免疫介在性多発性関節炎は、自分の免疫の異常によって起こる関節炎で、本来は外敵から自分を守るための免疫機能が自分自身の複数の関節を敵とみなして攻撃することで、関節炎が多発する病気です。レントゲンで骨が溶けたように見える「びらん性」の関節炎と、そのような変化を起こさない「非びらん性」の関節炎があります。びらん性の関節炎が起きる病気は、主に関節リウマチです。非びらん性の関節炎が起きる病気は、特発性多発性関節炎、反応性多発性関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性関節炎・筋炎症候群、リンパ球形質細胞性関節炎、犬種特異的多発性関節炎などがあります。
原因は正確には分かっていませんが、関節内では自己の免疫が攻撃した反応が確認され、免疫抑制剤の治療に反応が良いことから自己免疫疾患だと考えられています。
完治が難しい病気で、関節の痛みを伴いながら少しずつ確実に進行していきます。特にびらん性の関節炎(関節リウマチ)は末期になると関節が溶け、足にも強く苦痛を伴う症状が出ます。重症化する前に、レントゲン検査、炎症マーカーの測定(血液検査)、関節液検査リウマチ因子測定などを行い、関節の状態が少しでも良い段階で治療に入ると良いでしょう。
発熱(39.5℃以上)、元気や食欲の低下、リンパ節の腫れ、関節の腫れや熱っぽさが現れ、足の痛みで足を引きずる場合があります。関節が溶けて亜脱臼すると、ベタ足(本来地面に着かない手首やかかとが地面に着いた状態)になります。関節炎に伴い関節液が増加した場合、関節の曲げ伸ばしを嫌がったり、正常な関節よりあまり曲がらなくなったりします。
関節リウマチは中年齢の小型犬に多く、好発犬種はミニチュア・ダックス、チワワ、トイ・プードル、シェットランド・シープドッグなどが挙げられます。そのほかに秋田犬、ボクサー、ワイマラナー、ビーグル、チャイニーズ・シャーペイなどに犬種特異的な多発性関節炎が起こります。
予防法はありませんが、肥満や過剰な運動は関節炎の症状を悪化させます。適正な体重を保ち、激しい運動や段差の運動は避けましょう。
治療は、各種免疫抑制剤によって関節に対しての免疫反応を抑え込みます。補助的に胃の保護薬や消炎鎮痛剤などが使用される場合もあります。
非びらん性多発性関節炎(大半が特発性多発性関節炎)はこの治療に反応が良く、長期間苦痛のない管理ができる犬が多いのですが、びらん性多発性関節炎(関節リウマチ)の場合、残念ながら改善はあるものの、数年かけて症状が徐々に進行する場合が多いです。
白神 久輝 先生
埼玉県草加市にある「ぐぅ動物病院」の院長。2005年4月の開院以来、大学病院や専門病院と連携をとりながら、常に最先端の技術や機器を導入しており、飼い主の方にもわかりやすい説明でサービスを提供し続けている。また病気になりにくい体づくり(予防、日常ケア)のアドバイスも積極的に行っており、地域のかかりつけ医・中核病院として親しまれている。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気や治療内容も掲載されていることがあります。
※「病気事典」には「アクサダイレクトのペット保険」の補償対象外の病気も掲載されていることがあります。
補償対象外の病気については、「契約申込のご案内(兼重要事項説明書)」をご確認ください。
よくあるご質問をQ&Aとしてまとめておりますので、お問合せの前にご覧ください