更新日:2023年12月21日
マルチーズの歴史は古く、紀元前1500年頃、アジアから地中海に浮かぶマルタ島に持ち込まれた犬が祖先とされています。世界最古の愛玩犬ともいわれ、イソップ寓話にもマルチーズの話が登場しています。
その後、シシリア島を経由してヨーロッパに持ち込まれ、15世紀頃のフランスでは貴婦人の愛玩犬として親しまれ、マルタ島がイギリスの属領となった1813年以降には、ビクトリア女王がマルチーズを飼い始めたことからイギリスの一般市民の間でもマルチーズが飼育されるようになりました。
日本でも高い人気があり、1960年代後半から1980年前半までの登録犬数でトップの座を占めていました。
日本で血統書を発行する機関であるジャパンケネルクラブ(JKC)では、体高については規定がありませんが、オスメス共に、3〜4kgを理想体重としています。
マルチーズといえば、地面につくほど長い、純白でシルクのような滑らかな被毛をイメージする人は多いでしょう。JKCの規定では、繁殖に用いる場合はピュアホワイトが望ましいとされていますが、淡いタン(茶色)またはレモン色など白以外の毛色もあります。
長毛ですが、マルチーズはシングルコート。そのため、換毛期がなく抜け毛が少ないとされています。ただし、長くて細い被毛はからまりやすく毛玉ができやすいので、毎日のブラッシングが欠かせません。
また、放っておくとどんどん被毛が伸びてしまうので、定期的にカットとトリミングを行いましょう。ショードッグの場合は、床につくほどに被毛を伸ばした「フルコート」が一般的ですが、家庭で飼育する場合は、短めにカットするとお手入れが楽になります。顔回りを丸くカットした「テディベアカット」、子犬のような仕上がりの「パピーカット」、全身は短くカットし耳の毛を長めに残した「ボブカット」など、さまざまなスタイルを楽しむことができます。
平均的な寿命は12〜15歳。先天的な病気によっても寿命は左右されますが、日本では24歳(人間にたとえると103歳)まで長生きしたマルチーズが報告されています。
マルチーズは頭がよく、性格は明るくておだやかです。古くから人間と暮らしてきた犬種だけあって、しつけにあまり苦労しないことで知られています。一般的に、小型犬は落ち着きのない子が多いと思われていますが、マルチーズは温厚で、ほかの犬と争うようなこともありません。
かつては上流階級の人たちの「抱き犬」として愛玩されていたこともあり、マルチーズは抱っこが大好きな甘えん坊なので、愛犬とたっぷりふれ合って暮らしたいという人には最適です。飼い主さんに褒めてもらうことが大好きですが、甘やかしすぎると、かみグセや吠えグセの原因となることがありますので、しつけはしっかりして信頼関係を築くようにしてください。
人見知りをする傾向があるので、子犬のうちから人や他の犬とふれ合うようにするといいでしょう。
小型犬なので室内で一緒に遊んであげる程度でも運動量は十分。長時間の散歩は必要ありませんが、気分転換のために朝夕10分程度の散歩を行い、体力維持とストレス解消に努めてあげたいものです。
心臓の「僧帽弁」という弁が閉まらず、血液が逆流してしまう病気です。元気がなくなったり、苦しそうな呼吸が現れたりします。加齢とともにかかりやすくなります。
消化管から吸収された栄養などは門脈という管を通って肝臓へ運ばれ代謝されますが、シャント(本来のルートとは別にできた分かれ道)により、肝臓を通らずに直接全身へ循環する血管に流入してしまう病気です。肝臓で代謝されるはずの毒素により、食後に元気がない、歩くとふらつく、痙攣などの症状が見られます。
マルチーズのような小型犬に多く見られるのが、ひざのお皿の骨が外れてしまう膝蓋骨脱臼です。肢を不自然に挙上していたり、寝起きに立ち上がろうとしてキャンと鳴いたりするような際は、要注意です。
大腿骨が成長する時期に大腿骨頭への血液供給が悪くなることで大腿骨頭が壊死してしまう疾患で、1歳未満で発症することが多く、手術が必要なこともあります。歩行時に痛みが生じるため、歩き方が不自然だったり、肢を使わないように挙上したりする様子が見られます。
脳脊髄液の流れが滞ったり、産生量が増えてしまうことで、脳を圧迫し、姿勢の異常、失明、歩行異常、グルグル同じところを歩きまわるなどの神経症状があらわれることがあります。
頚椎の一番目と二番目のつながりが弱く、脱臼しかかることによって起こる病気です。歩き方がおかしい、首の動きが変と思ったときはこの病気を疑ってください。頭部を動かすと激しい痛みを感じるので、頭を触られることを嫌がる場合は、動物病院での検査をお勧めします。
リンパ液が腸管内に漏れて、タンパク質が漏れ出してしまう病気です。慢性的な下痢が続いて、体重が減る、腹水が溜まるといった症状になります。下痢を全く起こさないケースもあるので要注意です。
原因不明の脳炎で、意識障害や旋回運動、昏睡などを起こすようになります。パグ以外の犬にも見られますが、とくにパグで多く認められるため、「パグ脳炎」とも呼ばれています。
水晶体が白濁してしまうことで、視力が失われていきます。ものにつまずくようになったり、散歩を嫌がるようになったりすることがあります。加齢とともに生じやすくなります。
三宅 亜希先生
日本で唯一の会員制電話どうぶつ病院「アニクリ24」院長。都内の動物病院にて小動物臨床に従事したのち現職。繊細なコミュニケーション力を生かし、小動物医療の現場で毎日寄せられている様々な相談に応じている。
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