。3つ目は、ストレス、運動不足や肥満、脂肪分の多い食事や食べ過ぎなど生活習慣による高脂血症で、生活環境の改善が重要です。4つ目は、ステロイドや性ホルモン製剤の投薬などによる医原性の高脂血症で、症状に応じて投薬の調整が必要になります。
高脂血症は、症状が出ずに、定期的な健康診断やほかの病気の検査ではじめて診断されることがほとんどです。症状が出る場合は、食欲低下、下痢、嘔吐、腹痛、発作、ブドウ膜炎、膵炎などが見られます。また、続発性の高脂血症の場合は、原因によって現れる症状が違います。糖尿病やクッシング症候群では多飲多尿、閉塞性肝障害や膵炎では上腹部痛や嘔吐が特徴です。
ミニチュア・シュナウザー、シェットランド・シープドッグ、ドーベルマン・ピンシャー、ロットワイラーなどは高脂血症になりやすいと報告されています。また、高脂血症にかかりやすい病気(クッシング症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症など)やステロイドなどを投薬中の犬も注意が必要です。
ストレスを減らし、適度に運動をして、バランスの取れた食生活をすることが最大の予防です。ビタミン剤やコエンザイムQ10など抗酸化物質、強肝作用のあるサプリメントなども、適度であれば高脂血症の予防効果があるでしょう。特に発症しやすい犬種は定期的に血液検査を行い、最適な食事指導を専門家から受けるといいでしょう。
治療については、人と違い血液の脂質を下げる薬を使うより、予防でお話した管理や基礎疾患の治療をまず行います。これらの治療を十分行っても改善がない場合に、抗脂質作用を持った薬による投薬治療を行うことが検討されます。投薬治療が必要と判断され、投薬治療を始める場合は、はじめに高脂血症を分類します。脂質全体のなかで、どこの脂質の代謝異常によるものか細かくタイプ分けして、そのタイプにあった投薬を行います。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
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