更新日:2023年12月21日
チワワは、世界で公認されているもののうち、もっとも小さい犬種。祖先は9世紀頃のトルテカ文明の時代から飼われていましたが、一時期は絶滅の危機に瀕し、1850年頃にメキシコのチワワという町で3頭のチワワが発見され、現在に続くチワワのベースとなりました。
日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、チワワの理想体重は1.5〜2.5kgとされ、体高は特に規定されていませんが、500g未満のものや3kg超の場合は繁殖犬として失格とされています。
チワワは、手足は細いものの胴体はがっちりしています。「アップル・ヘッド」と呼ばれるドーム型の頭蓋骨を持ち、三角形の立ち耳を持っています。黒く大きな瞳がチャームポイントとなっています。
短毛のスムースコートと長毛のロングコートの2タイプ。マール(単色の被毛に他色が大理石状に混じる毛色)以外の全ての毛色や組み合わせが認められています。マールが繁殖に用いられないのは、遺伝性の疾患が起こりやすいためです。
チワワの毛量は多くはないので、ブラッシングは簡単。スムースコートならラバーブラシで、ロングコートはスリッカーやピンブラシなどで毛並みに沿ってとかしてあげましょう。
チワワは寒がりなので、寒い季節には洋服を着せてあげるなどの工夫をしてあげて。また、夏の暑さにも強くないので、しっかりと室温管理を行ってください。
被毛がゴワついたりべたついたりしたら、シャンプーをしてあげましょう。目安としては月に1〜2回程度。シャンプーのしすぎは毛艶や皮膚を傷めるのでほどほどに。
小型犬はおおむね12〜15年ですが、チワワの寿命は12〜20歳と特に長生きする傾向があります。
チワワは、明るく陽気な性格ですが、一方で、警戒心が強く、攻撃的な面もあります。無駄吠えや、思わぬトラブルに繋がることもある為、しっかりとしつけをしてください。
家族一人だけになつこうとする傾向があるため、しつけは家族全員で行うことが肝心です。また、小さいうちにしっかりしつけないと、社会的な適応力が身につけられず、うなったり牙を向いたりするようになります。体が小さいからといって過保護にしすぎないことが大切です。もともとチワワは頭がいいので、適切にしつければきちんと覚えてくれます。
超小型犬なので、室内だけでも運動量としては十分ですが、ストレス発散のためにお散歩に連れて行ってあげましょう。
同じチワワ同士では親交しやすい傾向にありますが、気が強い面があるので自分より大きな犬に向かっていくことも。ドッグランなどでは目を離さないようにしてください。
チワワのような小型犬に多く見られるのが、ひざの骨が外れてしまう膝蓋骨脱臼です。足を触って痛がったり、肢を不自然に挙上したまま歩いたりするときは要注意です。
脳脊髄液の流れが滞ったり、産生量が増えてしまうことで、脳を圧迫し、姿勢の異常、失明、歩行異常、グルグル同じところを歩きまわるなどの神経症状があらわれることがあります。
心臓の「僧帽弁」という弁が閉まらず、血液が逆流してしまう病気です。元気がなくなったり、苦しそうな呼吸が現れたりします。加齢とともにかかりやすくなります。
膀胱や尿道、腎臓など、いわゆる尿路に結石ができる病気です。排尿時に痛がったり、尿が出にくくなったり、逆に頻尿になることもあります。チワワでは、腎臓の尿細管という器官の異常(遺伝的)の結果生じる、シスチン尿石症というものが起こりやすいことが知られています。
肺へ空気を送る気管がつぶれてしまう病気で、初期は軽い咳からはじまり、ガァーガァーとガチョウが鳴くような音を出すこともあります。つぶれ方がひどければ、十分な量の空気が通れず呼吸困難を起こしてしまいます。
免疫介在性の関節炎で、中年齢の小型犬に発症しやすいことが分かっています。跛行などの症状がみられます。
「壊死性白質脳炎」という脳炎が、チワワなど限られた小型犬に発生することがわかっています。意識障害や旋回運動、昏睡などの神経症状がみられます。
遺伝性疾患により、ブルー、グレーなどの淡色の毛が正常に育たない疾患です。
先天的な問題により、耳介部などに脱毛が起こりやすいことが分かっています。
ピルビン酸キナーゼという酵素が遺伝的に欠乏することにより、赤血球が正常な形を維持できずその赤血球の寿命が短くなります。これにより重篤な貧血を引き起こす可能性があります。異常な赤血球は脾臓で分解されるため、脾臓の腫大もみられます。貧血により、疲れやすい、呼吸が速いなどの症状がみられることがあります。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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